保育園の初日に向けて、小さな子とできる準備
保育園の初日は、家族みんなにとっての節目です。わくわくと不安がまざった気持ちになるのは当たり前のこと。小さな子は、これから何が起こるかを思いえがけません。だから準備の大部分は、知らないことを少しなじみのあるものにすること、そして親と離れているあいだを乗りこえる手立てを子どもにわたすことです。ゆれを全部なくすことはできませんが、親子どちらにとっても初日の朝を少しやさしくする準備はできます。
慣らし保育を活用する
たいていの園がしてくれることでいちばん役に立つのは、慣らし保育です。一回も欠かさず活用する価値があります。ふつうは、親がいっしょにいる短い時間から始まり、次に親がしばらく離れる短い時間、そして子どもが慣れるにつれて少しずつ長くしていきます。通うたびに、知らない場所がなじみの場所に変わり、親がまだ近くにいるうちに担当の先生との関係が育ちます。慣らし保育があるなら、おまけではなく、初日の準備の中心だと考えましょう。
かんたんで前向きなことばで話す
小さな子は、話せること以上にたくさんのことをわかっています。数日前から、明るく具体的なことばで保育園のことを話題にしはじめましょう。園の名前を言い、おもちゃ、園庭、おやつの時間のことを話し、親が送っていって、また迎えに行くことをはっきり伝えます。理由は子どもサイズにして、長い説明は避けます。小さな子が本当に知りたいのは、どこに行くのか、誰がいるのか、そして親が迎えに来てくれるのか、ということです。落ち着いて何度かくり返すと、心に落ち着いていきます。
家で、遊びながら予行練習
小さな子は、遊びを通して世界を理解します。くまのぬいぐるみが保育園に行き、おやつを食べ、遊んで、大人に迎えに来てもらう。そんなごっこ遊びをすると、離れてまた会うまでのひとつながりを、安全に楽しく予行練習できます。入園をテーマにした絵本を読むのも同じ効果があります。こうした遊びは、お別れは一時的で、再会はかならず来る、という考えを静かに育ててくれます。それこそが、小さな子に必要な安心です。
短いお別れを練習する
これまで親と離れたことがほとんどないなら、やさしい練習が助けになります。信頼できる祖父母や友人に少しのあいだあずけ、約束どおりかならず迎えに行く。それが、親は戻ってくる、という大切なことを教えてくれます。少し大きい子なら、いないいないばあやかくれんぼでも、同じことを小さな形で味わえます。こうした経験で、「お別れは楽しく終わった」という実績が積みあがり、保育園という大きなお別れが来たときに、子どもはそれを支えにできます。
毎日の流れを、少しずつ整える
初日は、園の一日にだいたい合ったリズムでよく休み、しっかり食べているほうがうまくいきます。その前の週から、お昼寝、食事、寝る時間を園の流れに近づけていき、当日に体内時計まで驚かなくてすむようにしましょう。着がえ、名前を書いたかばん、お気に入りの物など、持ち物の準備も前もってすませておくと、最初の朝があわただしくならず、着く前からみんなくたくた、ということになりません。
わが子らしさを先生に伝える
担当の先生が上手になぐさめられるのは、わが子を知っていればこそです。初日の前に、何をすると落ち着くか、どんなふうにお昼寝するか、何が好きか、大事なことを伝えるときに使うことばやしぐさ、安心するときのくせを伝えましょう。よい園はこうしたことをすべてたずねてくれますが、親から進んで伝えると、最初の瞬間からお世話がしやすくなり、そのあとの慣らしの期間も短くなります。
家のかけらを持たせる
園が許すなら、お気に入りの物は一日を通して心強い橋になります。好きなぬいぐるみ、ガーゼのハンカチ、かばんにしのばせた家族の写真が、親がいて、かならず迎えに来ることを思い出させてくれます。子どもの手に小さなハートを描いたり、手のひらにキスをしたりする親もいます。こうした小さな錨が、気持ちがこみあげたときに、子どもがにぎっていられるなじみのものになります。
最初のバイバイは、短くあたたかく
その瞬間が来たら、ぐずぐず残りたい気持ちをこらえましょう。ぎゅっとして、いつものひと言、担当の先生に引きつぐ。短く自信のあるお別れのほうが、長くて不安なお別れよりうまくいきます。見えないうちにそっと消えるのは、不安を深めることがあるのでやめましょう。泣いていても、かならずバイバイを言います。ほとんどの子は、親がいなくなって数分で落ち着きます。楽しく遊びはじめたら連絡がほしい、と先生にお願いしてもかまいません。
もっと支えが必要なとき
最初のころに泣いたりべったりになったりするのはまったくふつうのことで、たいていは数週間のうちにやわらいでいきます。ただ、数週間たってもひどいつらさが落ち着く気配がない、悲しいというよりこわがっているように見える、ひきこもったようになる、できるようになったことができなくなる、眠りや食事が長いあいだひどく乱れている、という場合は、担当の先生や地域の保健師さんに相談してください。園そのものについても、親の直感を信じて。早めに落ち着いて話してみるのは、いつだって理にかなったことです。
ポイント: 慣らし保育はすべて活用し、前もって話したり遊んだりしておき、お気に入りの物を持たせて、初日をこわいものではなく、なじみのあるものにしましょう。