好きな遊びをやめられない子の切りかえを助けるには

夢中で遊んでいる子に「もうおしまい」と伝えることほど、かんしゃくに火をつけやすいものはそうありません。公園から帰る、番組を消す、大好きな遊びを片づける。それだけで、穏やかな午後があっという間にひっくり返ります。でもこれは、わざと困らせているのではありません。好きな遊びからの切りかえを助けるには、ほんの少し、子どもの目で世界を見てみるのが近道です。

やめるのが本当にむずかしい理由

小さな子は「今」をとても濃く生きています。大好きなことに夢中になっているとき、その遊びは子どもの世界のすべてで、そこから引きはなされるのは急で不公平に感じられます。そのうえ、言われてすぐに注意を切りかえる力はまだ小さく、時間の感覚もほとんどありません。「もうすぐ帰るよ」は、子どもにとってほとんど意味をもたないのです。

さらに小さな子は、大きな気持ちとのつきあいかたを学んでいる最中です。大人なら肩をすくめて流せるがっかりが、2歳くらいの子をすっかりのみこんでしまうことがあります。楽しい遊びの終わりの涙は、かけひきではなく本物のつらさです。そう受けとめると、こちらのこたえかたも変わってきます。

終わりの前に、予告する

いちばん役に立つのは、いきなり終わりを告げないことです。予告があると、脳が手放す準備を始める時間ができます。「すべり台あと2回やったら、おうちに帰ろうね」「このおはなしが終わったら、テレビを消すよ」。短い予告を一度、終わりが近づいたらもう一度。それだけで、切りかえの段差はぐっと小さくなります。

小さな子は時間をうまくとらえられないので、予告はわかるものに結びつけましょう。「5分後に」より、「塔をあとひとつつくったら」「砂時計の砂が落ちたら」のほうがわかりやすいものです。目で見て残りがわかるタイマーは、とくによく効きます。

終わりかたを、決まった流れに

切りかえは、予想できるとらくになります。公園から帰るときがいつも同じ小さな流れ、たとえば最後にブランコを1回、カモにバイバイ、それから靴をはく、なら、子どもはそれを待つようになり、抵抗が減ります。決まった流れがむずかしいところを運んでくれるので、毎回ゼロから交渉しなくてすみます。

ここでは、かかわる大人どうしでそろえることも助けになります。だれといても同じような終わりかたなら、子どもは次に何が来るかわかり、信頼が育ち、不意打ちされた気持ちが減ります。

次に来ることへ橋をかける

向かう先があると、切りかえは「失う」感じが少なくなります。終わるものだけを伝えるのではなく、始まるものも指さしましょう。「公園はおしまい。帰り道にカモにパンくずをあげようね」。次のことに少し魅力をもたせると、ただ連れていかれるのではなく、どこかへ向かっている気持ちになれます。

とくに引力の強い画面のときは、画面なしの楽しいことを用意しておくと切りかえがなめらかです。おやつ、お手伝いの仕事、待っている遊び。そうすれば、注意に新しい行き先ができます。

小さな選択肢と役わりを

子どもに少しだけ決める部分を渡すと、反発がやわらぎます。「ドアまで、ぴょんぴょん行く?行進して行く?」「自分で消す?それとも消してあげようか?」。終わることは変わらないまま、どう終わるかに子どもの声が入ります。自分のものという感覚があると、切りかえが力くらべになりにくくなります。

終わりの準備にかかわってもらうのもおすすめです。おもちゃをかばんにしまう、オフのボタンを押す、何かを運ぶ。そう頼むと、子どもは抵抗する側から参加する側に変わり、みんながずっとらくになります。

落ち着いて、気持ちを受けとめる

どんなに準備しても、泣いてしまう切りかえはあります。それはふつうのことです。親の落ち着きが、子どもの支えになります。子どもの気持ちをことばにすると、わかってもらえたと感じられ、嵐はたいてい短くなります。「帰るのがかなしいね。すごく楽しかったもんね。やめるのってむずかしいよね」。気持ちにはあたたかく寄りそいながら、帰る時間だという線はゆずらずにいられます。

その時が来たら、長い交渉は避けましょう。「あと1回だけ」が続くと終わりがけずられ、ねばれば通ると覚えてしまいます。手を差しだして、そっと連れていく。やさしく、ぶれない見とどけが、「切りかえは起きるし、それで大丈夫」と伝えてくれます。

期待はやさしく

切りかえがじょうずになるのは、幼児期を通してゆっくり育つ力です。予告をしたからといって、すべての終わりをすんなり乗りこえられるわけではありません。疲れているとき、おなかがすいているとき、刺激が多すぎたときはなおさらです。こだわる場面を選び、終わりかたはできるだけ予想しやすく、あたたかく。進みかたはでこぼこだと思っておきましょう。

切りかえがとてもむずかしいとき

終わりに大きな気持ちがわくのは、幼児期のふつうの姿です。ただ、変化への苦手さが同じ年ごろの子よりずっと強い、切りかえのたびに長くはげしいかんしゃくになり、なかなか立ちなおれない、あるいは発達やことば、人とのかかわりについてのほかの心配もある、といった場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健師さんに伝えてみましょう。多くはまだふつうの幅のなかですが、早めの相談で安心できたり、支援につながったりします。

ほとんどの家庭では、ふだんの工夫でじゅうぶんです。早めに予告し、おなじみの終わりかたを守り、楽しいことへ橋をかけ、小さな選択肢を渡し、ぐらついても落ち着いて。続けていけば、好きな遊びからの切りかえで流す涙はずっと少なくなり、この先何年も頼りになる、気持ちを切りかえるしなやかさが少しずつ育っていきます。

ポイント: はっきり予告して、おなじみの終わりかたを守り、楽しいことへ橋をかける。そうすれば、大好きな遊びを離れることが、突然なにかを失うことに感じにくくなります。

CDC, Positive Parenting Tips

AAP HealthyChildren, How to Ease Transitions