家にある紙でできる、幼児のコラージュ遊び
コラージュは、小さな子に用意できる造形遊びのなかでも、とびきりおおらかな遊びです。失敗というものがなく、材料はほとんどただ。ちぎって、並べて、貼るうちに、いろいろな力がしぜんに育ちます。資源ごみの袋をのぞけば、そこは材料の宝庫。わざわざ買いに行かなくても、「やりたい」にすぐこたえられます。
コラージュがおすすめな理由
手軽なだけではありません。紙をはがす、ちぎる、押さえるといった動きは、のちに鉛筆を持つための小さな手の筋肉をきたえます。どの紙をどこに貼るか選ぶことは、自分で決めて段取りする練習に。色や大きさ、手ざわりを話すうちに、ことばも増えていきます。そして正解がないので、「じょうずに描けない」と気にする子でも気楽に取り組めます。いちばん身近なプロセスアート(できあがりより、つくる過程を楽しむ造形)といえます。
家にある安全な紙を集める
材料は、もうおうちにたっぷりあるはずです。チラシ、古い雑誌、ポストカード、プレゼントの薄紙、お菓子やシリアルの空き箱、紙袋、封筒、包装紙の切れはし、先週の新聞。どれも立派な材料です。使う前にざっと点検して、ホチキスの針、封筒の透明な窓、セロハンテープ、細かい飾りがついたキラキラした紙は取りのぞいておきましょう。きれいで無地に近い紙がいちばん安心です。食べ物や薬品がふれた紙は使わないでください。
はじめてのコラージュは、シンプルに
最初は道具を最小限に。台紙になる厚紙を1枚、スティックのり、ちぎった紙を少し。のりをぬって紙を押さえるところを一度見せたら、あとは見守ります。テーマや「何をつくるか」は考えなくてだいじょうぶ。幼児にとっては貼ること自体が楽しく、紙が重なりあってびっしり貼られた1枚は、それだけで大成功です。1回目は短めに切りあげて、「たくさん貼れたね」と、やったことそのものを喜びましょう。
慣れてきたら、ゆるいテーマを
基本を楽しめるようになったら、ゆるいテーマを出すと遊びが広がります。同じ色の紙だけを探す「あお色コラージュ」、手ざわりを比べる「ふわふわとざらざら」、丸っぽい形や細長い形を集める形さがし。紙の野原、にぎやかな町、顔をつくるのも楽しいものです。テーマはあくまでお誘い。子どもが自分の思いつきに夢中になったら、テーマは喜んで手放しましょう。
ちぎる、切る、並べる
紙をちぎるのは、それだけでりっぱな手の練習で、道具もいりません。年少さんくらいの子のスタートにぴったりです。手先が器用になってきたら、子ども用の安全なはさみで細長く切ったり、ふちに切りこみを入れたり。はさみを使うときは、必ず大人がそばにいてください。のりづけする前に、紙を台紙の上で並べたり、動かしたり、考えなおしたりする時間をとりましょう。この段取りの時間にこそ考える力が働いています。大人の目で「きれいに」整えたくなっても、ぐっとがまんです。
のりは扱いやすく
コラージュでいちばんベタベタしやすいのが、のりです。スティックのりは汚れにくく、小さな手でも使いやすいのでおすすめ。液体のりなら、チューブから直接出すより、小皿に少し出してへらや綿棒でぬるほうが調節しやすくなります。一度に出すのは少しだけ。ぬれぶきんを手の届くところに置いておくと、指がベタベタになっても続けられます。幼児はまだ指を口に入れることがあるので、子ども用で安全性の表示があるのりを選び、ラベルを確かめておきましょう。
安全のために気をつけたいこと
おだやかな遊びとはいえ、この年齢では少しの気配りが大切です。大人がそばで見守り、はさみや細かい飾りは下のきょうだいの手が届かないところへ。ボタン、スパンコール、ホチキスの針、小さく丸めた紙などは、口に入れるとのどにつまるおそれがあります。のりをなめていないかも見ていてください。作業する場所から危ない物を片づけておけば、大人も安心して「いい汚れ」、つまり創作の散らかりを楽しめます。
おしゃべりしながらつくる
コラージュの時間は、ことばのごちそうです。見えたことをそのまま言ったり、色や手ざわりの名前を口にしたり、「この紙、しわしわだね」「青いのが一列に並んでるね」と、いっしょに感心したり。子どもが話したそうなら作品について聞いてみますが、「何かの絵」である必要はありません。こんな気楽なおしゃべりで、工作はふたりの会話の時間になり、指先だけでなく話す力も育ちます。
飾る、そして次へ
作品ができあがったら、冷蔵庫に貼るか、ファイルにしまうか、あるいは一日二日飾ってから資源ごみに出すか、子どもに決めてもらいましょう。どの作品もずっと残しておく必要はありません。「楽しかったのはつくっている時間だったね」と大人が示すことで、子どもはできあがりより過程を大切にできるようになります。今の作品を1、2枚だけ飾る場所を決めて入れかえていけば、散らからずに作品も大切にできます。
成長に合わせて広がる遊び
コラージュのいいところは、成長に合わせて広がっていくことです。2歳の子はばらばらに紙を貼り、4歳の子は場面を考えて形を切り、作品についてひとつのおはなしを聞かせてくれるかもしれません。紙の箱をいつも補充しておき、台紙とのり、そして手先の育ちに合わせてはさみを用意すれば、遊びは子どもといっしょに複雑になっていきます。お金も片づけの手間もほとんどかからない、家族のお気に入りになる遊びです。
ポイント: きれいな家の紙で、気楽にコラージュ。指先とことばが育ちます。大人の見守りと、安全なのりで安心して楽しみましょう。