怒鳴らずに、イヤイヤ期の反抗に向き合うには

「くつはいて」「やだ!」「お風呂入ろう」「しない!」。朝から晩まで続く「やだ」に、気づけば大きな声を出している。そんな自分に落ちこむ夜もあるでしょう。イヤイヤ期の反抗は、子どもの気持ちと衝動と、まだ少ないことばとが、うまくかみ合わないときに強く出ます。目指すのは、すべての線引きに納得させることではなく、人を守り、避けられるきっかけを減らし、落ち着いているときに代わりの行動を1つ教えて、少しずつ使えるようにしていくことです。

まず、その場でできること

「やだ」に向き合うときは、こじれる前の工夫と、ぶつかった瞬間の対応を分けて考えましょう。その場でできるのは、子どもに近づいてから具体的な指示を1つだけ伝えること、そしてどちらでもいい選択肢を2つ出すことです。これは反抗へのごほうびではなく、いっぱいいっぱいの子どもが受けとめられる量に、要求をしぼるための工夫です。

教えるのは、落ち着いてから

教える時間は、落ち着いてからやってきます。同じことばを何度もくり返すより、最初の一歩をいっしょに手伝いましょう。協力してくれたときは、その瞬間に具体的に伝えます。「自分でくつを持ってきてくれたね」。大変な場面で協力できるようになるまでには、何度もの支えが必要です。すぐに謝ることや、にっこり従うことを求めなくても、大人の対応はぶれずに続けられます。

はじめに見ておきたいこと

気持ちが爆発した場面を、あとから少しだけふり返ってみましょう。何がほしかったのか、どんな「だめ」や切りかえがあったのか、空腹や疲れはなかったか、大人はどうしたか、どうやって落ち着いたか。時間帯や場所に共通点があれば、まだ練習中の力なのか、その子にはむずかしすぎる場面なのかが見えてきます。いつもと違う急な変化には、病気や痛み、暮らしのみだれが関係していることもあります。

怒鳴らずに伝える手順

  • 近づいてから、具体的な指示を1つだけ伝えましょう。
  • どちらでもいい選択肢を2つ出しましょう。
  • 同じことを何度も言うより、最初の一歩を手伝いましょう。
  • 協力してくれたときは、そのことを具体的に伝えましょう。

きっかけがわかっているなら、その前に手を打ちましょう。最中は約束を一度だけ伝え、危険を止められる距離を保ち、理由の説明は子どもが聞けるようになるまで待ちます。仲直りのあとで、次に同じことが起きたときに使える短いことば、合図、行動をひとつ練習しておきます。

家族や保育園と、決めておくこと

保育園の先生や祖父母と、「うちではこうしています」を共有しておくと、子どもは安心します。まずは「近づいてから、具体的な指示を1つだけ伝える」、次に「どちらでもいい選択肢を2つ出す」。何日で落ち着くかを約束するのではなく、大人の行動をそろえましょう。ことばは短く、対応はわかりやすく。子どものサインを見て、寄りそうか見守るかを選びます。きょうだいの守りかた、外出先から帰る判断、要求をいったん止める方法も、前もって話しておきましょう。

1週間ふり返ってみる

いつもどおりの1週間、かかわりのある場面だけを拾ってみましょう。直前のきっかけ、眠さやおなかのすき具合、どんな約束ごとがあったか、危険な行動、大人が試したこと、気持ちが戻るまで。罰やごほうびの表ではなく、防げることと教えられることを見つけるためのメモです。

見直しでは、完璧に止まったかではなく、安全に、短く、わかりやすくなったか、代わりの行動の芽が見えたかを見ましょう。効果のあった落ち着いた対応は続け、避けられる力くらべはやめます。激しさが変わらない、どこでも起きる、発達の心配があるなら、記録を持って専門家に相談しましょう。

安全と、子どもの尊厳を守る

いちばん大切なのは、人を傷つけないこと。たたく、かむ、投げる、危ないところへ走るのは、できるだけ小さな力で止め、まわりの人やかたい物はできれば移動させましょう。気持ちが爆発している間は、はずかしめる、おどす、たたく、謝らせる、のどれもしないこと。必要な線引きは守ったまま、子どもががっかりしていても大丈夫です。

つまずきやすいところ

  • まだ興奮しているときに、理由をくどくどと説明してしまう。
  • その場の気まずさを終わらせたくて、約束ごとをゆるめてしまう。
  • 照れや緊張の笑いを、大人をなめているしるしだと受けとる。
  • 教えていないスキルの不足を、叱って直そうとする。

前進のしるし

よくなっているしるしは、小さなところに出ます。ピークが短い、手が安全になってきた、大人に助けを求められた、合図を使えた、生活がまるごとくずれずに立ち直れた。整える力が育っている最中にも、かんしゃくは起こります。すぐに従うことを期待せず、数週間の流れで見ましょう。

専門家に相談したいとき

けがが続く、極端に激しい、長引く、どこでも起きる、以前の力が失われた、ことばのやりとりに大きなむずかしさがある、大人が安全を守れない。こうした場合は、小児科や地域の子育ての相談窓口など専門家の力を借りましょう。目の前に危険があるとき、子どもの具合が急に悪そうなときは、すぐに救急へ。

覚えておきたいこと

できる予防をし、危険は止め、線引きはひと言で、代わりの行動は気持ちが落ち着いてから。子どもは線引きを喜ばなくてかまいません。どの対応も子どもの尊厳を大切にし、次に同じ場面が来たときに安全に参加できる方法を手渡すものであれば十分です。

ポイント: 怒鳴らない対応で迷ったら、いちばん安全で役に立つ次の一歩を選び、続けられる形にしておくことです。

American Academy of Pediatrics, Positive discipline

American Academy of Pediatrics, Big feelings

CDC, Developmental Milestones