なぐり描きはいつから?親ができること
1歳の誕生日から1歳6か月ごろまでのあいだに、多くの子がはじめてクレヨンをにぎり、紙に押しつけます。結果はたいてい、にぎりこぶしの色のかたまりと、ひきずった線が何本か、そしてとても満足そうな顔。なぐり描きがいつ始まり、親は何をすればいいのか。答えは安心できるものです。決まった期限はなく、大人の役目は技術を教えることより、機会を用意することです。
目安であって、テストではない
多くの子がはじめて線を描くのは1歳から1歳6か月のあいだで、クレヨンを手のひら全体でにぎることがよくあります。2歳ごろには、行ったり来たりの線や点など、なぐり描きがより意図的になってきます。まっすぐな線やゆがんだ丸は、3年目に続くことが多いものです。これらは発達の目安から出した平均で、達成しなければならない予定表ではありません。早く生まれたこと、気質、クレヨンがどのくらい手の届くところにあるかで、時期は前後します。
なぐり描きがしていること
でたらめに見えますが、たくさんのことが起きています。自分の動きが跡を残すと発見していて、これは「こうすると、こうなる」の正真正銘の大発見です。手の小さな筋肉を強め、目で見ることと手でしていることを協調させています。この線を描く体験は、絵へ、やがては字を書くことへと続く長い道の、最初の一歩のひとつ。ふにゃふにゃの線は、見た目よりずっと大切です。
用意できるもの
工作棚はいりません。太くて安全なクレヨンを数本と、大きな紙が何枚かあればじゅうぶんです。大きな動きには大きな面が合うので、包装紙の裏や、床にテープでとめた紙がおすすめ。小さな子は強く押し、すぐに疲れるので、数分ずつで終わるのはふつうで、まったくかまいません。クレヨンは、今のその子に自然な持ち方で。鉛筆の整った持ち方はずっとあとに育つもので、直しても早くはなりません。
主導権をとらずに加わる
いちばん役立つのは、となりにすわって自分も線を描くことです。気づいたことを軽く実況しましょう。「ぐるぐるまわってるね」「これは端から端までいったね」。絵を指示したり、手をとって1本ずつ導いたりしたくなっても、こらえて。大人が点を打ち、子どもがそれをまねしたら、ちゃんとしたやりとりをしています。こうしたまねは力のある学びです。できばえではなく、がんばりと描いていることをほめると、楽しさが遊びそのものに残ります。
はじめての造形を安全に
とても小さな子は口で探るので、少しの安全対策が大きく役立ちます。安全性の表示があり、年齢に合ったクレヨンや絵の具を選びましょう。小さなキャップ、ビーズ、飲みこめる物は手の届かないところへ。この年齢では窒息が本当に起こりうる危険です。造形の時間は、子どもを材料とふたりきりにせず、そばにいましょう。水で落ちるタイプならストレスがぐっと減り、手や机に少し色がついても気楽にかまえられます。
相談すると安心なとき
なぐり描きが始まる時期には大きな幅があるので、少し遅めでも、たいてい心配いりません。それでも、2歳ごろになってもクレヨンを持つことや線を描くことにまったく興味を示さない、手で物をつかめないように見える、以前できていたことができなくなった、という場合は、地域の保健師さんやかかりつけの小児科医に気軽に話してみましょう。1歳前から強く決まった利き手があるのも伝えておきたいことです。とても早い時期の片側への偏りは、ときに意味があることがあります。早めに聞くのは大げさではなく賢明なことで、安心だけで終わることも多いものです。
興味を育てていく
なぐり描きが始まったら、次に親がすることへの正直な答えは、いつでもできるように、気楽に、です。紙とクレヨンを子どもの手が届いて自由にもどれる場所に置き、「いいよ」とたくさん言い、絵を「ちゃんとした」ものに整えたい気持ちをこらえ、もういいかどうかは子どもにまかせましょう。紙いっぱいに描く日もあれば、2本線を描いてどこかへ行く日もあります。どちらも、そのとおりに進んでいる証拠です。
いちばん助けになる考え方
はじめての線は、就学の準備ではなく遊びとして見てみましょう。クレヨンがふだんの暮らしのあたたかい、プレッシャーのない一部に感じられると、子どもは自分からもどってきて、自分の考えに自信をつけていきます。早いうちの技術のきらめきより、その自信こそが、何年もお絵かきを楽しめる力になります。道具を出し、そばにすわり、描くことを喜んで、紙が積みあがっていくのを楽しみましょう。
ポイント: はじめてのなぐり描きは1歳から1歳6か月ごろが多く、いちばんの支えは、安全な道具を用意し、いっしょに描き、プレッシャーをかけないことです。