じっとしていられない子の集中力を育てるには
いつも止まらない子がいます。よじのぼり、走りまわり、次から次へと遊びを変え、静かなことに座って取りくむのはつらそうにさえ見えます。わが子がそうだと「この子はずっと集中できないのでは」と心配になるかもしれません。でも安心してください。活発な子も、集中する力はちゃんと身につけていきます。ただし多くの場合、エネルギーとけんかするのではなく、それを生かすことによってです。じっとしていられない子の集中を育てる第一歩は、お子さまをそのまま受けとめることです。
活発な子を理解する
とても活発な子は、何も悪いことをしているわけではありません。生まれつきよく動き、刺激を多く必要とし、落ち着いた子よりもじっとしているのがむずかしい子がいます。体が動きたがっているのに、固まって座っていなさいと求めると、たいてい逆効果。注意のすべてを「動かないこと」に使いはたしてしまいます。気質の幅はとても広く、元気いっぱいの性質も、そのふつうの幅のひとつです。
めざすのは、活発な子を静かでじっとした子に変えることではありません。エネルギーの向け先を見つけて、短い時間なら集中できるようにし、その力を少しずつ育てていくことです。性質とたたかうとみんなが疲れはてますが、性質に合わせると結果がついてきます。
まず、動きたい気持ちを満たす
活発な子は、先に体を動かしておくと、ずっと集中しやすくなります。集中を求める前に、走る、のぼる、とぶ、おどる、と思いきり体を使って遊ばせると、落ち着かなさの角がとれます。エネルギーがあり余っている状態で集中させようとするのは坂をのぼるようなもの。まずそこを満たしましょう。
一日を通して、体を動かす休憩は強い味方です。活発な遊びと、短く落ち着いた課題を交互にするのが、活発な子のリズムに合っています。数分集中して、走りまわって、また少し集中する。長くじっとさせるよりずっとうまくいきます。この行ったり来たりが、いちばん実際的な方法のひとつです。
集中する課題は、短く、手を使って
お子さまに合わせて期待を調整しましょう。イライラで終わる長い時間より、やりとげられる短い集中のほうがずっと価値があります。最後まで続けられた2、3分の集中は立派な一勝で、長引いたせめぎあいより、はるかによい土台になります。集中が伸びるにつれて、ゆっくり延ばしていきましょう。
活発な子は、ただ座っているより、動いたり手を使ったりできる活動にいちばん集中します。何かをつくる、料理、砂場での穴ほり、粘土、障害物コース。体を使う課題は、それ自体が活発なので注意を引きつけます。体を使う課題を選べば、得意なことをおさえこませるのではなく、生かすことができます。
好きなことに沿って
活発な子も、本当に好きなことには驚くほど長く集中します。興味は、注意をつなぎとめる強い支えになります。ショベルカー、恐竜、サッカーが大好きなら、それを軸に集中する遊びを組み立てましょう。パズルには座っていられない子が、トラクターの図鑑はじっと見つめたり、大好きなものが出てくるゲームには真剣に取りくんだりします。
遊びのなかで子どものリードについていくことも役立ちます。自分で選んだ遊びは本当に自分のものなので、長く続きます。大人が興味をもってそばにいて、一言感想を言ったり、やさしく問いかけたりすると、ひとりのときより少しだけ長く集中できます。
気の散るものを減らし、流れをつくる
活発で気が散りやすい子には、まわりを片づけてあげることが必要です。集中してほしいときは、画面や散らかった物、ほかのおもちゃを片づけて、忙しい注意があちこちに引っぱられないようにしましょう。落ち着いたシンプルな場所なら、目の前のひとつに取りかかりやすくなります。
決まった流れや習慣も助けになります。集中する遊びを毎日同じ時間、同じ場所でするなど、予想できるリズムがあると、次に何が来るかを頭が覚えるので、取りかかるときの苦労が減ります。短くはっきりしていて、終わりが目に見える課題は、活発な子にとってめざしやすい目標になります。
前向きに、気長に
活発な子は「じっとして」「落ち着いて」「やめなさい」をたくさん聞いて育ち、それが少しずつ自信をけずっていきます。集中できたときは、どんなに短くても気づいて、ことばにしてみてください。「あの塔、すごく集中してつくってたね」。小さなできたを喜ぶと、「自分は集中できる」という気持ちが育ち、それは力そのものと同じくらい大切です。
雰囲気はあたたかく、遊び心をもって。課題を挑戦やゲームに変えると、いつもならはずんでいってしまうところを、もう少し先まで続けられます。そして長い目で見ましょう。集中は幼児期を通してゆっくり育ち、活発な子ならなおさらです。少しずつの進歩と、でこぼこの日々を前提にしておきましょう。
相談の目安
活動量が多いのはとてもよくあることで、集中が育つにつれて年齢とともに落ち着いていくのがふつうです。ただ、同じ年ごろの子よりずっと活発で落ち着きがなく衝動的、それが家でも園でもはっきり目立つ、そして学びや友だちとの関係、毎日の暮らしに明らかに差しさわりがある、といった場合は、園の先生やかかりつけの小児科医、地域の保健師さんに話してみましょう。多くはまだ成長の幅のなかですが、早めに相談すると安心や支援につながり、ほかの原因がないかも確かめられます。
ほとんどの家庭にとっての道は、エネルギーとたたかうのをやめて、それを生かすことです。動かしてあげて、集中する課題は短く、手を使って、好きなことと結びつけ、集中できた一瞬一瞬を喜ぶ。少しずつ、どんなに忙しい子にも、しっかりした集中力が育っていきます。
ポイント: 活発な子のエネルギーに合わせて、まず動きたい気持ちを満たし、それから短く手を使う、好きなことに沿った課題を。集中は少しずつ、まとまって育っていきます。
WHO, To grow up healthy, children need to sit less and play more