同じ公園ばかりでいい。通うほど深まる子どもの学び

また同じ公園に行くのは、ちょっとたいくつに感じるかもしれません。子どもには変化や新しい場所、新鮮な刺激が必要なんじゃないか、と思うものです。じつは、その逆であることが多いのです。小さな子にとって、なじみの場所に何度も行くことは制限ではありません。学びのために大人ができる、いちばん力強いことのひとつです。同じ公園に通うことと子どもの発達は、手をとりあっています。なじんでいるからこそ、子どもは新しい場所の表面をなでるのではなく、深く探検できるからです。

なじみの場所が、深い遊びのかぎをあけるわけ

まったく初めての場所に着いた子は、まず受けとめることにたくさんの力を使います。どこに何があるか、何が安全か、どういうしくみか。それはそれで価値がありますが、浅く、目を丸くしている段階の学びです。よく知っている場所にもどってきた子は、そうした下準備がもうすんでいるので、深めることに注意をそそげます。小さなことに気づき、技をみがき、手のこんだ遊びを考えだし、自分の限界をおしひろげる。これが、同じ公園に通うことが発達を支える静かなエンジンです。何も新しいことが起きていないように見えるので、見のがしやすいのです。

お気に入りの絵本を10回目に読むのと、新しい本をぱらぱらめくるのとのちがいを思いうかべてください。なじみのおはなしでこそ、子どもはこまかなところに気づき、次の展開を予想し、ことばで遊びます。なじみの公園も同じように働きます。

技は、味見ではなく練習される

体の技がのびるにはくり返しが必要で、何度も通う同じ遊具は、まさにそれをくれます。1週目にこわかったすべり台が、4週目にはマスターされ、8週目にはもっと勇敢なことへの発射台になっている。1回しか見ないジャングルジムでは、ほんとうの力はつきません。数日おきにのぼるジャングルジムでこそ、同じ動きを体が覚えるまでみがいていけるのです。なじみの場所なら、同じ遊具の上で、おそるおそるから、じょうずに、そして工夫いっぱいへと進んでいけます。

自信も同じです。場所を知っている子は、そこで安心できます。安心している子は、より多くの、そしてよりかしこいリスクをとります。もっと高い段、もっと速い回転、もっと大きなジャンプにいどめるのは、まわりのすべてが知っていて安心できるものだからこそです。

なじみの場所は、気づきを呼ぶ

いつもの公園は、お子さまが時間をかけて観察できる場所になり、まったくちがう種類の学びを支えます。季節とともに変わる木、雨のあとにあらわれて日なたでかわく水たまり、やってくる鳥、ひらく花に気づきはじめます。何度も通うなかで変化をゆっくり観察することが、時間の感覚、自然への理解、注意を向ける深い習慣を育てます。どれも、一度しか見ない場所ではできないことです。

この前から何が変わったか、声に出してふしぎがってみると、そっと支えられます。「水たまり、まだあるかな?」「つぼみ、もうひらいた?」「葉っぱはどこへ行ったんだろう」。こうした小さな問いかけで、なじみの公園は、行くたびに少しずつすらすら読めるようになる、生きた記録に変わります。

つながりと居場所も育つ

同じ場所に同じくらいの時間に行くと、同じ顔ぶれに会います。お子さまにとっては、何度も会う子との友だちづきあいの始まりになるかもしれません。友だちづきあいは、1回きりの出会いをつなげるより、くり返しのなかでずっとよく育ちます。大人にとっては、おしゃべりできる顔なじみの親ができて、外に出るのが楽に、続けやすくなるかもしれません。いつもの公園は少しずつお子さまの世界の一部になり、自分の居場所という感覚、「ここはぼくの、わたしの場所」になっていきます。

ほどよく新鮮に保つ

だからといって、毎回まったく同じでなければいけないわけではありません。よさをなくさずに、なじみを新しくする小さな変化を持ちこめます。ボール、チョーク、しゃぼん玉、バケツがあれば、知っている場所ががらりと変わります。いつもの遊具で新しいチャレンジを提案したり、今日は虫さがし、明日は水たまりの日、と小さなテーマを決めたり。公園は同じままでも、お子さまと公園との関係は育ちつづけます。それが、ほっとするなじみと、やさしい目新しさのあいだの、ちょうどいいところです。

変化をつけるのを、お子さまにまかせることもできます。なじみの土台があると、子どもは基本を考えるのに力を使わなくてすむぶん、おどろくほどじょうずに自分で新しい遊びを考えだします。大人には思いもつかない方法で新鮮にしてくれると、信じてまかせてみましょう。

安心してほしいこと

お子さまが同じ公園に何度も行くのがいちばんうれしそうなら、それは心配ではなく、健やかなしるしです。ただ、どんな変化や新しい場所にもまったく対応できないように見える、くらしのいろいろな場面で小さなちがいにひどく取りみだす、できていたことができなくなってきたように見える、という場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健師さんに気軽に伝えてみる価値があります。たいていは安心して終わります。ほとんどすべての家族にとって、伝えたいことはほっとするものです。わくわくする新しい行き先を、次から次へと用意する必要はありません。大好きな公園ひとつにこまめに通うことが、十の目新しいものより、ずっと多くのことをお子さまにしてくれています。

覚えておきたいこと: なじんでいるからこそ、子どもは深く遊べます。同じ公園にこまめに通いましょう。知っている場所は、新しさの連続より、技、自信、気づき、友だちづきあいをよく育てます。

American Academy of Pediatrics, The power of play

UNICEF, Learning through play