プロセスアートと工作、なにがちがう?

SNSを見ていると、子どもの作品には大きくふたつの種類があることに気づきます。ひとつは、子どもが自分でつくった、のびのびと散らかった1枚。もうひとつは、見本そっくりの、きれいでわかりやすい工作。どちらにも役割があります。そのちがいを知っておくと、その時々に合うほうを選べて、大人の肩の力も抜けます。

ねらいがちがう

いちばんのちがいは、価値がどこにあるかです。プロセスアートでは、することそのものが目的。材料を探り、選び、体験を楽しみ、決まったできあがりはありません。工作では、できあがりが目的。手順にそって、見本に似た紙皿のライオンのような、決まった物をつくります。どちらが上ということはなく、くれるものがちがうだけ。今どちらをしているかがわかると、子どもの支え方も変わります。

プロセスアートとは

プロセスアートは決まりのない、子どもが主役の造形です。絵の具とスポンジ、のりと紙の切れはしなどの材料を出して、子どもの好きにさせます。型紙も「正しい」結果もなく、ふたりの子の紙が同じになることも期待しません。大人は準備をしたら一歩下がります。失敗のしようがないので、とても自由で、とくにいちばん小さな子にぴったりです。小さな子はもともと、完成した絵より体験そのものに興味があるからです。

工作とは

工作にはゴールがあり、たいていはたどる手順があります。子どもは、しばしば大人に手伝ってもらいながら決まった物をつくり、完成品はある見た目になるはずのものです。工作では、指示にしたがう力、順番に進める力、特定の技法が身につき、見せられるわかりやすい作品に子どもが誇らしくなることもよくあります。そのかわり、できあがりも、作業の多くも前もって決まっているので、子ども自身の考えが入る余地は少なくなります。

ちがいを知ることが大切な理由

このちがいを知っておくと、遊びをねらいと子どもの段階に合わせられます。自由な探究、創造性、プレッシャーの少ない感覚の体験がほしいなら、プロセスアートを多めに。手順にそう練習や、特別な日の記念の品をつくりたいなら工作が合います。困るのは、ふたつがまざってしまうとき。たとえば「自由にどうぞ」の時間に、じつは正解がある場合です。子どもは自分の作品をまちがえたと感じてしまうかもしれません。

工作にひそむプレッシャー

工作はほどほどならすてきですが、そればかりだと小さなリスクがあります。たいていの造形にまねする見本がついていると、自分の考えを信じなくなり、「これで合ってる?」「やって」と聞きはじめる子もいます。見本どおりにできるか不安になることも。だから多くの保育や幼児教育の専門家は、世の中がきれいで正しい結果を求めはじめる前に、幼児期にはプロセスアートをたっぷりと考えています。創造の自信をそのまま守るためです。

工作が輝くとき

工作がよくないということではありません。季節の行事やお祝い、だれかに贈りたいプレゼント、子どもが興味をもった特定の技術を学ぶときには、工作が本領を発揮します。おじいちゃんおばあちゃんにカードをつくりたくてわくわくしている子は、工作から心からの喜びと目的を得ています。大切なのは、工作をたくさんの選択肢のひとつとして出し、見本に合わせるストレスの練習ではなく、本当に楽しめるものに保つことです。

工作をプロセスアートに変える

工作をゆるめれば、両方のいいところがとれます。材料は同じで、決まったできあがりをはずすのです。「この雪だるまをつくろう」ではなく、「わたと紙とのりがあるよ。何がつくれるかな」。テーマは出しても型紙はなし。子どものものが大人のものとまったく似ていなくても、それを喜びましょう。この柔軟なやり方なら、工作の魅力的な枠組みは残しつつ、子どもが持ち主であることと選ぶ楽しさを取りもどせます。

子どものサインを読む

何が必要かは、子ども自身がよく教えてくれます。絵の具をぬりたくるのに夢中な子はプロセスを求めていて、「何かにしよう」と口をはさむと台なしになります。「船ってどうやってつくるの?」と聞く子は、工作のような手引きを少し求めています。大人の好みを押しつけず、こうしたサインについていけば、造形は楽しいまま。日によって、年齢によって、同じ子でもほしいものはちがい、それはまったく自然なことです。

ちょうどいいバランスを

どちらかを選ぶ必要はありません。家ではたっぷりのプロセスアート、材料と自由そのものが目的の時間を中心に、ときどきお祝いやプレゼント、子どもがやってみたい技術のための工作を。幼児期に自由な探究を多めにすることで創造の自信が守られ、ときどきの手順のある作品が変化と誇らしさを加えます。どちらも、考えて使えば子どもの育ちを助けます。

親として覚えておきたいこと

このちがいを知ることは、よくある落とし穴から自分を自由にすることでもあります。もともと目的ではなかった、写真のような見本と子どもの作品を比べてしまう落とし穴です。たいていは、とくに子どもが小さいうちは、できあがりよりつくることのほうがずっと大切。ゆたかな材料を用意し、自由はたっぷり、手順はときどき。どちらがどれだけ必要かは、子どもに決めてもらいましょう。

ポイント: プロセスアートは子ども自身の探究を、工作は決まった作品をめざすもの。幼児期は自由なプロセスアートを中心に、工作はときどき加えましょう。

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