幼稚園に行く前の朝を、おだやかにする工夫

小さな子との朝は、朝ごはんの前からもう負けが決まっている競争のように感じられます。靴は片方ゆくえ不明、気持ちはあふれ、時間に間に合わせなきゃというあせりが、小さなつまずきを大きな壁に変えてしまう。でも、朝をなめらかにするのは、しつけよりも仕組みです。毎朝の決めごとをいくつか先に片づけておけば、親も子も、気持ちが乱れる種がそれだけ減ります。

朝が、その日の調子を決める

どんなふうに園に着くかで、子どもの一日のはじまりかたが変わります。急かされ、叱られ、追いたてられるように家を出た子は、その緊張を教室まで持ちこみ、朝の別れでのべったりや涙として出てくることがあります。いつもの順番を、ほとんどぶつからずに進んできた子は、落ち着いて輪に入る余裕をもって着きます。朝のすべてを思いどおりにはできませんが、毎日くり返す部分は形づくれます。

前の晩から始める

おだやかな朝の多くは、実は前の晩につくられています。服を出す、園のかばんを用意する、朝ごはんを決める、靴を両方そろえる。誰も時間に追われていないうちにすませておけば、朝のもめごとの種がいくつも消えます。小さな子は、よく休んでいるほうがずっと上手に乗りこえられるので、毎日決まった、十分に早い寝る時間は、どんな裏ワザよりも朝のためになります。眠りが足りないと、ほかのことも全部うまくいきにくくなります。

一日に、見通しのある形を

子どもは、次に何が来るかわかると生き生きします。シンプルで毎日同じ順番は、とても大きな助けになります。たとえば、起きる、ぎゅっ、着がえ、朝ごはん、歯みがき、靴、玄関。きっちりした時間割はいりません。いつも同じ順番があればいいのです。壁にお支度ボードをはっておくと、まだ字が読めない子もそれを見ながら進められ、できたところに自分で印をつける係にもなれます。協力が意地の張りあいではなく、ちょっとした誇りのもとに変わります。

急がない時間を少し確保する

急ぐことは、おだやかな朝の大敵です。大人が時計を気にしてあせっていると、子どもはそれを感じとり、まるでプレッシャーにあらがうように、ますますゆっくりになることがよくあります。必要だと思うより数分早く起きると、ゆとりができます。飲み物をこぼしても、子どもの気が変わっても、朝全体がストレスに傾かずにすみます。そのゆとりこそが、あわただしい朝とおだやかな朝を分ける、いちばん大きな違いであることが多いのです。

小さな、本物の選択肢を

自分には何も決められないと感じている小さな子は、思いがけないところで意地を張ることがあります。かぎられた選択肢をわたすと、終わりのない交渉の扉を開かずに、自分で決めている感覚をもたせられます。「赤いコップと青いコップ、どっちにする?」「靴下からはく?それとも上の服から?」。選択は本物ですが、範囲は決まっています。何かを決めたいという気持ちはたいていそれで満たされ、朝は止まらずに進みます。

朝ごはんはシンプルに、いつもどおりに

朝ごはんは朝のエネルギーのもとですが、がんばる場面ではありません。わが子が実際に食べてくれる、食べなれたかんたんなごはんのほうが、食べてもらえない栄養満点の計画より価値があります。起きてすぐはおなかがすかない子なら、今は少しだけ食べて、あとで食べるおやつを持たせる、というのも十分な落としどころです。ひと口ごとに押し問答をすると、いちばん落ち着かせたい場面に、まさつを足すことになります。

親自身のペースと気分を見つめる

子どもは、まわりの大人から落ち着きを借りています。心の中では時計にせかされていても、声は低めに、動きはゆったり保てれば、子どもも落ち着いていやすくなります。何もかも平気なふりをする、ということではありません。子どもが落ち着いていられるよう、親がどっしりした存在でいる、ということです。いちばん大変な朝ほど、声を大きくするより、小さくするほうが効くことがよくあります。

最後のひと区間を、なめらかに

家から園への切りかえは、それだけでひとつの小さな出来事です。玄関での短くあたたかいバイバイは、長くて不安なバイバイよりも、ずっと上手におだやかな朝をしめくくってくれます。お別れを短く自信をもってすませると、離れることは当たり前で安全なことだと子どもに伝わります。持っていってよいお気に入りの物や、担任の先生とのちょっとしたひと言が、親の腕と教室とのあいだに橋をかけてくれます。

調整しながら、自分にもやさしく

毎朝そのとおりにいく流れはありません。病気、寝られなかった夜、成長の時期、ありふれたぐずり。どれも流れをくずしますが、それがふつうです。いつもうまくいく流れではなく、だいたいうまくいく流れをめざしましょう。ある段階でいつもつまずくなら、全部をやめるのではなく、その部分だけを変えます。おだやかな朝の流れは、初日に完璧にするものではなく、何週間もかけて磨いていくものです。

もう少しよく見たいとき

朝がいつも激しくつらそう、ただいやがっているというよりこわがっているように見える、眠り、食事、気分の変化もいっしょに数週間以上続いている、という場合は、担任の先生や地域の保健師さんに相談してみる価値があります。激しいつらさが続くときは、園での何か、あるいはもっと広い心配ごとが背景にあることもあり、目を向ける価値があります。

ポイント: 準備は前の晩に。順番は毎朝同じに。そして、誰も時計と競争しなくていいよう、急がない数分を組みこんでおきましょう。

CDC, Positive Parenting Tips: Preschoolers (3-5 years)

NHS, Sleep tips for children