体を動かす休憩で、子どもの集中がもどる理由

もぞもぞして、何かをいじって、いすからずり落ちそうになる。そんなとき大人はつい「じっとして、集中しなさい」と言ってしまいます。でも小さな子には、その一言が逆効果になりがちです。小さな体はもともと動くようにできていて、それをおさえこむと、かえって集中しにくくなります。体を動かす休憩がなぜ効くのかを知ると、落ち着かない時間が、言いあいではなく、かんたんなリセットの時間に変わります。

集中するために、体を動かす必要がある

小さな子は、長くじっとしているようにはできていません。体を動かすことで体の状態を整え、頭を目ざめさせ、「じっとしていなさい」と言われてたまったエネルギーを外に出しています。そのエネルギーの行き場がないと、もぞもぞとして表に出てきます。そして注意は目の前の課題ではなく、自分の落ち着かなさをどうにかすることに向いてしまいます。

体を動かすと血液や酸素がめぐり、そのあとは落ち着きながらも頭がすっきりしやすくなります。短く体を動かすだけで、興奮しすぎた子は静まり、ぼんやりした子は目をさまし、集中できる状態にもどってきます。体を動かすことは集中の敵ではなく、集中のための道具なのです。

休憩どきのサインを見つける

体を動かしたいサインは、気にして見ればたいていわかりやすいものです。もぞもぞする、手の届く物を片っぱしからさわる、だらんとする、あくびをする、ふざけはじめる、ぼーっと遠くを見る。どれも注意が切れてきた合図です。ここでがんばらせるより、体を動かす休憩がいちばん効くタイミングです。

小さな子が集中できる時間は、もともと短いもの。こうしたサインは、集中して数分もすればまたやってきます。落ち着かなさを、いたずらではなく「リセットしどき」という情報として受けとるほうが、ずっとうまくいきます。

体を動かす休憩の例

広い場所も、道具も、長い時間もいりません。1分か2分でじゅうぶんなことがほとんどです。静かな課題にもどる前に、体を動かしておく、それだけです。

  • その場でジャンプ、片足とび、ジャンピングジャック。
  • 1曲だけ、思いきりダンス。
  • 動物のまねっこ歩き。ゾウのようにドシンドシン、カエルのようにぴょんぴょん。
  • 庭をひとっ走り、または廊下を行ったり来たり。
  • うーんと背のびして、次はぎゅっと小さく丸まる。
  • 壁をぐーっと押す、物を運ぶなど、力を使う「重たい仕事」をいくつか。

ほとんど手間がかからないので、課題の区切りに入れやすく、体を動かす休憩が集中をとりもどすわかりやすい方法になります。

一日の流れに、体を動かす時間を組みこむ

子どもががまんの限界をこえてから休憩を出すより、その前から一日のなかに動く時間を織りこんでおくと楽になります。動く遊びと静かな遊びを交互にすると、集中が切れにくくなります。少し集中して遊ぶ、走りまわる、また落ち着いた課題、という流れのほうが、長く座りつづけるより小さな子のリズムに合っています。

一日を通して、たっぷり体を動かして遊ぶことも大切です。ふだんから自由によく動いている子は、静かな時間にも集中しやすい傾向があります。動きたい気持ちがおさえこまれずに、満たされているからです。

体を落ち着かせてから、集中へ

体を動かす休憩には、元気にするものと、落ち着かせるものがあります。興奮しすぎている子には、ゆっくりとしたリズムのある動きが集中できる状態に連れもどしてくれます。ゆっくりのストレッチ、腕を大きく動かしながらの深呼吸、本を何冊か重ねて運ぶような、ゆっくり力を使う動きです。反対に、ぼんやり眠そうな子には、元気な動きで目をさまさせましょう。そのときのお子さまに合った休憩を選ぶと、いちばん効果があります。

休憩の終わりは、落ち着いてはっきりと課題にもどります。そうすれば、体を動かす時間が大さわぎの始まりではなく、役に立つリセットになります。「ジャンプ上手だったね。じゃあ、座ってつづきをやろう」。そんな一言が橋わたしになります。

期待は現実的に

体を動かす休憩は役に立ちますが、小さな子を長く集中できる子に変える魔法ではありません。小さな子は長く集中できないもので、それはふつうで健康なことです。めざすのは、もぞもぞを完全になくすことではなく、体の性質に合わせて、短い休憩で少しだけ落ち着いた集中を引きだすこと。課題は短く、期待はやさしく、雰囲気は明るくしておきましょう。

ほめるのは、ずっと固まって座っていたことではなく、休憩のあとにもどってきて落ち着けたことです。そうすると「動きたいときは動いて、また集中する」という、本当に身につけてほしい流れが強まります。

落ち着かなさが目立つとき

もぞもぞしたり、よく体を動かしたくなったりするのは、幼児期にはごくふつうのことです。ただ、同じ年ごろの子よりずっと落ち着きがなく、衝動的で、気持ちを静められない、それが家でも園でもはっきり出ている、そして学びや友だちとの関係、毎日の暮らしに明らかに差しさわりがある、という場合は、園の先生やかかりつけの小児科医、地域の保健師さんに話してみましょう。多くはまだ成長の幅のなかですが、早めに相談すると安心できたり、支援につながったりします。

とはいえ、たいていの子にとって答えは、びっくりするほど「動く」ほうにあります。じっとしなさいと求めるかわりに、動かしてから、またもどってこさせる。短い休憩を習慣にすると、子どもは集中をとりもどし、そのあと落ち着いて座れるようになります。そして、動きたい体を持っていることをしかられるのではなく、わかってもらえていると感じられるのです。

ポイント: 落ち着かなさは反抗ではなく合図です。じっとしなさいと求めるより、短く体を動かすほうが、小さな子の注意をずっとよくリセットしてくれます。

WHO, To grow up healthy, children need to sit less and play more

CDC, Positive Parenting Tips