家族で楽しむ、やまびこ歌あそび

ひとりが一節歌い、もうひとりがそれを歌い返す。そこには古くからの、シンプルな楽しさがあります。わらべうたの「あぶくたった」から山でのやっほーまで、人はずっとこの遊びをしてきました。そしてそれは、家でとても小さな子とでもすてきにできます。家族のやまびこ歌あそびに、技術も道具もいりません。ちょっと歌うリーダーと、こたえる子ども。ふたりでボールのように音を投げあうだけです。

この形の歌がいい理由

呼びかけとこたえには、子どもへの贈り物が組みこまれています。子どもの番がはっきりあることです。大人が歌って、止まって、待つ。その静けさが、子どもにそこをうめるよう誘います。これは会話を支えるリズムと同じ、順番のやりとりを教え、こたえる前に大人の一節に注意を向けなければならないので、聞く力もみがかれます。プレッシャーも小さくなります。子どもは歌をまるごとひとりで歌うのではなく、大人にこたえるだけなので、安心してできると感じられます。

いちばん小さな子から

赤ちゃんでも、ことばより前からかんたんな形で遊べます。短く「ラ、ラ、ラ」と歌って、止まって、期待をこめて見つめると、赤ちゃんはクーイングやなんご、手をふることでこたえるかもしれません。それをまた歌い返し、赤ちゃんの声をちゃんとした返事として受けとめましょう。これがはじめての二重唱です。赤ちゃんの音をまねすることで、自分の出す音には意味があると伝わります。月日とともに、なんごはメロディーに、やがてことばに近づいていきます。

試してみたい遊び

  • やまびこ歌。短い一節を歌い、子どもにそのまま返してもらい、それから役を交代する。
  • 名前の返事。「ゆいちゃんは、どこかな?」と歌い、子どもに「ここだよ」と歌うか大きな声で返してもらう。
  • ことばをひとつ足す。大人が歌い、子どもが最後のことばを足す。「きらきらひかる、おそらの……」。
  • 動物の鳴き声。「うしさんは?」と歌い、子どもが「モー」とこたえて、牧場をひとまわり。
  • リーダーについて。リーダーが動きや音をつくり、みんながそれを返す。

こたえる場所をつくる

大人にとって本当の技は、間です。急いで先へ進み、自分ですきまをうめたくなりますが、待つことこそ、子どもが入ってくる場所です。一節歌ったら、にこにこと「あなたの番だよ」という顔で、親しみのある、期待のこもった静けさを、しぜんに感じるより長めにとりましょう。時間をもらった子は、しばしば大人を驚かせます。何も来なければ、大人がこたえを歌って、プレッシャーなしにもう一度。

成長に合わせて遊びを広げる

小さな子は、こたえを大声で言うのが大好きで、次に何が来るかちゃんとわかっている歌が好きです。幼児期の後半なら、長い一節をくり返し、リーダー役をつとめ、新しい呼びかけを考えて大人に試すこともできます。子どもが何人かいる家では、上の子がリードし、赤ちゃんがなんごで返すように、みんなが自分のレベルで加われる遊びになります。同じ遊びが、家族まるごとにぴったり合います。

ふつうの時間に織りこむ

わざわざ時間をとる必要はありません。ブランコを押しながら小さな呼びかけを歌い、もどってくるときにこたえを待つ。声がよくひびくお風呂や車の中で、やまびこ歌を。片づけを呼びかけとこたえに。「つみきは」「はこのなか」。声だけの遊びなので、一日のどんなすきまにもすっと入り、待ち時間や家事を、いっしょの楽しいリズムに変えます。

テストではなく、あたたかく

目的はつながりで、正しいこたえではありません。ちがうことばを返しても、音がはずれても、思いもよらないこたえが返ってきても、直すべきまちがいではなく、すてきな参加として受けとめましょう。笑って、それを広げて、やりとりを続けます。こたえが歓迎されていると感じる子は、何度でもこたえてくれます。正確さより、その「やってみよう」という気持ちのほうがずっと大切です。

発達について、やさしいひと言

歌のやりとりからは、子どもがどのように聞き、順番をとり、声を使っているかが、それとなく伝わってきます。発達のペースはひとりひとりちがうので、加わったり加わらなかったりするのは、とくに最初の数か月や数年はふつうのことです。時間がたっても大人の声や歌に反応しない、そろそろと思う年齢になってもなんごやことばがまったくない、幼児期に入っても遊びのやりとりで順番をとることがない、できていたことができなくなった、という場合は、地域の保健師さんやかかりつけの小児科医に伝えましょう。

続ける価値がある理由

呼びかけとこたえは、子どもと音楽をつくる、いちばん古くていちばんかんたんな方法のひとつで、少しの手間でたくさんのものをくれます。順番のやりとりと聞く力を教え、いちばん小さな赤ちゃんも迎えいれ、何年も子どもといっしょに育っていきます。一節歌って、たっぷり間をあけて、子どもにできる形でうめてもらいましょう。大切なのは歌よりも、ふたつの声がまんなかで出会うことです。

ポイント: 短く一節歌ったら、たっぷりのあたたかい間をあけて。子どもが自分なりにこたえられるようにし、どんな返事も喜びましょう。

NHS Start for Life, Learning to talk

CDC, Positive Parenting Tips