家で話すことばがふたつ以上ある家庭の読み聞かせ

家族がふたつ以上のことばを話すと、どのことばで読めばいいのか、まぜると子どもが混乱しないか、園や学校のことばだけにしたほうがいいのか、迷うかもしれません。何十年もの研究からの安心できる答えは、ふたつ以上のことばで育つことは負担ではなく強みだということ。いくつかのことばでの読み聞かせは、ことば、考える力、自分がだれかという確かな感覚を支え、ひとつだけの正しいやり方はありません。

ふたつのことばで混乱はしない

よくある心配は、ふたつのことばで読むと子どもが混乱したり、話しはじめるのが遅れたりするのでは、というものです。公衆衛生と小児科の目安ははっきりしていて、小さな子はふたつ以上のことばを学ぶようにできていて、そのことでことばが遅れることはありません。しばらくふたつのことばをまぜて使うこともありますが、それは整理していくふつうの一部で、困りごとのしるしではありません。大切なのは、あたたかくゆたかなことばがたっぷりあることで、本はまさにそれのすばらしい源です。

いちばん自分らしくいられることばで読む

日本語や、園や学校のことばで読まなければならない、ということはありません。むしろ、いちばんよく知っていることばで読むことが、たいていいちばん価値のあることです。表情ゆたかに読めて、自分のつぶやきを足せて、本を心から楽しめるからです。いくつかのことばでの読み聞かせは、それぞれの大人がいちばんすらすら、心地よく話せることばで読むときにいちばんうまくいき、おはなしがぎこちなくならず、生き生きします。

すべてのことばの本がなくていい

よくある壁は、家庭のことばの本を持っていないことですが、これはかんたんに解決します。どの絵本のおはなしも、書かれた文は気にせず、絵について話しながら、好きなことばで語れます。日本語で書かれた本も、いっしょに絵を見るだけで、英語、中国語、ポルトガル語、タガログ語のおはなしになります。特別な版を探したり買ったりしなくてよくなり、棚のどの本も、話すすべてのことばに使えます。

ことばを織りこむ、実用的な方法

  • それぞれの親が、いちばんよく知っていることばで読む。
  • どの本のおはなしも、絵を使って家庭のことばで語る。
  • 見つかれば、図書館の本もふくめ、それぞれのことばの本を何冊か置く。
  • 読み聞かせといっしょに、家庭のことばの歌やわらべうたも歌う。
  • 子どもがちがうことばでこたえても、それについていく。

お勉強ではなく、遊びのままで

いくつかのことばで読むことは、宿題ではなく、つながりに感じられるものであるべきです。1行ずつ訳す必要も、語彙のテストをする必要も、決まったことばでこたえるよう言いはる必要もありません。あることばで聞いて別のことばでこたえても、まったくかまわないし、とてもよくあることです。完ぺきに一貫していることより、ぬくもりといっしょの注目のほうがずっと大切で、気楽にかまえることで、子どもはさしだされるすべてのことばに開かれたままでいられます。

少数派のことばを、とくに大切に

子どもは、園、テレビ、毎日の暮らしを通して、地域の多数派のことばにはたっぷりふれます。もっと手をかける必要があることが多いのは、ふれる機会の少ない、家庭のことばや受けついだことばのほうです。そのことばで読み、歌い、おはなしを語ることが、子どもの心のなかでそのことばに価値と持ちこたえる力をあたえます。それを強く保つことは、コミュニケーションのためだけでなく、子どもが家族、文化、自分らしさとつながりつづける助けになり、それはかけがえのないことです。

家族や地域の力も借りる

すべてのことばを、ひとりでかかえる必要はありません。家庭のことばを話す祖父母、親せき、友だちは、会っても、ビデオ通話でも、寝る前の録音のおはなしでも、おはなし、歌、わらべうたのすばらしい源です。地域のグループ、宗教の場、文化のイベントでも、本やおはなしを分かちあっていることがよくあります。たくさんの声でそのことばを聞くほど、ことばは本物で、大切にされているものに感じられます。負担を分けることで大人のプレッシャーもなくなり、伝えたいすべてのことばの、生きた毎日の音で子どもを包めます。

少し安心をもらいたいとき

ふたつのことばで育つこと自体がことばの遅れを起こすことは決してないので、それが心配の理由になることはありません。ただ、ことばの目安は、子どものすべてのことばを合わせたものに、ふつうどおりあてはまります。年齢から考えて、なんご、身ぶり、ことばのつながりがだいたい目安どおりに出てこない、聞こえに心配がある、という場合は、地域の保健師さんやかかりつけの小児科医に相談しましょう。ひとつのことばだけを見ると実際より心配な姿に見えてしまうことがあるので、子どもがわかって使っているすべてのことばを考えに入れてもらうよう伝えてください。

覚えておきたいこと

ふたつ以上のことばで子どもを育て、そのことばたちで本を読むことは、確かな贈り物です。ひとつのことばを選ぶ必要も、まぜることを心配する必要も、完ぺきな本をそろえる必要もありません。いちばん好きなことばで読み、どの本のおはなしも家庭のことばで語り、遊びのままに、受けついだことばにたっぷり場所をあげましょう。いくつかのことばでの読み聞かせは、子どものことばと、ここにいていいという気持ちの両方に栄養をあげます。

ポイント: 家庭のいくつかのことばで読むのは、危険ではなく強み。いちばんよく知っていることばで読み、どの本のおはなしもそのことばで語り、あたたかく、遊びのままに。

American Academy of Pediatrics, HealthyChildren.org: Is bilingualism good for children?

UNICEF, Reading with your children