登園時のバイバイは短くあたたかく、毎朝同じに
保育園の一日でいちばんつらいのは、玄関での10秒かもしれません。わが子はしがみつき、時計の針は進み、もう少しそばにいてあげたいという気持ちがわいてきます。でも、離れること自体が問題なのではありません。いちばん助けになるのは、短くて、あたたかくて、毎朝同じバイバイです。そうすると子どもは、離れても大丈夫、親はかならず戻ってくる、と覚えていきます。
見通しのあるバイバイが助けになる理由
小さな子は、ことばを理解する前に、出来事の「形」を読みとります。お別れがあっちへこっちへとさまよい、長引き、親の気分で変わると、その瞬間は不安定に感じられ、不安定な瞬間はもっと大きな不安を呼びます。毎朝同じバイバイには、はじまり、なか、はっきりした終わりがあります。たとえ泣いていても、その見通しは子どもを安心させます。次に何が来るかを予想でき、本当にお別れなのかどうかを当て推量しなくてすむからです。
あたたかく短いバイバイとは
1分以内に終えられるものをめざしましょう。ぎゅっと抱きしめる、いつも同じひと言、決まった窓からの手ふり、そしてドア。どんな流れにするかより、くり返すことのほうがずっと大切です。ある家庭では、ほっぺに2回チュッとして、今日は誰がお迎えに来るかをひと言伝えます。別の家庭では、先生とさっとハイタッチをして、置いていかれるのではなく、手わたされる形にしています。わが子と、親自身の性格に合うものを選び、スムーズな朝もつらい朝も、同じように続けましょう。
ひとつだけ、避けたいこと
子どもが気をとられているすきに、そっと出ていきたくなる気持ちはわかります。でも、たいていは裏目に出ます。ふり向いたら親がいなかった子は、親はいつ消えてしまうかわからない、と覚えます。そのこわさが次の朝をもっとつらくし、家でもべったりになることがあります。短くても、泣いていても、かならずバイバイを言いましょう。行くことを正直に伝え、戻ってくることを明るく伝える。それが信頼を育て、やがて泣く時間を短くしていきます。
涙を長引かせずに受けとめる
玄関で泣くからといって、バイバイのしかたがまちがっているわけではありません。離れるのはつらい、と伝えてくれているのです。それは、出していい健やかな気持ちです。子どもに必要なのは、助けだすことではなく、落ち着いた自信です。顔と声はあたたかくおだやかに保ち、いつものひと言を言い、先生に引きついで、行きましょう。泣いている子をなぐさめようとその場を長引かせると、たいてい気持ちの温度は下がるどころか上がってしまいます。子どもは親のためらいを感じとり、心配する理由だと受けとるからです。
本番の前に、家で練習する
玄関でのプレッシャーから離れた家で、バイバイの流れを練習しておけます。寝る前や遊びの中で、決まったことばとぎゅっを練習しておくと、本番ではもうなじみのことばになっています。ぬいぐるみが保育園に行って、またお迎えに来てもらうごっこ遊びをすると、離れてまた会うまでのひとつながりを予行練習できます。かばんに入れた親の写真や、園が許してくれる小さなお気に入りの物が、一日を通して安心を運んでくれます。
先生と手を組む
担当の先生は、心強い味方です。わが家のバイバイの流れを伝え、毎回同じように笑顔で迎えてもらえるようお願いしましょう。好きな遊びを用意しておいてもらうのもいい方法です。よい園なら、親が帰って数分で泣きやみますよ、と教えてくれることが多く、楽しく遊びはじめたら連絡をくれるところもたくさんあります。その知らせは、もらっておく価値があります。親が駐車場や駅に着くころにはもう終わっている玄関での場面に、親は罪悪感を引きずりがちだからです。
そもそも朝がつらいときは
朝全体がぴりぴりしているなら、バイバイは最後のドミノにすぎません。ゆったりした目ざめ、急がない朝ごはん、誰も急がなくていい数分のゆとり。どれも、子どもが玄関まで運んでくる荷物を軽くしてくれます。「さみしくなっていいんだよ。そう感じる子はたくさんいるよ」と気持ちをそっとことばにすると、子どもは泣いたことを叱られるのではなく、わかってもらえたと感じられます。
効きめが出るまで、時間をあげる
新しいバイバイの流れで、ひと晩で何かが変わることはめったにありません。ほとんどの子は、園への信頼が育ち、流れがなじんでいくにつれて、数日から数週間かけて落ち着いていきます。大変だった月曜日ひとつではなく、1週間を通して前進を見ましょう。流れが毎日同じで、親が帰ったあとすぐに立ちなおっていると先生が教えてくれるなら、まずまちがいなく順調です。
もっと支えが必要なとき
朝の別れでときどき泣くのはふつうのことで、たいていは落ち着いていきます。ただ、つらさが激しく、数週間たってもやわらぐ気配がない、ひきこもったようになる、ふだんどおりに食べたり眠ったりできなくなる、できるようになったことができなくなる、ただ悲しいというより園そのものをこわがっているように見える、という場合は、担当の先生や地域の保健師さんに相談してください。何かおかしいと感じたら、親の直感を信じて。早めに話してみるのは、いつだって理にかなったことです。
ポイント: 登園時のバイバイは、短く、毎日同じに。そして、そっと消えるのではなく、かならずバイバイを言いましょう。
AAP HealthyChildren, Soothing Your Child's Separation Anxiety