うく?しずむ?幼児と楽しむ水の実験
洗いおけと、台所の引き出しから出したいくつかの物、そして急がない10分。それだけで、小さな頭はふしぎに思いはじめます。重い木のスプーンが水面にうかんでいるのに、小さな金属の鍵がまっすぐしずんでいくのはどうして?水遊びはばしゃばしゃしているだけに見えますが、笑い声の下で、お子さまは証拠を集め、パターンを見つけ、世界のふるまいについての、はじめての予想を立てているのです。
水を入れた入れ物ひとつが、こんなに夢中にさせる理由
この遊びの魅力は、その中心にある小さなびっくりです。結果はすぐに出て、しかも小さな子の思ったとおりとはかぎりません。大きなコルクはぷかぷかうかび、小さな硬貨は底へ消えていく。子どもが予想したことと実際に起きることのそのずれこそが注意を引きつけ、注意こそが、はじめての科学の始まりです。
子どもと分かちあえることばで言うと
うくかどうかは、大きく見えるか小さく見えるかではなく、大きさのわりにどれだけ重いかで決まります。とじこめた空気も関係します。アルミホイルを丸めるとしずむのに、同じホイルを小さな船の形にするとうきます。空気をかかえるようになったからです。密度ということばを声に出す必要はありません。まずはお子さまに手と目でパターンを感じてもらいましょう。ことばは、経験のあとからついてきます。
集めるもの
- ぬるま湯を半分くらい入れた、大きな洗いおけ、きれいな流し、ベビーバス。
- 安全な物をのせたトレー。コルク、プラスチックのふた、木の洗たくばさみ、金属のスプーン、つるつるの石、かわいたスポンジ、りんご。
- まちがいなく飛ぶ水しぶきのためのタオル2枚。
- うく物用としずむ物用の、箱か輪をふたつ。
まだ物を口に入れる子には、ピンポン玉より大きい物を選びましょう。
遊びの進めかた
物をひとつかかげて、どうなると思うかお子さまに聞きましょう。水に入れてもらって、よく見ます。それから、うくグループかしずむグループに置くのを手伝います。わかりやすい物と、びっくりする物をまぜながらくり返しましょう。たとえば、皮のついたみかんはうくのに、皮をむくとしずみます。本当の学びは、物が水にふれる前のひと呼吸にあります。その予想する瞬間に、お子さまは小さな考えをつくって、それを試しているのです。
遊びのなかで育つ力
うく・しずむ実験は、静かにいくつもの力をまとめて育てます。予想して、確かめる練習をします。物をグループに分けるのは、はじめての算数の考えです。うく、しずむ、重い、軽い、水面、といったことばを身につけます。指先が、つかむこととはなすことがじょうずになります。なにより、予想は正しいかまちがいかではなく、ただ試してみるものだと学びます。それぞれのグループにいくつ入ったかを数えれば算数がひとつまみ加わり、ぷかぷかのコルクからしずんでいく硬貨まで、見たものに名前をつけると、ことばも育ちます。
大きくなったら、もう少し公平な実験に
年中、年長くらいの子は、やさしい挑戦を楽しめます。アルミホイルをかたく丸めてしずむのを見て、それから平らにして船の形にし、うくのを見る。形が結果を変えるとわかります。かわいたスポンジがうくか聞いて、ゆっくり水をすって低くしずんでいくのを見まもりつづける。「確かめるために、もう一回やってみよう」ということばを紹介しましょう。それが、公平な実験と、くり返して同じ結果が出ることの、最初の種になります。
水遊びを安全に
水には、親が全部の注意を向けていなければなりません。数センチの水でも、赤ちゃんや小さな子を決して水とふたりきりにしないでください。小さな子はすばやく、音もなく水にしずんでしまうことがあります。ずっと手の届く範囲にいて、スマホは離しておきましょう。硬貨やビー玉などの小さな部品は、まだ物を口に入れる赤ちゃんの手の届かないところに。のどにつまる危険があります。終わったら、水を入れたまま置いておかず、すぐに捨てましょう。
専門家に話してみる価値があるとき
この遊びはただ楽しむためのもので、お子さまが合格したり、やりとげたりしなければならないことは何もありません。それでも、わが子のことをいちばん知っているのは親です。2歳の誕生日ごろになっても、探ること、遊ぶこと、加わることにほとんど興味を示さない、あるいは体の動き、聞こえ、伝えあうこと、手の使いかたにもっと広い心配がある、という場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健師さんに落ち着いて伝えましょう。早めに質問するのは大げさではなく賢明なことで、心配に早く気づくほど、支援も整えやすくなります。
雰囲気は、軽やかに
お子さまにリードしてもらいましょう。同じコルクを20回ポチャンとやりたいなら、そのくり返しこそが小さな子が理解を組みたてる方法なので、そうさせてあげてください。予想をいちいち直したり、クイズにしたりしたくなる気持ちはおさえましょう。うく・しずむ実験のねらいは、きれいな結果の表ではありません。自由にふしぎがって、試して、また試せる、好奇心いっぱいの子です。
ポイント: 水を入れた入れ物と安全な物をいくつか用意し、入れる前に毎回予想に誘って、お子さまのペースでパターンを発見させてあげましょう。安全のため、親はずっとそばに。