入園後、家でべったり甘えん坊になったとき

保育園には、うまく慣れてきているように見える。先生からも、楽しく遊んで、給食も食べて、活動にも参加していると聞く。それなのに家では、まるで影のようにくっついてきて、抱っこをせがみ、親が部屋を出ようとすると許さず、ちょっと台所に行くだけで泣きだしてしまう。わけがわからず、くたくたになりますよね。入園後に家でべったりになる子は、たいていとてもいじらしいことを伝えています。一日じゅうがんばったから、今は親でタンクを満たしたい、ということです。

一日がんばると、家でべったりになる理由

集団の中で過ごすことは、小さな子にたくさんのことを求めます。親と離れることを乗りこえ、先生の注目をみんなと分けあい、決まった流れにしたがい、何時間も気持ちを保つ。そのすべてが心のたくわえを使いはたします。そのがんばりを手ばなしてもいいと思えるほど安心できるのが、家と親なのです。べったりは、保育園が子どもを傷つけているしるしではなく、親を心から信頼していて、勇気を出した一日のあとにつながりなおしたいしるしです。そう理解すると、ずっと気長に受けとめられます。

慣れていく途中の、ふつうの姿

べったりが増えるのは、園に慣れていく途中によく見られる姿のひとつで、朝の別れがうまくいっていても現れることがよくあります。発達のふつうの段階である分離不安が、親と定期的に離れるという新しい体験を受けとめているあいだ、強くなることがあるのです。ほとんどの子は、園がなじみの場所になり、自信がついてくるにつれて、数週間でやわらいでいきます。入園後のべったりは、たいてい慣れるまでの一時期で、ずっと続く新しい姿ではありません。

正すより、まずつながる

子どもがくっついてくると、自立をうながしたり、そっと離したりしたくなるかもしれません。でも、慣れていく時期には、その反対のほうがうまくいきます。くっつきたい気持ちにこたえると、たいていその気持ちは満たされ、こばむと不安が高まりがちです。ぎゅっも、ひざの上も、いつもより多めの注目も、あげましょう。つながりなおしたい気持ちが満たされた子は、ほしい近さを得るためにどんどん強く求め続けなければならない子より、たいてい早く落ち着き、ひとり遊びに戻っていきます。

つながりなおす時間をつくる

園の一日の終わりは、子どもがいちばん親を必要とする時間です。やわらかい着地を守りましょう。家事や夜の流れにとりかかる前に、おやつ、ぎゅっ、そしてほかに気をとられない、急がない時間を少し。それがタンクを満たしてくれます。10分か15分、床に座って子どもが決めた遊びにつきあうだけでも、そのあとのべったりがぐっと減ることがあります。親を求める気持ちが早めに満たされると、夜じゅう続きにくくなります。

家は、見通しがあってあたたかい場所に

入園後にべったりになっている子にとって、家がいつも同じであることは、深い安心になります。決まった寝る前の流れ、食べなれたごはん、落ち着いた見通しのある夜。たくさんのことが新しいあいだ、それが子どもにしっかりした足場をくれます。待てるなら、ほかの大きな変化を足す時期ではありません。家が安心できて急がない場所に感じられるほど、子どもはリラックスして、少しずつにぎった手をゆるめていけます。

家の中の小さなお別れも、やさしく

家の中でも、親が部屋を出ると子どもがいやがることがあります。そっといなくなるのではなく、どこに行くか、すぐ戻ることを伝え、約束どおり戻りましょう。そうすると、親はかならず戻ってくる、という実績が積みあがります。「今、台所にいるよー」と明るく声をかけ続けると、少し離れていてもつながりが切れません。いないいないばあやかくれんぼで、離れるこわさを、楽しく終わる遊びに変えることもできます。

親自身の余力も守る

ずっとくっつかれているのは本当に消耗しますし、親自身も長い一日の終わりなら、さわられるのがもう限界、と感じるのもふつうのことです。できるときはもうひとりの大人と分担すること、これは子どもが通りすぎていく一時期だと思い出すこと。どちらも助けになります。親がからっぽでないほうが気長さを保ちやすく、親の落ち着いた存在こそが、子どもがまた自立していけるほどの安心をくれます。

もっと支えが必要なとき

数週間でやわらいでいくべったりは、慣れていく途中のふつうの姿です。ただ、べったりが激しく、数週間たってもよくなる気配がない、ひきこもる、食欲が落ちたまま戻らない、眠りがひどく乱れているなど、ほかの気になる変化といっしょに出ている、ただ近さを求めているのではなく本当にこわがっているように見える、という場合は、担当の先生や地域の保健師さんに相談してください。つらさが園での何かと関係していると感じたら、直接伝えましょう。親の直感を信じて早めにたずねるのは、いつだって理にかなったことです。

ポイント: 入園後に家でべったりになる子は、たいてい一日がんばって、つながりなおす必要があります。近さにはあたたかくこたえ、毎晩つながりなおす時間を守りましょう。

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