引っこみ思案な子の自立を、その子のペースで育てるには

引っこみ思案な子は、直さなければならない、こわれた子ではありません。引っこみ思案は気質で、慎重に世界に出会うやり方です。思慮深く、やさしく、頼りになる大人の多くも、かつては用心深い子どもでした。やるべきことは、静かな子をにぎやかな子に変えることではなく、その子らしさを大切にしながら、引っこみ思案な子の自立をうながすことです。やさしく進めれば、その子は自分のペースで、自分のやり方で、世界へ一歩ふみだしていけます。

引っこみ思案が何をしているのか知る

引っこみ思案な子にとって、新しい人、場所、求められることは、本当に圧倒されるものに感じられることがあります。その用心深さは、とびこむ前にその場が安全かどうか確かめる、身を守るためのやり方であることがよくあります。それを頑固さや失礼さと読んで押しかえすと、たいてい悪くしてしまいます。その子の自然なリズムとして受け入れれば、はずかしめずに支えられます。自立がいちばん早く育つのは、引っこみ思案な子が、別の誰かになるようせかされるのではなく、わかってもらえていると感じるときです。

人前で「人見知りで」と言わない

小さな習慣ですが、大きな影響があります。子どもの前で「この子、人見知りで」と言うと、子どもに自分についての物語を手わたし、やってみることから逃げ道を与えてしまいます。そして、親がその用心深さを変わらない性質として見ていることも伝わります。代わりに、その瞬間をやさしくことばにしましょう。「慣れるまで、少し時間をかけているんです」。変わる余地を残しておけて、自分にできることをそっとちぢめてしまうラベルを、子どもに背負わせずにすみます。

新しい場面の前に準備する

引っこみ思案な子の心配の多くは、わからないことから来ています。これから何があるかを話しておくと、そのわからなさを小さくできます。誰が来るか、何をするか、トイレはどこか、不安になったら何ができるか。「着いたら、上着をかけて、それから静かなすみっこで少し見てようね」と少しリハーサルしておくと、子どもには地図ができます。地図を手にしていれば、新しい場面にひとりでふみだすのは、ずっとこわくなくなります。

はじっこで、慣れる時間を

引っこみ思案な子は、参加する前に見ている時間が必要なことがよくあります。その見ている時間は、仲間に入れていない失敗ではありません。その子なりの仲間への入り方なのです。輪のまんなかへ連れていきたくなる気持ちはこらえましょう。必要なら親の手をにぎったまま、手を離す準備ができるまで、はじっこにいさせてあげてください。その慣れる時間を急がせずにあげると、安心したらこの子は前に出るだろうと信じることで、引っこみ思案な子の自立をうながせます。そして、子どもはほとんどいつも、ちゃんと前に出ます。

まず、なじみの場所で自立を育てる

引っこみ思案な子は、安心できる場所でのほうが背のびしやすいのです。家や、よく知っている場所から自立を育てはじめましょう。毎週行く近所のお店でお会計をする、おばあちゃんからの電話に出る、自分のお皿を台所へ運ぶ。心地よい場所で身につけた力は、なじみのない場所へも持っていける道具になります。新しい自立と新しい環境を同時に積みかさねるのは、慎重な子にとって、たいてい一歩多すぎます。

小さな勇気の一歩を祝う

引っこみ思案な子にとって、知らない人にこんにちはと言ったり、遊びに加わったりするのは、外からは小さく見えても、本物の勇気がいることがあります。そうした瞬間に、静かに、具体的に気づきましょう。「自分で入れてって言いに行ったね。勇気がいったよね」。人前で大さわぎするのではなく、ひかえめに、ふたりのときに。大さわぎは引っこみ思案な子をはずかしがらせて、引っこませてしまうことがあります。次の一歩の燃料になるのは、盛大なお祝いではなく、小さな背のびへのゆるぎない気づきです。

急いで助けに入らない

引っこみ思案な子がためらっているのを見ると、とびこんだり、代わりに答えたり、気まずさからさっと連れだしたりしたくなります。少し待つほうがやさしいのです。ひと呼吸と安心させるまなざしをあげれば、子どもがなんとかできることはよくあります。いつも助けだしていると、やっぱりこの場面は自分には無理だったのだ、というおそれを確かなものにしてしまいます。落ち着いて近くにいて、でも代わりにやらずにいると、親はあなたならできると信じているよと伝わります。そしてその信頼は、うつるのです。

もっと支えが必要かもしれないとき

ふつうの引っこみ思案は、経験と自信を重ねるにつれてやわらいでいきます。でも、ときには、人づきあいの場面へのおそれがあまりに強くて、したいことができなくなる、家ではのびのび話すのに、保育園などの場所ではいつもまったく話せない、何か月たってもつらさがやわらがない、という子もいます。こうしたパターンは、地域の保健師さんやかかりつけ医に話してみましょう。気質なのか、支えがあったほうがいい不安なのかを見分ける手助けをしてくれます。

その子のペースを信じる

引っこみ思案な子に親がさしだせるいちばん力強いものは、その子への根気強い信頼です。別の誰かになるのを待っているのではありません。もっとまるごとその子自身になるための時間と安心をあげているのです。はずかしめず、急がせず、このくらいやさしく引っこみ思案な子の自立をうながすとき、親は、思慮深く世界へふみだし、静かでじょうぶな、まったくその子自身の自信を持って歩く人を育てています。

ポイント: 気質にさからうのではなく、寄りそいましょう。準備をし、慣れる時間をあげ、なじみの場所で力を育て、小さな勇気の一歩を祝えば、自立はその子のペースで育ちます。

AAP, Emotional wellness and temperament

NHS, Children's mental health and wellbeing