遊具への自信は、せかさずに育てる

公園には、子どもをせかしたくなる、静かなプレッシャーがあります。ほかの子がジャングルジムのてっぺんまでよじのぼっているのに、うちの子はまだいちばん下の段にとりくんでいる。思わず、どうにか早めたくなる。その気持ちはこらえましょう。小さな子の遊具へのほんとうの自信は、押しこんで取りつけられるものではありません。準備ができることと、くり返すことで、1段ずつ育っていくものです。自分のペースで進ませてもらえた子は、せかされた子より、勇敢にも、安全にもなっていきます。

自信は「できた」のあとからついてくる

すべり台のてっぺんまで行かせてしまえば、自信はあとからついてくる、と考えたくなります。でもたいていは逆です。小さな子が自信を感じるのは、体が本当にその技を身につけたときで、身につくのは、手におえることを何度もやったときです。まだ自分でできないことを、もちあげてもらって通りぬけたときではありません。遊具へのほんとうの自信は、もらったものではなく、自分で手に入れた、小さな確かな成功のつみかさねの上にできあがります。

だから、せかすと裏目に出ます。まだ乗りこえていない遊具のてっぺんにもちあげられた子は、かたまったり、パニックになったり、こわい思いをして次から用心深くなったりしがちです。練習した動きをひとつずつ重ねて自分でそこまでのぼった子は、やりとげた深い満足を感じます。その気持ちこそが、次のチャレンジの燃料になります。

準備ができているかを読む

大人が代わりに決めるのではなく、次のことへの準備ができたサインを見守りましょう。準備ができている子は、遊具を興味しんしんに見つめ、じりじり近づき、最初のところを試し、その子なりのやり方で「やりたい」と伝えてきます。まだの子は、うしろに下がり、体をかたくし、ほかのことへ向かいます。どちらも、はっきりした情報をくれています。それをふみこえずについていくと、自分の「準備できた」という感覚は信じていいのだと、お子さまは学びます。それは、身につけておくと役に立つことです。

すすめるだけで、むりじいはしない。「小さい階段、やってみる?ここにいるよ」。そして「いや」を本当に受けいれましょう。今日の「いや」は、ずっと「いや」ではありません。ただ「まだ」なのです。それを大切にすると、公園はお子さまがまた来たくなる場所でありつづけます。

くり返しこそ、本当の先生

自信を育てるいちばん強い道具は、同じ公園に何度も通うことです。なれることは、おどろくほどの仕事をしてくれます。初めて行ったときに手ごわく感じた遊具も、5回目にはふつうのものになり、お子さまは目新しさではなく、やってみることに集中できるようになります。たまの大がかりなお出かけより、少しずつ何度も。近所の公園に週に何度か短く行くほうが、月に1回の遠出より早く自信が育ちます。

大人にはたいくつに見えても、かんたんなことを好きなだけくり返させてあげましょう。同じ小さなすべり台を50回すべるのは、進歩していないのではありません。お子さまは技を、力をいれなくてもできると感じるまで固めているのです。大きいほうにいどむ前に、まさにそれが必要なのです。

コーチではなく、安全基地に

大人の指示より、大人がそこにいることのほうが大切です。子どもは、しっかりつながっていると感じるほど遠くまで探検します。だから、近くにいて、あたたかく、いつでも手がとどくようにしていれば、お子さまは出かけていっては、ときどき大人を確かめに帰ってきます。動きのひとつひとつをコーチする必要はありません。「気をつけて」「しっかりつかまって」「そうじゃなくて」の実況は、世界はお子さまの手におえないほど危ないのだとほのめかし、かえって自信をけずってしまうことがあります。

そのかわりに、静かにそばにいて、がんばりについて正直で具体的なはげましを。「ひとりでのぼれたね」「むずかしいところ、ずっとやってみてたね」。成功したことだけでなく、お子さまがしたことに気づいて、大人に認めてもらうための演技ではなく、お子さま自身がほこらしさを感じられるようにしましょう。

安全なリスクと、小さな転びを許す

遊具は、子どもが自分をためすためにつくられていて、ある程度のリスクはそもそもの目的の一部です。ちょっとすべってもだいじょうぶ、やわらかい地面への低い転び方なら大事件ではなくびっくりですむ、と知ることで、小さな子は自分の判断を調整していきます。年齢に合った遊具とやわらかい地面を選んで場所を整えたら、あとは安全なふちを感じさせてあげましょう。守りすぎると、こわがりになるか、ふしぎなことにむちゃをする子になることがあります。自分の限界を学ぶ機会がなかったからです。

基本は忘れずに。遊具がお子さまの体の大きさに合っているか確かめ、ひっかかりそうなひもや輪のついた服は避け、高い遊具ではそばについて、晴れた日には帽子、日かげ、日焼け止め、水を用意しましょう。

もう少し注意して見たいとき

体を動かすことへの自信は子どもによって大きくちがい、慎重な子のほとんどは、ただもう少し時間が必要なだけです。それでも、前にできていた動きができなくなってきた、体重をかけられない、のぼると痛そうにする、基本的な体の動きが長いあいだまわりの子よりはっきりおくれている、という場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健師さんに気軽に伝えてください。たいていは安心して終わります。ほとんどすべての子にとって、作り方は、根気と、くり返しと、あたたかさです。お子さまのペースについていき、同じ公園にこまめに通い、自信が本当に育つただひとつの道、つまり地面から上へ、育つのを待ちましょう。

ここがポイント: 自信は本物の「できた」のあとからついてきます。ひとつずつ自分のペースで身につけさせ、同じ公園にこまめに通い、上へとせかさないようにしましょう。

NHS, Physical activity guidelines for children under 5

American Academy of Pediatrics, Playground safety