小さな子のなぐり描き、読みとりすぎずに見守るには
小さな子のくるくるの線を見ていると、つい意味を探したくなります。これは人かな?黒っぽい色ばかりで大丈夫?そろそろ丸が閉じていてもいいころ?見るべきところと読みとりすぎないところがわかると、よけいな心配をずいぶん減らせます。目にしているもののほとんどは、小さな子が体を動かす楽しさと、クレヨンで何ができるかの発見なのです。
なぐり描きは、動きが目に見えたもの
なぐり描きは、絵である前に、腕と手がどう動いたかの記録です。はじめの線は肩ごと大きくふった動きから。あとになると、手首や指を使って調整した線が出てきます。何か月かのあいだに、ぎゅっとまとまった線が出てきたら、それは確かな運動発達。急に絵を描く意図が生まれたわけではありません。なぐり描きがいちばん確かに教えてくれるのは、手や体の協調が、その子のペースで少しずつ育っていることです。
本当に見ておきたいこと
一度に見るのではなく、時間をかけて見ていくと、いくつかのことがさりげなく教えてくれます。点、線、まるっぽい形など、ちがう種類の線が出てきているか。これはふつう、幼児期を通して広がっていきます。月ごとに少しずつ、クレヨンを持って動かせるようになっているか。楽しんでいて、また描きにくるか。どの1枚よりも、こうした発達の流れのほうが大切で、ゆっくり進むので、待つことも親の役目のうちです。
思うほど意味がないこと
色選びは、親がいちばん読みとりすぎやすいところです。小さな子は、いちばん近くのクレヨン、きょうだいが今使ったクレヨン、今のお気に入りをつかむことがよくあります。小さな子が黒や赤をたくさん使っても、気分について何かを示すことはめったにありません。同じように、「こわい」なぐり描きも、たいていは元気いっぱいに描いただけ。いちばん大切なのは、ふつうの線を心理テストの結果にしたい気持ちをこらえることです。
意味は、子どものもの
なぐり描きに意味があるとしたら、それを知っているのは子ども本人で、その子でさえ、その場で考えているかもしれません。1枚の紙が、さっきは「きょうりゅう」、今は「あめ」。おはなしが流れつづける小さな子にとっては、どちらも本当です。何の絵か大人が決めるのではなく、話してくれるようにそっと誘い、何と言っても楽しんで聞きましょう。それを覚えておいて約束させたり、頭の中の発達記録に書きこんだりはしないで。
1枚ではなく、流れを見る
1枚の絵からわかることはほとんどありません。ある日はすてきになぐり描きして、次の日はクレヨンをいやがる。気分、眠さ、歯の生えはじめ、興味しだいで変わるのは、まったくふつうです。発達を見るなら、何週間、何か月という単位で、だいたいの方向を見ましょう。少し思いどおりに動かせる、少し種類が増えた、楽しさが続いている。1枚から手がかりを探すより、ずっと安心できて、ずっと正確です。
線のまわりに、ことばを流す
読みとりすぎないようにしながらも、まわりで話すことで、なぐり描きの時間をゆたかにできます。見えたことを言い、色や形の名前を口にし、「ぐるぐる」「うえ、した」のように動きにことばをそえて。描いた本人が意図していない意味を絵にのせずに、話す力と考える力を支えられます。おしゃべりは評価ではなく遊びの一部になり、それこそが望む形です。
大人の反応は、軽く
子どもは大人の顔を読みます。ある絵には考えこむようにまゆをひそめ、別の絵には大絶賛すると、反応が大きくなる線があると学び、それを演じはじめるかもしれません。反応はあたたかく、でも一定に。結果より描くことに興味を向けると、子どもは自由に試しつづけられます。受けとってほしいメッセージは、どんな線も歓迎されること、描くことそれだけで理由になることです。
絵から本当の疑問が浮かんだら
子どもの絵が、ほかのことといっしょに、もっと大きな話の一部になることもまれにあります。でも絵だけでということはめったにありません。以前できていたことがずっとできなくなった、2〜3歳ごろになっても描くことにまったく興味がない、体の動きや遊び、コミュニケーションに広く心配がある。そんなときは、地域の保健師さんやかかりつけの小児科医に相談するのが賢明です。紙1枚ではなく子ども全体を見て、安心や、必要なら早めの支援の道をくれます。
そのままを楽しむ
いちばんやさしい見方は、なぐり描きを、解くべき暗号ではなく、子どもが分けてくれる毎日の小さな楽しみとして受けとることかもしれません。心からのぬくもりと軽い好奇心で見ていると、本当の発達の物語に気づけて、つくり話の不安からも自由になれます。クレヨンを出し、そばにすわり、見えたことを伝え、意味があるならそれは子どものものにしておきましょう。
保ちたいバランス
気づくことと、読みとりすぎることは別ものです。思いどおりに動かす力や自信が育っていくのを愛情をもって見守りながら、色選びを診断したり、くるくるの線を解読したりするのは、にこやかにやめておけます。そのバランスが、親子どちらにとってもお絵かきを楽しいものに保ち、本当に役立つことに目を向けさせてくれます。落ちついて励ましてくれる存在と、描く機会のたっぷりある毎日です。
ポイント: なぐり描きは何週間かの流れで、思いどおりの動き、種類、楽しさが育っているかを見て。色や形から気持ちを読まず、意味は子どもから。