ごっこ遊びと、ことばの発達

積み木をお皿にのせて「どうぞ」。ぬいぐるみに布をかけて「ねんね」。ごっこ遊びをする子どもの姿には、ことばの芽がたくさんつまっています。出発点は、子どもが選んだ遊びのテーマについていくこと。話すことばは、伝える力のほんの一部です。わかっていること、しぐさ、声、発音、遊び、やりとりも、みんな伝える力。ここでのねらいは子どもに言わせることではなく、ふだんの姿を知って、成長や聞こえ、保護者の心配に応じて専門家につなぐことです。

ひと言でいうと

ごっこ遊びは、ことばに自由な使い道をくれます。積み木がごはんになり、お人形が助けを求め、子どもどうしで役や順番を決めます。大人は、物語を仕切るのではなく、子どものアイデアに加わって、小さな動きやひと言を足すことで支えられます。

実際にはどうするか

おもちゃにごはんを食べさせる、寝かせるなど、よく知っている毎日の場面からはじめ、かんたんなまねも最初の一歩として受けとめましょう。ごっこ遊びが気になるときは、それだけをテストのように見るのではなく、伝える力、人とのかかわり、発達全体の中で考えます。

はじめに見ておきたいこと

まずは、子どもが今どんなことに夢中になっているか、どんなしぐさや声、ことばが自然に出てくるか、どんなときにやりとりがとぎれるかを見てみましょう。これから紹介する工夫も、絵本や歌、ごっこ遊び、毎日の流れを、くり返しのテストにするためではなく、やりとりの機会を増やすためのものです。

ごっこ遊びへの加わりかた

  • 子どもが選んだ遊びのテーマについていきましょう。
  • 動きを、短いことばで言いましょう。
  • 新しいアイデアは、1回に1つだけ足しましょう。
  • 子どもがこたえる間をあけましょう。

練習は、楽しい時間にとけこませるのがいちばんです。「子どもが選んだ遊びのテーマについていく」「動きを短いことばで言う」を生活の中で試し、子どもから何かこたえが返ってきたら間をとって、その意味を受けとめ、ことばをひとつ添えましょう。体を動かしても、しぐさで伝えても、ページをめくってしまっても、まねしなくても大丈夫です。

4つのステップのつながり

はじめに「子どもが選んだ遊びのテーマについていく」、次に「動きを短いことばで言う」、その次に「新しいアイデアは1回に1つだけ足す」、最後に「子どもがこたえる間をあける」。子どものこたえをありのまま受けとり、役立つ次のことばや動きをひとつ見せるだけで十分です。言ってみせることは求めません。

家族や保育園と、そろえておくこと

家族や保育園とは、最初のふたつ、「子どもが選んだ遊びのテーマについていく」と「動きを短いことばで言う」をそろえておきましょう。大人みんなが同じことばを使う必要はありませんが、子どもがわかりやすいこたえが返ってくるようにします。話すことばが育つ間は、どの大人も、しぐさと家庭で使うすべてのことばを数に入れましょう。

しばらく続けて、ふり返る

いつもの暮らしの中で、何回か最初のステップを試してみましょう。特別な1日で判断しないのがコツです。状況、子どものこたえ、家族の回しやすさを、短く記録しておきます。記録が負担になっては本末転倒です。

見直すときは、3つめのステップでの様子とくらべてみましょう。参加しやすくなった、わかりやすくなったことは続け、家族が続けられないことはシンプルにし、変えるのは一度に1つだけ。ただし、健康、安全、発達の心配があるなら、先に専門家の評価を受けましょう。

大人にできること、できないこと

大人がコントロールできるのは、やりとりの質です。子どもの関心についていき、はっきりしたことばを使い、間をとって、こたえること。ここで紹介した工夫もそのつながりを支えるものですが、どんな遊びも、子どもに決まったことばを言わせることはできませんし、成長がはっきりしないときに評価の代わりにはなりません。

安全と、子どもの尊厳を守る

どの工夫も、プレッシャーなしで。絵本のために動きまわる子を押さえつける、ことばを言うまで必要なものを渡さない、画面だけを確かなやりとりの相手にする、といったことはやめましょう。聞こえがはっきりしない、できていたことができなくなった、強いいらだちがあるときは、専門家にみてもらいましょう。

うまくいかなくなる理由

工夫をじゃましやすいのは、問題を出すほうが会話より多くなること、くり返しを要求すること、伝わっているしぐさを無視すること、伸びが止まっても待ちすぎること。こたえるやりとりと専門家の評価はそれぞれ別の仕事で、どちらも発表会にしないでください。

前進のしるし

前進は、いっしょに見る、しぐさ、いろいろな声、自分からの一言、会話の往復といった形で、数週間かけてあらわれます。楽しさと参加もふくめて見ましょう。大人のお手本を正確にまねすることが、成功のしるしではありません。

短いメモには、回数だけでなく、どんな場面でどう参加したかも書いておきましょう。そうすれば、あとで何かを決めるとき、言わせたテストではなく、ふだんのコミュニケーションをもとに考えられます。

専門家に相談したいとき

小児科や言語聴覚士に相談したいのは、理解、表現、発音、なめらかさ、人とのかかわりが進まないとき、聞こえがはっきりしないとき、いらだちが大きいとき、できていた力がなくなったときです。相談の前に診断や基準の確認はいりません。評価は、子どものすべてのことばをふまえて行われるべきです。

覚えておきたいこと

目指すのは、言うことをよく聞く子でも、完璧な家の日課でもありません。最初の一歩からはじめて、つながりと安全を守り、時間をかけて向かう方向を見守り、一般的な情報ではわからないときは、その子のための専門家の評価を活用しましょう。

ポイント: はじめは「子どもが選んだ遊びのテーマについていく」。続けられる形にして、どう変わったかを見直しましょう。

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