失敗をこわがる子、完ぺきでないとやらない子を支えるには

完ぺきにできるとわからないことは、やろうとしない子がいます。線が少しずれた瞬間に絵を消し、負けるかもしれない遊びはことわり、ほんの小さなまちがいでくずれてしまう。思いあたるなら、あなただけではありませんし、できることはたくさんあります。失敗をこわがる子を支えるとは、まちがいとの違うつきあい方をいっしょに育てることです。まちがいが、その子の価値への判定ではなく、ただの情報になるような。

そのこわさがどこから来るのか知る

まちがうことへのこわさは、まちがいは危ない、がっかりさせる、はずかしい、愛されなくなる、と子どもが感じているところから育つことがよくあります。もともと繊細な気質から来ることもあります。誰もそんなつもりはなくても、正しいことをほめ、まちがいに強く反応するまわりの環境が、それを育てていることもあります。そのこわさは安心の問題、つまり失敗しても大丈夫だと感じられるかどうかの問題なのだとわかると、答えが見えてきます。家の中で、まちがいを、乗りこえられて、とくに目立たないものに感じられるようにすることです。

まちがいへの親の反応を見なおす

子どもは親の顔をよく読んでいて、まちがいが親にとって何を意味するかを、すぐに学びます。こぼす、答えをまちがえる、タワーをたおす、そのたびにきつい反応がくると、まちがいは避けるべき大ごとなのだと結論づけます。同じことに、気軽な「大丈夫、片づけよう」でこたえれば、まちがいはふつうのことなのだと学びます。失敗をこわがる子を支えるには、まず親自身のまちがいへの反応を、まちがうことが本当にまったく大惨事ではないと感じられるまで、やわらげることから始めましょう。

正しくできたことより、やってみたことを祝う

親がどこに目を向けるかが、子どもが何を大切にするかを教えます。正しいときに親のあたたかさがピークになり、まちがったときに冷めると、子どもは正しくあることを追いかけ、まちがうことをおそれるようになります。意識して、がんばりと勇気に目を移しましょう。「むずかしいのに、すごくいい挑戦だったね」を、うまくいってもいかなくても同じあたたかさで。結果にかかわらず、やってみることで親の興味がもらえると感じられると、まちがうことへのおそれは、少しずつ力を失っていきます。

まちがいを、学びの一部として話す

シンプルで、くり返されるメッセージが子どもを助けます。誰でもまちがえるし、まちがいは頭が育つしくみなのだ、ということです。ふつうの暮らしの中に織りこめます。今はかんたんなことも前はできなかったこと、サッカー選手も練習でシュートをはずすこと、親自身もたくさんまちがえていること。まちがいを、はずかしい失敗ではなく、学びの中であってあたりまえの、ちゃんとした一部にすると、子どもは固まらずにやってみつづけられる、まちがいについての物語を手に入れます。

親がまちがえる姿を見せる

いちばん力のある教えは、親自身の毎日のまちがいかもしれません。親がまちがえて、肩をすくめて流す姿を見せましょう。「あ、お塩を入れすぎちゃった。次は気をつけよう」「道をまちがえた。うっかりしてた、戻ろう」。できて、愛されている大人がしょっちゅうまちがえて、それでまったく平気なのを見ると、そのこわさは必要ないものに見えてきます。自分のまちがいとの親ののんびりしたつきあい方は、どんなお説教にもかなわないお手本です。

わざと、失うもののない場面を

こわがっている子には、失うもののない、まちがっていい機会が必要です。だから、そっとつくってあげましょう。まちがいが損ではなくおもしろくなる遊びをする。絵の具やぐちゃぐちゃのコラージュのように、完ぺきにはなりようがなく、失敗するべき正解がない材料で工作する。おもしろい結果につながった「いいまちがい」をほめる。何かをまちがえても空が落ちてこなかった、という経験が増えるほど、こわさは、害のないまちがいひとつずつ、小さくなっていきます。

完ぺきを求めるプレッシャーをゆるめる

家の中の何かが、知らず知らずにハードルを上げていないか、正直に見てみましょう。高い基準、きょうだいとのくらべっこ、たくさんの直し、かしこいことや完ぺきなことを中心にしたほめ方は、どれも失敗へのこわさを育てることがあります。すべての期待をなくすということではありません。できばえではなく、その子自身として愛され、大切にされているのだと、子どもが確かにわかっているようにすることです。それがわかって安心している子は、挑戦できます。自分の価値が結果にかかっていないからです。

こわさに、もっと支えが必要なとき

まちがいへのある程度の用心深さはふつうで、とくに繊細な子にはよくあることで、あたたかくプレッシャーの少ない関わりで、たいていやわらいでいきます。でもときには、こわさが強くなって、子どもをしばってしまうこともあります。ほとんどの活動を避ける、ほんの小さなまちがいで涙が出るほどつらそうになる、自分をとてもきびしく責める、心配が眠り、食欲、気分にまで広がっている。そうしたパターンが何週間も続いたり、心配になったりするときは、地域の保健師さん、かかりつけ医、園や学校の先生に話してみましょう。もっと支えがあったほうがいいかを、いっしょに考えてくれます。

子どもを、やってみる自由へ

めざすのは、まちがっても少しも気にしない子ではなく、やってみるのをやめてしまうほどは、まちがいをこわがらない子です。親の反応をやわらげ、がんばりを大切にし、まちがいをふつうのことにし、失うものを小さくする。そうすれば、失敗をこわがる子が、勇気のいる、ぐちゃぐちゃで、でも欠かせない「やってみる」の世界に、もう一度ふみだせるように支えられます。そのこわさの向こうには、まず完ぺきでなくても、学び、育ち、世界を楽しめる子が待っています。

ポイント: まちがいへのこわさは、まちがいが安全だと感じられるとやわらぎます。親の反応をやわらげ、やってみたことをほめ、まちがうことをふつうにし、完ぺきでなくていい機会をたっぷりあげましょう。

AAP, Building resilience in children

NHS, Children's mental health and wellbeing