お気に入りの絵本を、おうちでのかんたんな遊びに

子どもが100回目に同じ本をせがむとき、その「大好き」は、さらに積みあげられる贈り物です。読んだあとにおはなしを遊んでみると、理解が深まり、ことばがのび、本がもっとその子のものになります。お気に入りの絵本をかんたんな家遊びに変えるのに、特別な道具も工作の腕もいりません。少しの想像力と、家にころがっている物があればじゅうぶんです。

おはなしを広げることが役立つ理由

子どもがおはなしを演じたり、語りなおしたり、遊んだりするとき、聞くことから、生きることへと移っています。その能動的な関わりが、すじを理解し、できごとの順番を覚え、登場人物の気持ちに入りこむ助けになります。大切に思っている場面のなかで新しいことばを受けとり、使う理由もできます。何より、大好きな本が新鮮なままになり、お気に入りになったその熱が、ずっと実を結びつづけます。

どれも凝ったものや、きれいに仕上がったものである必要はありません。ソファでの2分の再現も、大がかりな午後の工作と同じくらい立派です。

いっしょに演じる

いちばんかんたんな広げ方は、おはなしを遊ぶことです。読んだら、登場人物になりましょう。大人がトロル、子どもがやぎ。大人がおおかみ、子どもがこぶた。手もとにある物を使って。木のスプーンが魔法のつえ、クッションが飛び石、毛布がどうくつ。主役より演出がしたいなら、ぬいぐるみや人形がそのまま配役になります。

演じることで、練習と感じさせずに、子どもは体全体でおはなしを語りなおし、順番とせりふを練習します。おわりを変えたり、おかしなひねりを入れたりしても、それは直すべきまちがいではなく、想像力が働いているのです。

身近な材料を取りいれる

家にもうある物で、お気に入りの絵本をかんたんな家遊びに変えられます。いちばん好きな場面をクレヨンで描く、空き箱と芯でおはなしの家や乗り物をつくる、おはなしに出てくるおやつをいっしょにつくる、紙皿でお面をつくる。どれも特別な物はいりません。

目を向けるのは、きれいな仕上がりではなく、おはなしとそのまわりのおしゃべりです。学びは、完成品ではなく、することとおしゃべりのなかにあります。

小さな世界で遊ぶ

本のなかの場面を小さな遊びの世界として再現し、あとは子どもにまかせましょう。靴の箱が家に、ふきんが海に、動物のおもちゃいくつかが配役に。こうした小さな世界の遊びは、何度でもおはなしを語りなおし、つくりなおし、自分の登場人物や困りごとを足すよう子どもを誘います。「あれれ、どうしよう?」とやさしく投げかけたら、一歩下がって子どもにかじをとらせて。

人形劇は、すてきでかんたんな形です。くつ下、紙袋、顔を描いたアイスの棒が、子どもが声をあてられる登場人物になります。自分として話すより人形を通して話すほうがらくな、はずかしがりやの子にぴったりです。

子どもについていき、軽く

遊びは、子どもがその本の何を好きだったかから育つものにしましょう。だから選ぶのは子どもです。りゅうに夢中だったなら、りゅうをつくる。ピクニックだったなら、ピクニックをする。すすめても、押しつけないで。1時間楽しくおはなしを遊ぶ日もあれば、読んで次へ移りたい日もあり、それでまったくかまいません。無理に遊ばせると、積みあげたい喜びが流れでてしまいます。

遊びながらおはなしのことばをちりばめましょう。「むかしむかし」「それから」「めでたし、めでたし」。子どもは遊びを通して、おはなしの形を吸収します。

よくあるつまずき

りっぱな工作をめざすのが、典型的なわなです。大人がつくった完ぺきな模型は、子どもが自分でつくったぐらぐらの作品より教えることが少なく、プレッシャーでみんながいやになることもあります。ざっくり、手早く、子どもが主役で。

遊びをお勉強に変えてしまうのも、もうひとつの心配です。質問や訂正を始めると、楽しさは消えてしまいます。子どもの想像についていき、先生ではなく遊び仲間として加われば、学びは楽しさの下で静かに起きます。

相談したほうがいいとき

おはなしを遊びで広げるのはおまけで、何かのテストではありません。いつものように、もっと広い心配、たとえば3歳ごろになってもごっこ遊びをめったにしない、ことばが思うように育っていない、よく聞こえていない、見えていないように見える、という場合は、地域の保健師さんやかかりつけの小児科医に伝えましょう。これらは遊び、ことば、聞こえ、見え方の一般的な目安で、警報ではなくやさしく伝えています。早めに伝えるのは、支えへの扉を開けるだけのことです。

覚えておきたいこと

お気に入りの絵本をかんたんな家遊びに変えるには、演じる、描く、廃材でつくる、料理する、小さな世界で遊ぶ。家にもうある物を使って。子どもが好きだったところについていき、ざっくり軽く、遊び仲間として加わりましょう。大切な本をページの外へ連れだすと、理解とことばが深まり、おはなしの時間がもっと魔法のようになります。かかるのは、ほんの少しの想像力だけです。

ポイント: 好きな絵本を、ごっこ、お絵かき、廃材工作、小さな世界の遊びに広げて。家にある物で、ざっくり、軽く、子どもが主役で。

CDC, Positive Parenting Tips: Preschoolers

UNICEF, Learning through play and stories