赤ちゃんや小さな子と、手をたたくわらべうた遊び
ことばを話すずっと前から、赤ちゃんはリズムを感じとります。そっと手をたたき、間をあけて、もう一度たたく。赤ちゃんは大人の手と顔を見つめて、次に来るものを待っています。この小さなやりとりが、手をたたく遊びの中心で、とても小さな子と音楽とふれあいを分かちあう、いちばんかんたんな方法のひとつです。道具も、技術も、いい歌声もいりません。必要なのは大人の手と顔と、急がない数分だけです。
この遊びがとてもうまくいく理由
手をたたくのは、いちばんシンプルな形にまでそぎおとした音楽です。目で見えて、耳で聞こえて、体で感じられる拍が、同時にそこにあります。遊んでいるあいだ、子どもは音を聞き、大人の手の動きを見て、自分の手のひらに軽くふれられるのを感じます。そのいくつもの感覚のまじりあいこそ、小さな脳がひかれるものです。「おせんべやけたかな」のようななじみのわらべうたには決まった形もあるので、子どもはだんだん次の拍を予想し、やがて加わるようになります。
赤ちゃんが本当に学んでいること
くすくす笑いのうしろで、たくさんのことが静かに起きています。手拍子をまねすることで、のちに会話を支える「あなたの番、わたしの番」というリズムの順番のやりとりが育ちます。大人の手をポンとたたこうと手をのばすことで、目と手の連携が強まります。一定の拍を聞くことで、ことばと深く結びついた、はじめての聞く力が育ちます。どれも確かめる必要はありません。ふたりで楽しんでいるあいだに、学びはひとりでにやってきます。
とても小さな赤ちゃんとは
小さな赤ちゃんとは、ゆっくり、顔を向かいあわせて。ひざの上にすわらせるか、心地よい場所に寝かせて、目に入るところでそっと手をたたき、間をあけてにっこり。赤ちゃんの手を持ってやさしく合わせながら、ことばを歌っても。合図をよく見ましょう。目がかがやく、足をバタバタする、じっと見つめる、は「もっと」。顔をそむける、ぐずる、はやめどきです。ついていかなければならないペースはありません。
小さな子とは、さらに広げて
小さな子は自分が主役になりたがり、それこそがねらいです。その子なりのかたむいたたたき方、拍をはずす、めちゃくちゃに速くなる、どれもそのままに。名前を入れたり、最後のこちょこちょを大きくしたり、全部をうんとゆっくりにしてから驚かせたり。歩いて話すようになった子との手遊びでは、楽しさは正しくやることではなく、変化にあります。
試してみたい遊び
- 「おせんべやけたかな」。最後にやさしいこちょこちょや、「やけたかな」でひっくり返すまねを。
- 「いっぽんばしこちょこちょ」。手のひらに丸をかいてから、やさしく腕をかけのぼる。
- まねっこ手拍子。大人が2回たたいて、子どもがたたき返すのを待つ。
- 名前の手拍子。子どもの名前の音ひとつにつき1回たたく。
- はやい、おそい手拍子。「ゆーっくり」とささやいてから、「はやく、はやく、はやく」と速く。
練習ではなく、遊びのままで
遊びがお勉強のように感じられた瞬間、その魔法はうすれます。子どもについていき、気に入ったところはくり返し、ほかはやめましょう。1回が30秒で終わってもまったくかまいません。くり返しはあきではなく、大事な特徴なので、同じ遊びを100回してもちゃんと意味があります。うまくいっているかを教えてくれるのは、正確さではなく笑い声です。
ふつうの一日に入れる
この遊びは、もうあるすきまにすっと入ります。おむつがえで、くねくねをくすくすに変える。食事が来るまでのハイチェアで。退屈がふくらんできたベビーカーでの順番待ちで。道具は手だけなので、どこへでも持っていけて、待合室や長い移動での便利な落ちつかせ方にもなります。
ほかに世話をする人とも分かちあう
おじいちゃんおばあちゃん、保育者、上のきょうだいもみんな加われて、子どもはちがう人から同じ遊びを聞くのが大好きです。みんながまったく同じにたたく必要はありません。助けになるのは、分かちあうぬくもりとなじみのメロディーで、その日世話をしてくれるのがだれでも、子どもは包まれていると感じられます。
だれかに相談したいとき
手遊びは、子どもが聞こえていてこたえていることを、そっと安心させてくれます。生後6か月から12か月ごろまでには、ふつう音に反応し、声のほうを向き、こうしたやりとりを楽しみはじめます。音に気づいていないように見える、目が合うことがめったにない、時間がたっても名前に反応しない、できていたことができなくなった、という場合は、地域の保健師さんやかかりつけの小児科医に伝えましょう。確信を待つより、自分の直感を信じてください。
覚えておきたいこと
ここでのよさを子どもに届けるのに、計画も決まった流れもいりません。手拍子と笑顔と、子どもについていく気持ちがあればじゅうぶんすぎるほど。大切なのは、まずつながり、次にリズム。どちらも、気が向いたときにいっしょにするだけで育っていきます。
ポイント: 手をたたく遊びに必要なのは、大人の手と注目だけ。短く、楽しく、子どもについていきましょう。