子どもの作品、散らからずに飾るには
冷蔵庫の扉が絵の山にうもれて見えなくなっていたら、あのひそかな悩みはよくわかるはず。子どもはどの1枚も誇らしく、のびのび描いてくれるのはうれしい。でも量が多すぎて、家がうもれてしまいそう。だいじょうぶ、いくつかのしくみと、少しの考え方の切りかえで、作品を大切にしながら家をすっきり保てます。
飾ることが子どもにとって大切な理由
自分の作品が大切にされているのを見ると、子どもは自分の考えやがんばりには価値があると感じ、自信やもっとつくりたい気持ちが育ちます。壁の1枚は「あなたがつくったものは、わが家の宝物」というメッセージ。だから、小さくても飾る場所はあったほうがいいのです。目的はすべてをずっと残すことではなく、つくったことを喜ぶこと。家を紙の保管庫にしなくても、子どもはちゃんと見てもらえていると感じられます。
ギャラリーの場所をひとつ決める
作品があちこちに広がっていくのではなく、飾る場所を一か所に決めましょう。ひもとミニクリップ、マグネットボード、並べた額、壁の決まった一角。どれでもかまいません。大事なのは場所に限りがあること。それで飾る量にしぜんとふたができます。いっぱいになったら、何かをはずさないと新しい作品が飾れない。この組みこまれた線引きこそが、散らからずに飾るいちばんのコツです。
ためずに、入れかえる
本物の美術館のように、展示を入れかえていきましょう。新しい作品が来たら、子どもといっしょに古い1枚と取りかえます。そうすれば、だれも見ない色あせた山ではなく、いつも今の作品が飾られます。入れかえに子どもが関わることで手放しやすくなり、全部をとっておかなくていいことも学べます。いちばん新しく、いちばん自慢の作品が特等席に。飾ることが手間ではなく、楽しみのままでいられます。
残す作品は、少しだけ選んで
いくつかとっておきたい作品があるのは、すてきなことです。ただし上限を決めて。子どもひとりにつき1年に箱かファイルひとつ、と決めておきます。いっぱいになったらいっしょに見なおし、本当のお気に入りだけを残しましょう。開けることのないぱんぱんの引き出しより、また見かえしたくなる、選びぬいた少しの作品のほうがずっと価値があります。残す作品の裏に日付を書いておくと、何年後かに成長を見かえして笑顔になれます。
残りは写真に
手放すときのいちばんやさしい方法は、写真です。作品を1枚ずつ、できれば誇らしげに持つ子どもといっしょに撮っておけば、紙がなくても思い出は残ります。データは場所をとらず、スライドショーにしたり、年末にフォトブックにしたり、子どもの作品をスマホの待ち受けにしたりもできます。写真に残せば、すっきりした気持ちで資源ごみに出せます。紙はなくなっても、その瞬間は残っているからです。
手放すときは子どもといっしょに
こっそり捨てたのが見つかると、こじれることがあります。できるだけ子どもを巻きこみましょう。「これは写真を撮って、とっておきのアルバムに入れようか。そうしたら新しい絵を飾れるね」と前向きに。残すことより、つくったことに目を向けてもらえると、意外とあっさり次に進める子は多いものです。思い入れのある作品はその気持ちを大切にして保管箱へ。そっと処分するのは、本人も忘れている切れはしだけにしましょう。
作品に第二の出番を
飾り終えた作品が役に立つと、子どもはとても喜びます。絵を家族へのプレゼントの包み紙にする、切ってカードやしおりにする、おじいちゃんおばあちゃんに送って大切にしてもらう。壁の先にも誇らしい行き先ができ、作品の山もやさしく減ります。ばあばが自分の絵を冷蔵庫に貼っているのを見た子は、作品が旅をして、ほかの人を喜ばせることも知ります。
大掃除ではなく、軽い習慣に
しくみは続けやすくないと意味がありません。年に2回の大がかりな整理ではなく、毎週の暮らしに組みこみましょう。新しい作品が来たらひもの作品をさっと入れかえ、その場で写真を撮り、たいていの切れはしは資源ごみへ、ときどきの宝物はファイルへ。少しずつこまめにするほうが、気の重い一掃よりずっとらくで、親子ともに大量処分のつらさを味わわずにすみます。
大切なのは、つくった時間
いちばん気持ちが軽くなる考え方は、価値はつくった時間にあって、とっておくことにはない、ということかもしれません。その絵を描くあいだに、子どもは育ち、選び、試し、楽しみました。紙がなくなっても、それは何ひとつ失われません。そう軽く受けとめられると、散らかりのもとになる罪悪感に流されずにすみます。子どもの創造性を心から愛しながら、作品はほんの一部だけ残す。それは持ち物との健やかなつきあい方を見せることにもなります。
すっきりした家と、大切にされる子ども
飾る場所をひとつ、入れかえの習慣、小さな保管箱、カメラ、そして子どもの参加。これでちょうどいいバランスがとれます。作品は喜ばれ、自信は育ち、家は動きやすいまま。1枚残らずとっておくことより、このバランスこそが、小さなアーティストを本当に大切にし、家族の暮らしを心地よく保ってくれます。
ポイント: 飾る場所はひとつに決めて入れかえ、残すのは選んだ少しだけ、あとは写真に。つくった時間を喜び、紙の山にのまれないように。