どんな家にもつくれる、小さな本の場所
居心地のいい読書コーナーと聞くとすてきですが、もう1センチのすきまもない部屋を見まわすと、ため息が出るかもしれません。安心してほしいのは、小さな本の場所に、広さはまったく関係ないということ。大切なのは、「本はここにあって、あなたのものだよ」と静かに伝える、子どもの高さの、誘いかけるような場所をひとつつくることです。すみにクッションひとつでも、遊び部屋まるごとと同じくらいの仕事をしてくれます。
専用の場所が役立つ理由
子どもは、見えて、手が届いて、魅力的なものにひかれます。本が高い棚にしまわれていたり、おもちゃのあいだに背表紙を内側にしてつめこまれていたりすると、忘れられてしまいます。小さくて区切られた本の場所は、おはなしを子どもの目の高さと手の届くところに置くので、1冊手にとることが、かんたんでしぜんな選択になります。この家では読むことが大切だ、というやさしい合図にもなり、ひとこともそれについて言う必要はありません。
もうあるすみっこから
何も買ったりつくったりする必要はありません。しぜんに落ちついた場所を探しましょう。ソファのはし、寝室のすみ、階段の踊り場、暖房器具の横。いちばんいいのは、人がよく通る流れから外れていて、わりと静かで、家族の暮らしから追いだされたと感じないくらいには近い場所です。新しい場所を求めるのではなく、場所を借りるからこそ、うまくいくのです。
誘いかける場所にする、少しの物
- ふわっとすわれるもの。クッション、ビーズクッション、たたんだ毛布。
- いい明かり。できれば窓の近くか、小さなランプ。
- 表紙を見せて低く置いた本。小さな手が届くように。
- 読んであげる相手になる、ぬいぐるみをひとつかふたつ。
- 壁ぎわや棚の下のような、すっぽりおさまる感じ。
どれも新品やおそろいでなくてかまいません。浅いかご、マガジンラック、低い棚、どれも本をきれいに見せてくれますし、子どもは見た目よりずっと、居心地のよさを大切にします。
本を見やすく、選びやすく
いちばん効果があるのは、いくつかの表紙を外に向けることです。小さな子は目で選び、正面を向いた絵は、背表紙の列にはできない形で誘いかけます。数はほどほどにして、すっきり圧倒されない場所に保ち、ときどき中身を入れかえましょう。つめこんだごちゃごちゃの棚より、よく見せた少しの本のほうが、確実に子どもを引きよせます。
子どもにもつくってもらう
子どもがつくるのを手伝った場所は、本当に使われる場所です。クッションを選ぶ、見はり役のぬいぐるみを決める、どの本を飾るか決める、をまかせましょう。この自分のものという気持ちは、とくに子どもが自分だけの場所をもちにくい、共有の小さな家では大切です。自分でデザインを手伝った小さな一角は、ひとりでもどってくる場所になります。
画面から離れた、おだやかな場所に
テレビやほかの画面から離して置けば、ちがう種類の場所だと感じられます。公衆衛生の目安は、小さな子に画面のない時間をたっぷりとるようすすめていて、静かな読書の場所は、魅力的なもうひとつの選択肢をかんたんにさしだせる方法です。しんとした特別な場所である必要はありません。光る画面ととなりあう場所ではなく、やさしい小島のように感じられれば、それでいいのです。
大人もそこで過ごす
子どもがその場所が使われているのを見てこそ、居場所になります。子どもだけの場所として扱うのではなく、ときどきいっしょにくつろぎましょう。その一角でいっしょに数分読む、子どもが本を見ているあいだそばにすわっているだけでも、ここはすてきなことが起きる場所だと伝わります。子どもは、大好きな人がいることを選ぶ場所にひかれます。ときどきいっしょにまるくなる場所になれば、どんなにきれいな棚よりも強く、子どもを呼びもどします。
本当に場所がないとき
とてもせまい家なら、本の場所は、ドアにかける布のバッグでも、ベッドの下からすべりだしておはなしの時間に出てくる箱でも、寝室で二役をつとめる棚でもかまいません。持ち運べるものや、出しては片づけるものも立派な本の場所です。考え方は同じで、区切られた、魅力的な、手の届く本の住まい。柔軟さは妥協ではなく長所で、子どもは、あらわれては消える本の場所にも喜んでなじみます。
覚えておきたいこと
本好きな子に育てるのに、大きな家も空き部屋もいりません。小さな本の場所とは、やわらかいすわる物、ほどよい明かり、子どもが見て手の届く何冊かの本、そして少し自分のものだと感じられる場所のことです。居心地よく、低く、子どもを巻きこんで、その場所に毎日の静かなお誘いをまかせましょう。
ポイント: 子どもの高さの、小さくて居心地のいい一角に、表紙を見せた本を。広さよりずっと読むことを誘います。場所を決め、やわらかくして、子どものものにしましょう。
UNICEF, Reading with your children
American Academy of Pediatrics, HealthyChildren.org: Books & Reading