お迎えで癇癪、帰らないと泣く子への対応

うれしい再会を楽しみにお迎えに行くと、待っていたのは涙、「帰らない」、床にぺたりとひっくり返る姿、何でもないことで突然の大嵐。保育園の一日の中で、いちばんとまどう場面のひとつかもしれません。でも、お迎えのときの癇癪はとてもよくあることで、たいていはむしろ安心していい意味をもっています。わが子は一日じゅうがんばって、今やっと、親の前なら全部出しても大丈夫だと感じているのです。

先生の前ではなく、親の前で起きる理由

子どもは集団の中で、一生けんめいやっていこうとしています。決まった流れにしたがい、先生の注目をみんなと分けあい、新しい人間関係をこなし、何時間も気持ちをおさえている。その努力で、力はすり減っていきます。そこに、安心できる場所である親があらわれ、こらえていた力がついにくずれるのです。「がまんの反動」と呼ばれることもあり、一日じゅうごきげんだったと聞いた子が、親が入ってきたとたんにくずれるのはそのためです。癇癪は、悪い行いではなく、信頼のしるしです。

質問より、まずつながる

お迎えのとき、つい質問をたたみかけたり、急いで園を出ようとしたりしがちです。でも、気持ちが乱れている子は、どちらも受けとめられません。いちばん早く落ち着かせてくれるのは、落ち着いたつながりです。目の高さにしゃがみ、受け入れてくれるならぎゅっと抱きしめ、声は低くあたたかく。「今日は何したの?」の話はあとにとっておきましょう。その瞬間の子どもに必要なのは、一日の報告をすることではなく、親を感じることです。

空腹と疲れが、裏で動いていると考える

お迎えの癇癪の多くには、体にかかわるふたつの理由がかくれています。お迎えの時間には、子どもはおなかをすかせていて、眠りも足りなくなっていることが多く、どちらも気持ちのコントロールをずっとむずかしくします。かばんにかんたんなおやつと飲み物を入れておくだけで、大きくなる前に、おどろくほどたくさんの不機嫌をしずめられます。嵐の一部は反抗ではなく体のしくみだとわかっていると、親もいらいらせず、気長にこたえやすくなります。

受けわたしは、さりげなく

にぎやかな園から帰り道への切りかえそのものが、引き金になることもあります。急かす、ほかの保護者と長話をする、指示を次々に出す。どれも、もういっぱいいっぱいの子を限界の向こうへ押しやってしまいます。落ち着いた、急がない退場をめざしましょう。荷物は静かにまとめ、そろそろ帰ることを少し前に知らせ、話しかけるのはやさしく。帰る前に今していることを終える1分が必要なら、その小さな心づかいが、もっと大きな場面を防いでくれることがよくあります。

自分への攻撃と受けとらない

会えるのを楽しみにしていたのに、拒まれたり怒りをぶつけられたりすると、ちくりと胸が痛みます。でも、お迎えの癇癪が向けられているのは、親という人ではなく、親が表している「安心」なのだと思い出してください。わが子は恩知らずなのでも、行儀が悪いのでもありません。張りつめたものをゆるめているのです。親がつられて取りみだすのではなく落ち着いていると、子どもは落ち着きを取りもどすのに必要などっしりした存在を得られ、親が身につけてほしい気持ちの整えかたのお手本にもなります。

家では、ゆるやかに着地する

園の一日の終わりは、要求をしたり予定をつめこんだりする時間ではありません。やわらかい着地が大きな助けになります。おやつ、静けさ、ぎゅっ、そして何かを頼む前の、ほかに気をとられない、急がない少しの時間。多くの子は、話したり、落ち着いて遊んだり、夜の流れをこなしたりする前に、つながりなおしてエネルギーを補給する必要があります。帰宅後の最初の30分をやわらかく守ると、癇癪が寝る時間までずっと続くのを防げることがよくあります。

一日の話は、あとでそっと

子どもが落ち着いてからのほうが、玄関で聞くよりずっとたくさん話してくれることがあります。「楽しかった?」とざっくり聞くより、お友だちの名前、遊び、歌など具体的なことにふれたり、親の一日の話をしたりして、話のきっかけをつくりましょう。話したくなさそうなら、そのままで大丈夫です。ぬいぐるみで保育園ごっこをすると、説明するプレッシャーなしに、子どもの気持ちが見えてくることがよくあります。

親自身の余力も守る

お迎えはたいてい親の仕事終わりにやってきて、親も疲れています。くたくたのところで癇癪に向き合うのは、本当に大変です。できるなら、お迎えの前にひと息つく時間をもち、受けわたしへの期待は低めにしておき、大変なお迎えは子育ての成績表ではないと覚えておきましょう。いちばん大変な日は、みんなを落ち着いて家に連れて帰れただけで、十分に数える価値のある成功です。

もっと支えが必要なとき

お迎えの癇癪は小さな子どものふつうの姿で、子どもの成長と毎日の流れが落ち着くにつれて、たいていやわらいでいきます。ただ、つらさが極端でいつも続く、ただ疲れているのではなく、いつも園のことを悲しがったりこわがったりしている、できるようになったことができなくなる、眠り、食事、機嫌が長いあいだひどく乱れている、という場合は、担当の先生や地域の保健師さんに相談してください。先生と様子を伝えあうと、日中に何か特別なことが起きていないかが見えてきます。

ポイント: お迎えの癇癪は、たいてい一日がんばった子が、親の前なら安心して出せると感じているしるし。まずはつながり、おやつ、そして落ち着きで迎えましょう。

NHS, Temper tantrums

CDC, Positive Parenting Tips: Preschoolers (3-5 years)