動いて止まる、小さな子のダンス遊び

音楽が止まって、みんながくねくねの途中で固まったときの、子どもの特別なくすくす笑い。そのうれしい間は、ただの笑いではありません。動いて止まるダンス遊びはその喜びに乗って、幼児期でいちばんむずかしい力のひとつを静かに育てます。どうしても動きつづけたい体を止める力です。遊びと練習が、きれいにひとつにたたまれています。

止まることが、いい練習になる理由

子どもを動かすのはかんたんです。本当の仕事は、止まるほうにあります。合図で固まるには、合図を聞き、それを理解し、続けたいという強い気持ちをおさえる必要があります。その努力こそが、自分をおさえる力を育てます。のちに順番を待つ、つかむ前にひと呼吸おく、言われたら落ちつく、に使う力と同じです。音楽と笑いにつつまれているので、このむずかしい頭の仕事が、ただの楽しさに感じられます。

いちばんシンプルな形

まずは基本から。元気な歌を歌うかハミングしながらいっしょにおどり、音を止めて「ストップ」と言い、大人もじっとします。また始めたら、みんなおどる。それが遊びのすべてです。大人の固まったポーズも楽しさの一部なので、おかしな像になりきってキープしましょう。子どもは大人の手本を読みとります。片足で固まった大人は、どんな指示よりずっと引きつけます。

変化をつける

形になじんだら、小さなひと工夫で新鮮に保ちましょう。

  • 形を決めて固まる。星、ボール、いちばん大きく、いちばん小さく。
  • 動物になって固まる。とびかかるねこ、ねむたいナマケモノ、羽ばたきの途中の鳥。
  • ぐらぐら像。そっとゆれながらじっとしようとする。とてもおかしいです。
  • スローモーションで動く。固まるあいだはスローモーションでおどり、ペースに変化を。
  • 体のところだけストップ。おどりつづけたまま、手だけ、足だけ固まる。

いろいろな合図を

止まる合図は、音が止まることでなくてもかまいません。決めたことば、上げた手、太鼓のトン、明かりを消してつける。合図を変えると、子どもはなんとなくおどるのではなく、本当に聞いて、見ているようになります。どの合図が来るかわからないので、注意もやさしくのびます。ひとつの遊びのなかでは合図ははっきり一定にして、子どもが成功できるように。

子どもにリードさせる

ときどき力をわたしましょう。子どもに「ストップ」「ゴー」を言ってもらう、大人がおどって固まるあいだ音楽を止める係をしてもらう。大人がいつ固まらなければならないかを自分が決められるのは、小さな子にとってわくわくすることで、いつもの力関係が逆になるのが大好きです。きまりを守って使う練習にもなり、それ自体がひとつの学びです。

年齢に合わせた遊び方

小さな子がきれいに固まらないのは、まったくかまいません。くねくねしつづけたり、1拍おくれて固まったり、少し間をおいて大人のポーズをまねしたり。どれも立派な挑戦です。幼児期の後半なら、もっとぴたっと止まれて、むずかしい形をキープするチャレンジを楽しみ、変わる合図にも対応できます。期待はその子に合わせ、完ぺきな像ではなく、止まろうとした努力を喜びましょう。動いて止まるダンス遊びがうまくいくのは、その子の自分をおさえる力が今どこにあっても、そこに合わせられるからです。

安全に、落ちついて

少しの場所と、いくつかの気配りで楽しいままです。こわれ物を移動し、回っている子がテーブルのふちにぶつからないよう通り道をあけ、なめらかな床でははだしかすべり止めつきの靴下で。この遊びは子どもを落ちつかせるのと同じくらい高ぶらせることもあるので、元気さに目を配りましょう。いい方法は、最後をゆっくりやさしい回にして、やわらかいねむたい形で固まること。静かなことに移る前に、遊びが子どもを落ちつかせてくれます。

そっと気にとめておきたいとき

たいていの小さな子はこの遊びに大喜びで飛びつきますが、自分をおさえる力はゆっくり、でこぼこに育つので、「ストップ」でもくねくねしているのは長いあいだふつうのことです。時間がたっても止まる合図にまったく反応しない、音楽や大人の声が聞こえていないように見える、そろそろと思う年齢になってもまったく動いたりおどったりしない、できていたことができなくなった、という場合は、地域の保健師さんやかかりつけの小児科医に伝えましょう。見ているのは聞く力と体の動きで、完ぺきな像ではありません。

この遊びに居場所がある理由

これほど少しのことに、これほどたくさんつまった遊びはあまりありません。動いて止まるダンスは、子どもに楽しい体の動きと、聞く力と自分をおさえる力のしっかりしたトレーニングと、きまりにしたがう番と決める番の両方をくれます。道具もいらず、場所もほとんどいらず、赤ちゃんにも小さな子にも幼児にもかんたんに合わせられます。おふざけのまま、大人と同じくらい子どもにもリードさせて、固まる瞬間を役に立つのと同じくらいおかしいものにしましょう。

ポイント: 学びがあるのは止まるところ。遊びは楽しいままに、合図を変え、「ストップ」を言う番を子どもにも。

WHO, Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under five

CDC, Learn the Signs. Act Early. Milestones