何度言っても聞かないのは、くり返しすぎが原因かも

一度頼む。反応なし。もう一度。まだ動かない。5回目には声にとげが混じり、8回目あたりでようやく子どもが動く。このくり返しにうんざりするほど覚えがあるなら、多くの親が気づくことに気づいたのかもしれません。くり返しは効かなくなることがあり、たよればたよるほど効き目が落ちていくのです。その理由を知ると、もっと穏やかで、効果のあるやりかたが見つかります。

くり返しは、「待てばいい」と教えてしまう

子どもは、自分のまわりの世界がどう動くかをすばやく学びます。何かが本当に起きる前に親が何度か同じことを言うとわかれば、最初の何回かは聞きながしてかまわなくなります。経験上、4回目の大きな声まで何も起きないなら、1回目の「靴をはいて」にこたえる理由はありません。くり返しが効かなくなるのは、まさに「最初のお願いはしなくてもいい」と子どもに教えてしまうからです。

これは反抗というより、子どもなりの合理的な節約です。親が知らず知らずに教えたパターンに、ただこたえているだけ。うれしいことに、違うパターンは、違うことを教えてくれます。

ことばが、背景の音になる

くり返しが効かなくなる理由はもうひとつあります。同じことばを何度も何度も言われると、小さな子の脳はそれをふるい落としはじめます。時計のカチカチという音に気づかなくなるのと同じです。親の声は、動く合図ではなく、家のなかのざわめきの一部になります。くり返すほどことばは背景にとけこみ、子どもはそもそも気づくのに苦労するようになります。

くり返しのたびにことばを足していくと、さらに悪くなります。言いなおすたびにことばが増え、本当の指示はもっと深くうもれていきます。子どもに聞こえるのは、はっきりした「すること」ではなく、ただの音です。

くり返しは、温度を上げる

同じことを何度も言うのはイライラするもので、そのイライラはたいてい声にもれだします。穏やかなお願いだったものが、とがって、大きくなる。子どもはことばにこたえるずっと前に、その気持ちの熱を感じとります。声が大きくなると、にらみあいや涙へと傾くことがあります。

見本としての代償もあります。何度も小言を言われる子は、人を動かすには小言を言えばいいと学び、同じやりかたを親やきょうだいに使いはじめるかもしれません。このくり返しを断ちきることは、協力を引きだすためだけでなく、家のなかの空気を守るためでもあります。

かわりに、すること

めざすのは、最初のお願いをきちんと通して、くり返すことをなくすことです。いくつかの切りかえでそこへ近づけます。

  • 話す前に、注意を向けてもらう。近くに行き、目の高さに下がり、ちらっとこちらを見るのを待つ。きちんと聞こえた指示は、二度言う必要がほとんどありません。
  • 一度、はっきり言って、ひと息待つ。くり返すかどうか考える前に、子どもに考えて動くための本当の時間をあげましょう。
  • 言いなおすかわりに、見とどける。タブレットが消えないなら、部屋の向こうからもう一度頼むのではなく、そばに行って落ち着いていっしょに消しましょう。
  • リマインドは、たくさんではなく一度だけ。もう一度うながすのが妥当なら一度だけ伝えて、それから動きます。

ことばを足すのではなく、見とどける

変化の中心は、余分なことばを静かな行動に置きかえることです。お願いのあとには、やさしく、予想どおりに何かが起きる。そう子どもが学ぶと、ことばは重みをとりもどします。課題へと導く、手を差しだす、落ち着いて線を守る。これは罰ではなく、一貫性です。

できるときは、動く前に予告しましょう。「3つ数えたら、消すのを手伝うね」と言えば、子どもには自分でやるチャンスがあり、その場が意地のはりあいではなく、いっしょにやることのままになります。

協力に気づく

子どもは、あたたかい注目をもらえることをくり返します。一度でこたえてくれたら、ことばにしましょう。「すぐに来てくれたね、ありがとう」。気づいてもらえた一度目の協力は育ち、あたりまえとして流された協力は、静かにすべり落ちていきます。だんだんバランスが傾き、一度で届くお願いが増えて、くり返しそのものがいらなくなっていきます。

お願いを選ぶことも大切です。一日じゅう全部が要求なら、聞きながすことは生きのびるための技になります。少なくて、はっきりしていて、本当に必要な指示のほうが、途切れない流れよりも力をもちます。

期待は現実的に

これは、子どもがリマインドを一度も必要としなくなるという意味ではありません。小さな子はもともと忘れっぽく、気が散りやすく、注意の切りかえもゆっくりなので、ときどき二度目のうながしが必要なのはふつうで、問題ありません。めざすのは、終わりのないくり返しを主な道具にするのをやめることで、すぐに言うことを聞かせることではありません。

注意を向けてもらい、落ち着いて見とどけても、言ったことがとてもよく届いていないように見える、身近な音に気づかない、話すことがはっきり遅れている、中耳炎をよくくり返した、という場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健師さんに伝えましょう。滲出性中耳炎などの聞こえのトラブルは、聞いていないのとそっくりに見えることがあり、かんたんな検査で確かめられます。いろいろな場面で集中のとても強いむずかしさが続くときも相談してみましょう。ただ、それもたいていはふつうの幅のなかです。

ほとんどの家庭にとって、この切りかえは心を軽くしてくれます。近くで落ち着いて一度だけ頼み、あとは声ではなく行動にメッセージを運んでもらう。くり返して、くり返して、どなる、の輪を断ちきれば、こうした毎日の場面は、親子どちらにとってもずっとらくになります。

ポイント: 指示をくり返すと、子どもは何回目かのお願いを待つようになります。注意を向けてもらい、一度だけ伝え、あとは落ち着いて見とどけましょう。

CDC, Positive Parenting Tips

AAP HealthyChildren, Discipline and Your Child