赤ちゃんの心と人とのつながりの育ち、どんなふうに見える?

赤ちゃんの心と人とのつながりの育ちは、くり返されるお世話のひとときから始まります。赤ちゃんが、おなかがすいた、気持ちが悪い、おもしろい、眠い、とサインを出す。だれかがこたえる。そのやりとりを重ねるうちに、赤ちゃんは、人はなぐさめ、やりとり、いっしょの楽しさをくれる存在なのだと学んでいきます。

1年のあいだに、つながりは変わっていく

はじめの数か月、人とのつながりの育ちは、なじみの声で落ち着く、顔を見る、やりとりのあいだに目がぱっちりしてくる、といったかたちで見えるかもしれません。笑顔や声のやりとりが、だんだんわかりやすくなります。そのうち、なじみの人にはっきり大喜びする、表情で遊びを続けようとする、知らない人には慎重になったり、離れるときにかなしがったりするようになります。

決まった台本ではなく、サインにこたえる

  • 赤ちゃんがいっぱいいっぱいに見えたら、近づいて、声をやわらかく。
  • 笑顔や声をまねして、次の番を待つ。
  • 決めつけずに、ありそうな気持ちに名前をつける。「今の音、びっくりしたね」。
  • 赤ちゃんが泣いているときは、まずなぐさめ、それから遊び。

こたえるお世話とは、すべてのもどかしさを防ぐことではありません。気づき、読みとり、ちょうどいいときに、合ったかたちでこたえることです。こたえが、ごはんやなぐさめのこともあれば、ひと間おくこと、より安全な線引き、もう少しがんばれる余地であることもあります。

大人の落ち着きを、赤ちゃんに貸す

赤ちゃんは、強い気持ちをひとりで整えることができません。だっこ、ゆらゆら、授乳、歌、静かにそばにいることで、くり返しなだめてもらうことで、こなせるところまで戻ってこられます。好きな組み合わせは赤ちゃんによってちがいます。ひとつのこたえで落ち着かないときは、不快感、暑さ寒さ、空腹、病気、刺激の量を確かめましょう。

大人自身の余力も守る

大人が疲れきっていたり、孤立していたりすると、こたえる子育てはむずかしくなります。泣き声で自分がいっぱいいっぱいになったら、赤ちゃんを安全な場所に寝かせて、少しだけ離れてひと息つきましょう。できるなら、ほかの信頼できる大人に代わってもらいます。赤ちゃんを決してゆさぶらないでください。

心配を相談したいとき

音や人の働きかけにほとんど反応しない、年齢のわりに目が合うことがとても少ない、ほかの心配とあわせて、とてもなだめにくい、人とのつながりやコミュニケーションでできていたことができなくなった、というときは、医療者に相談しましょう。医師は、聞こえ、見えかた、健康、発達を合わせて考えてくれます。

愛着は、ふつうの頼りがいの中で育つ

愛着は、一度の完璧なこたえや、特別な活動でつくられるものではありません。ごはんをもらい、なぐさめてもらい、守ってもらい、いっしょに楽しんでもらう、という体験のくり返しで育ちます。大人がサインを読みちがえることもあります。大切なのは、こたえが助けにならなかったことに気づき、変えて、また戻ってくること。このやりなおしのパターンが、安心できる関係の一部なのです。

赤ちゃんは、頼りになる2人以上の大人と、親しい関係を結べます。声、遊びかた、流れがちがうので、それぞれの関係は少しずつちがって見えるかもしれません。すべての大人が同じようにふるまうことより、いつも変わらない安全とこたえてもらえることのほうが大切です。

赤ちゃんは、大人の落ち着きを借りる

泣いている赤ちゃんは、深呼吸をしたり、気持ちを理屈で考えたりできません。刺激を減らし、体でなぐさめ、実際の必要を満たしてくれる大人に頼っています。そのうち、くり返しいっしょに気持ちを整えてもらう経験が、自分で落ち着く方法を育てていきます。泣いたときにこたえても、自立をさまたげることにはなりません。自立に、安心の基地をあげることなのです。

いっしょに気持ちを整える方法

  • 別の方法を足す前に、まず声を落とし、動きをゆっくりに。
  • 空腹、暑さ寒さ、不快感、眠さ、刺激の量を確かめる。
  • だっこ、ゆらゆら、歌、静かにそばにいる、のなじみの組み合わせを使う。
  • 赤ちゃんがもっと泣くようになったら、手を止めて、やりかたを変える。

表情を読む力と、はじめての場面

1歳に近づくと、何か新しいことが起きたとき、赤ちゃんはなじみの大人のほうを見るようになることがあります。大人の表情、姿勢、声が、その場面が安全かどうかの情報になるのです。ふれあいを無理にさせず、落ち着いてそばにいましょう。慎重な赤ちゃんは、加わる前に、大人の腕の中からお客さんをながめる時間が必要かもしれません。

記憶と愛着が育つにつれて、人見知りや、離れるときのいやがりが強くなることがあります。うそのない短いバイバイと、見通せる再会を。こっそりいなくなると、そのときのつらい場面はさけられても、大人が出かけることをわかりにくくしてしまいます。

気質によって、表しかたが変わる

新しいものにすぐ近づく赤ちゃんもいれば、長くながめている赤ちゃんもいます。音、動き、もどかしさに強く反応する赤ちゃんもいれば、静かにサインを出す赤ちゃんもいます。気質に、よいも悪いもありません。安全な機会は残しつつ、ペースと環境を合わせましょう。慣れるのに時間がかかる赤ちゃんも、人前で「人見知りな子」とラベルをはられずに、支えてもらえます。

人とする遊びは、とても小さくていい

いないいないばあ、表情のまねっこ、歌の途中のひと間、物のわたしあい。どれにも、同じものに注意を向けることと、順番のやりとりがふくまれています。赤ちゃんがまだ楽しいうちに終わりにしましょう。赤ちゃんが目をそらしたら、休ませてあげます。やりとりから離れたい気持ちを尊重することも、こたえる人とのやりとりの一部です。

相談したいパターン

人や音への反応がとても少ない、いっしょに楽しむことが少ない、目線や身ぶりをコミュニケーションに使うのがむずかしい、ひどい泣きがずっと続く、人へのこたえがなくなった、という心配があれば、相談しましょう。ひとつの行動で何かが診断されることはありません。医師は、聞こえ、見えかた、健康、発達、そして赤ちゃんをよく知る人たちの観察を、合わせて考えてくれます。

ポイント: 一日中赤ちゃんをご機嫌にしておく必要はありません。心の育ちには、かなしくなって、支えてもらいながら安心へ戻ってくる経験もふくまれています。

WHO, Nurturing care for early childhood development