どのページもつかむ赤ちゃんとの絵本
ぬくぬくとおはなしを始めようと本を開くと、数秒で赤ちゃんがページをつかみ、くしゃっとして、角を食べようとする。じっとしてページをめくらせてくれない赤ちゃんに読む意味があるのかと思ったことがあるなら、元気を出してください。読んでいる途中で赤ちゃんが本をつかむのは、おはなしの時間をだいなしにしているのではありません。今の段階として、まさにちょうどいいことをしているのです。
つかむことが、赤ちゃんの読み方
赤ちゃんは手と口で世界を探り、本も例外ではありません。ページに手をのばす、絵をぺたぺたたたく、表紙をかむ、本をひっくり返す。どれも赤ちゃんが夢中で好奇心いっぱいなしるしです。これは本当に、赤ちゃんなりの読書です。大人が語るあいだ、赤ちゃんにじっとしていることを期待するのは、無理なことを期待するのと同じ。つかむことは学びからの気そらしではなく、その中心なのです。
いそがしい手に合う本を選ぶ
いちばんかんたんな解決は、赤ちゃんに負けない本をわたすことです。じょうぶなボードブック、布の絵本、厚いお風呂の絵本は、つかまれ、歯ぐきでかまれ、落とされるためにつくられています。めくるしかけ、手ざわり、鏡、穴のある本は、赤ちゃんがしたい手での探索をまさに誘います。こうした本なら、赤ちゃんがつかんでも本はやぶれずにいっしょに遊んでくれて、みんな楽しいまま。うすい紙の本は、あとのためにとっておきましょう。
自分用の本を持たせる
うまい方法は、大人が1冊持って、赤ちゃんにはもう1冊持たせることです。そうすれば、赤ちゃんは自分の本をつかんで、かんで、ふりまわし、そのあいだに大人は自分の本のページをめくって、ことばと絵を流しつづけられます。まさにそのために、ボードブックを入れた小さなかごを手の届くところに置いている親もいます。おはなしの時間のひっぱりあいがなくなり、赤ちゃんはいっしょの読書をこわさずに、自由に探れます。
つかみたがりの赤ちゃんと読む、かんたんな方法
- あらい扱いに負けない、じょうぶなボードブック、布の絵本、お風呂の絵本を。
- 赤ちゃんに自分の本を持たせ、大人は別の本から読む。
- 赤ちゃんについていく。つかんだページにとどまり、さわったものの名前を言う。
- 時間はほんの数分、短くして、たびたびくり返す。
- 授乳のあとやお昼寝の前など、落ちついた時間に読む。
最後まで読むことは手放す
赤ちゃんとは、表紙から裏表紙まで読む必要も、ことばを読む必要すらもありません。赤ちゃんがつかむ、ちがうページへめくる、本をとじる。ついていきましょう。たどりついた絵の名前を言う、動物の鳴き声をする、ただ喜ぶ姿を楽しむ。たびたびくり返す楽しいつかみたがりの1分のほうが、赤ちゃんの気持ちに反して最後のページまでたどりつこうとがんばるより、ずっとためになります。
それでもちゃんと意味がある
めちゃくちゃでページをつかむ時間が、たいした役に立っているはずがないと感じるかもしれません。でも実際、赤ちゃんは大人の声の音、ことばのリズム、本の手ざわり、そばにいるぬくもりを吸収しています。ちょっとした大さわぎにしか見えなくても、そのすべてがはじめてのことばと本好きを支えています。赤ちゃんの手が何をしていても、つながりとことばにふれることは、静かに働きつづけているのです。
毎日のリズムに本を入れる
赤ちゃんはくり返しとなじみの流れで育つので、思いだしたときだけでなく、予想できる時間に本があらわれると定着しやすくなります。朝の授乳のあとにボードブック、おむつがえのときに布の絵本、寝る前の落ちつく流れのなかにおはなし。どれも赤ちゃんにやさしく確かなことばを届けます。こうした小さないかりがあれば、計画しなくても読むことがたびたび起き、赤ちゃんはそれを予想して楽しむようになります。一日に織りこんだ短くたびたびの時間のほうが、どうせつかんで放りだしてしまう長いがんばりより、ずっといいのです。
気にとめておきたいことを、やさしく
本をつかむのは、健やかで、予想どおりの、夢中のしるしです。成長とともに、全体のようすを気楽に見ておきましょう。1歳の誕生日ごろまでには、たいていの赤ちゃんが絵を見るのを楽しみ、大人の声にこたえ、物を指さしはじめます。音に反応しないように見える、大人や本を見ない、聞こえや発達に心配がある、という場合は、地域の保健師さんやかかりつけの小児科医に伝えましょう。どれもかんたんに確かめられることで、早めに聞くのはいつでも価値があります。
覚えておきたいこと
読んでいる途中で本をつかむ赤ちゃんは、むずかしい赤ちゃんではなく、夢中で好奇心いっぱいの赤ちゃんです。いそがしい手を歓迎する、じょうぶで手ざわりのある本に手をのばし、持つための予備の本をさしだし、時間は短く、最後まで読むことは手放しましょう。つかむ、ぺたぺたする、かむ。それがこの年齢の赤ちゃんの本の愛し方で、その1分1分が、やがてなる読み手を育てています。
ポイント: 赤ちゃんが本をつかむのは、まさにちょうどいい探り方。さわれるじょうぶな本をわたして、大さわぎも楽しさの一部にしましょう。
American Academy of Pediatrics, HealthyChildren.org: Reading books with babies