「自分で選ぶ」を育てるシール遊び

シールのシートほど、小さな子を夢中にさせるものはなかなかありません。はがして、貼って、1枚ずつどこに置くか自分で決める。シールは、ひそかに力のある遊びの材料です。手をふさいでおくだけでなく、選ぶ自由のあるシール遊びは、自分で決める練習になります。それは幼児期の造形がくれる、いちばん価値あるもののひとつです。

シールはただのひまつぶしではない

台紙からシールをはがすのは細かい作業で、のちに鉛筆やボタンに使う、指先でつまむ力を強めます。ねらった場所に貼ることで、目と手の連携も育ちます。でも本当の贈り物は「決めること」です。これはどこに貼ろう?正解がないので、子どもは何度でも自由に選べます。選ぶのは力です。「ここに貼る」のひとつひとつが、小さな「自分のもの」という実感。シールはもっと評価されていい遊びです。

いちばん小さな子は、シンプルに

よちよち歩きの子には、かんたんに、はがすことも楽しみのうちに。大きめのシールは小さな指でも扱いやすく、角を少しめくってあげたり、はがしやすい台紙のシールを選んだりすると、イライラが減ります。白い紙を1枚わたして、好きなように貼ってもらいましょう。場面もルールもいりません。この時期のねらいは、決めて、貼って、ながめるを、何度もくり返させることだけです。

指示ではなく、キャンバスを

2、3歳から幼児期の子には、おもしろい台紙を用意して、大人は一歩下がるのがコツです。りんごのシールを待っている木の絵、「わたしのおにわ」と書いた白いページ、飾りつけ用の紙皿、着せかえする自分の形。どれも、指示せずに選ぶことを誘います。どこに貼る「べき」かは言わないで。太陽を下に、魚を空に貼っても、それはその子の創造的な選択。直すのではなく、あたたかくうなずきましょう。

シールを手づくりする

シール遊びのために、シールを買う必要はありません。文房具店の丸いカラーシールは安くて、模様や数あそびにぴったり。ちぎったマスキングテープは、貼ってはがしやすく、家具も傷めにくいです。ラベルシールに絵を描けば、かんたんな手づくりシールにも。キャラクターのシールより、手づくりやシンプルなシールのほうが自由な遊びを誘うことが多いものです。まねするべき「正しい」場面がないからです。

想像を広げるアイデア

慣れてきたら、決めることに重心をおいたお誘いを。いろいろなシールを出して、ページの上でおはなしをつくってもらい、聞かせてもらう。色のくり返しを提案して、続けるか、楽しくくずすかを見る。無地のノートをシール帳にして、何日もかけてうめる。シールとクレヨンをいっしょに出して、貼ることと描くことを組みあわせる。どのアイデアも、計画し、並べ、考えなおす余地を広げます。

選んだことは、本当にその子のものに

見ていると、並べ方を整えたり、シールをまっすぐ直したりしたくなります。でもこらえて。この遊びの価値は、大人の目にはごちゃごちゃに見えても、子どもの決めたことをそのままにしておくことにあります。評価ではなく見たことを。「星をここに一列に並べて、丸はあっちに散らしたんだね」。選んだことに気づいてもらえ、尊重されていると伝わります。

安全のために

シールはふつうおだやかな遊びですが、小さなシールは、何でも口に入れる赤ちゃんや小さな子にとって窒息の危険があります。しっかり見守り、小さなシールは遠ざけましょう。年齢に合った安全な物を選んで。肌に貼るとかぶれることがあり、はがすときにやわらかい肌をひっぱってしまうので、貼るのは紙や物の上だけに。遊んだあとは、散らばったシールや台紙を集めておきましょう。口に入ったり、困る場所に貼られたりしがちです。

「変なとこに貼っちゃった」と怒ったら

はがす、貼るは、シールを動かしたい子や、くしゃっとしてしまった子をイライラさせることがあります。気持ちを受けとめ、くっついたシールをそっとはがすのを手伝い、新しい1枚をさりげなくわたしましょう。「まちがった貼り方なんてないよ」と伝えると、プレッシャーなく続けられます。「ちゃんと」してないとつらくなる完ぺき主義の子にとって、シールは、造形はごちゃごちゃでもいいんだと練習できる、やさしい場所になります。

成長とともに

シール遊びは、よちよち歩きのころから小学生、その先まで続きます。小さな子ははがしてぺたっと貼るだけ。4歳の子は場面全体を考え、おはなしをつくり、シールとお絵かきを組みあわせます。いろいろなシールや丸シールを少しストックしておき、ときどき新しい台紙を出せば、遊びはしぜんに深まります。お金も汚れもほとんどなく、器用さと、自分で考えて創る力の両方を育てる、たのもしい遊びです。

もっと大きな意味

何気ないシール遊びに見えて、じつは大切なことを練習しています。選んで、その選択に自信をもつこと。シールの場所を子どもが決め、大人がそれを尊重するたびに、「わたしはつくれる人」という感覚が強まります。シールを出し、台紙を出したら、選ぶのはその子にまかせましょう。

ポイント: シールと自由な台紙をわたしたら、貼る場所は子どもにまかせて。指先の力と、自分で決める自信が育ちます。

UNICEF, Learning through play

NHS, What to do if your child is choking