転園を小さな子にどう伝える?わかることばで話すコツ
保育園を移ることは、子ども以上に親の心をざわつかせることがあります。もちろん、その逆も。合わなかった園を離れてほっとしているのかもしれませんし、信頼していた先生とのお別れがさみしいのかもしれません。理由はどうであれ、小さな子に必要なのは、自分の中に持っていられる形で変化を説明してもらうことです。正直に、かんたんに、新しい園での最初の朝より前に何度かくり返して伝えると、転園はずっとなめらかになります。
早めに、少しずつ伝える
2歳前後の子は「今」の近くで生きているので、何週間も前から話す必要はありません。でも、数日前からそっと伝えておくと助けになります。一度に大きく発表するのではなく、ふだんの何気ない時間に話を織りこみましょう。着がえをしながら、「もうすぐ新しい保育園に行くよ。新しいお友だちもいるよ。今の保育園はおしまいになるんだ」と話すような感じです。短く落ち着いた同じ話を何度かくり返すと、圧倒されずに、少しずつしみこんでいきます。
目に浮かぶ、具体的なことばで
抽象的な説明は、小さな子の頭の上を通りすぎてしまいます。子どもが思いうかべられることばで話しましょう。新しい園の名前を言い、おもちゃや園庭、おやつの時間があることを話し、誰が送っていって誰が迎えに行くかを伝えます。保育料や先生の事情、送り迎えの都合などの長い理由は、小さな子には意味がなく、うっかり心配そうに聞こえてしまうこともあるので控えます。小さな子が知りたいのはシンプルなことです。どこに行くの?誰がいるの?迎えに来てくれる?
前の園に、きちんとお別れを
転園では、はじまりと同じくらい、終わりも子どもの助けになります。できるなら、前の園の先生やお友だちにさよならを言う機会をつくりましょう。最後の登園日、お手紙、とっておける写真。子どもは、ことばにできなくても、なじんだ場所とそこにいた人たちとの別れを悲しむことがあります。終わりに区切りをつけると、前の保育園はただ消えてしまったのではなく、よかった場所が今おしまいになるのであって、何かがだめになったのではない、とわかりやすくなります。
新しい園には、少しずつなじむ
安心させてくれるのは、何よりなじみです。新しい園の前を歩いたり車で通ったりする、ホームページの写真をいっしょに見る、慣らし保育や見学の機会があれば利用する。親がまだそばにいるうちに新しい担任の先生と会い、遊ぶことになる部屋を見ておくと、知らない場所が見覚えのある場所に変わります。初日の前に新しい保育園を思いうかべられるほど、最初の本当の朝の別れは、こわく感じにくくなります。
ほかのことは、変えずに
園が変わるのは、それだけでひとつの大きな変化です。ほかの変化を上に重ねないようにしましょう。保育園が変わるあいだは、できるかぎり寝る時間、食事、お気に入りの物、ふだんの流れを変えずに。小さな子の世界の一部が新しくなるとき、それ以外のすべてが変わらないことが、安心を保ってくれます。待てるなら、おしゃぶりの卒業、寝る部屋の変更、トイレトレーニングを始めるのは、この時期は見送りましょう。
ゆれても、あたたかく
よく準備した子でも、転園のあとしばらくは、いやがったり、べったりになったり、落ち着かなかったりすることがあります。朝の別れで泣くことが増える、家で甘える、眠りや食事が一時的に乱れる。これは変化へのふつうの反応で、選択をまちがえたしるしではありません。「新しいところって、へんな感じがするよね。わかるよ」と気持ちを声に出して受けとめ、そのうえで落ち着いた自信をもって続けましょう。親がどっしりしていることが、新しい園は安全だと子どもに伝えます。
毎日、少し話題にする
転園したあとも、小さな会話を続けましょう。「楽しかった?」と聞くと、たいてい気のない返事が返ってきます。それより、具体的なことを話題にします。新しい砂場、お友だちの名前、覚えてきた歌。こまかいことを口にすると、この新しい場所がもう家族の暮らしの一部になっていることが伝わり、子どもも話したくなります。話したがらなくても大丈夫です。ぬいぐるみで保育園ごっこをすると、話すプレッシャーなしに、子どもの気持ちが見えてくることがあります。
慣れるまでの時間を
子どもが新しい園にすぐ慣れることはめったにありません。前の園で楽しく過ごしていた子でも、2週間かそれ以上かかることがあります。最初のつらい朝で判断せず、2週間の流れを見ましょう。よい担任の先生なら、親が帰ったあとどのくらいで立ちなおっているかを教えてくれます。それがたいてい、移行がうまくいっているかどうかのいちばん正直なものさしです。
もっと支えが必要なとき
ある程度落ち着かないのは想定内です。でも、数週間たってもひどくつらそうで、やわらぐ気配がない、ひきこもったようになる、こわがる、できていたことができなくなる、眠りや食事が長いあいだひどく乱れている、という場合は、新しい担任の先生や地域の保健師さんに相談してください。園そのものについても、親の直感を信じて。ただ新しいのではなく、何かおかしいと感じるなら、たずねてみるのはいつだって当然のことです。
ポイント: 転園は、かんたんで正直なことばで伝え、前の園にはきちんとお別れをして、子どもの世界のほかのことはすべて変えずに保ちましょう。