ママやパパをとられたくない幼児のやきもち、どうする?
パパがママのとなりにすわると、泣いて間に割りこむ。ママが下の子を抱っこすると、たたいてくる。親をめぐるやきもちは、見ていてせつなくもあり、困ってしまうものです。こうした行動は、子どもの気持ちと衝動と、まだ少ないことばとが、かみ合わないときに出てきます。目指すのは、子どもにすべての線引きを納得させることではなく、人を守り、避けられるきっかけを減らし、落ち着いているときに代わりの行動を1つ教えていくことです。
まず、その場でできること
やきもちには、ぶつかる前の工夫と、いちばん気持ちがたかぶったときの対応があります。前もってできるのは、毎日決まった短いふたりきりの時間をつくること。その場では、気持ちは言葉にしても、危ない行動は認めないこと。「ママをひとりじめしたかったんだね。でもたたくのはだめ」。これはごほうびではなく、いっぱいの気持ちを受けとめやすくするための対応です。
教えるのは、落ち着いてから
教えるのは、落ち着いてから。親のそばで子どもにできる役割を渡しましょう。「タオルを持ってきてくれる?」。もう一方の親やほかの大人との関係は、無理にくっつかせず、ゆっくり育つのを待ちます。安心して待てるようになるまでには、何度もの支えが必要です。すぐに謝ることや、笑顔で受け入れることを求めなくても、大人の対応はぶれずに続けられます。
はじめに見ておきたいこと
まずは、子どもが何をしたかったのか、どんな線引きや切りかえがあったのか、おなかがすいていたり眠かったりしなかったか、大人がどうこたえたか、どうやって落ち着きを取り戻したかを書きとめてみましょう。同じ時間帯や場所でくり返すなら、力がまだ育っていないのか、求めていることがむずかしすぎるのかを見分ける手がかりになります。急に様子が変わったときは、病気や痛み、生活のみだれが隠れていることもあります。
やきもちへの対応の手順
- 毎日、予想できる短いふたりきりの時間をつくりましょう。
- 気持ちは言葉にしても、危ない行動は認めないようにしましょう。
- 親のそばで、子どもにできる役割を渡しましょう。
- ほかの人との関係は、無理に仲よくさせず、ゆっくり育てましょう。
これは、いざというときの対応の段取りです。きっかけがわかっている場面の前に準備をし、線引きは一度だけ伝え、けがを防げる距離にいて、説明は子どもが受けとめられるようになるまで待ちます。気持ちがつながり直したら、次に同じ場面で使える短いことば、しぐさ、行動を練習しましょう。
家族や保育園と、決めておくこと
大人によって対応が違うと、子どもはどこまでが本当の線なのかわからなくなります。家族や保育園とは、「毎日、決まった短いふたりきりの時間をつくる」「気持ちは言葉にするけれど、危ない行動は認めない」といった共通の一歩を決めておきましょう。いつまでに直るかではなく、大人がすることを言葉にします。ことばは短く、対応は同じに。くっついていたい子にはそばに、ひとりになりたい子には少し距離を。きょうだいの守りかた、外出先からの離れかた、要求をいったん止めるタイミングも、前もって話し合っておくと、新たな衝突を防げます。
1週間ふり返ってみる
ふだんどおりの1週間、この場面だけを記録してみましょう。きっかけ、眠気や空腹、かかわっていた線引き、危ない行動があったか、大人が試したこと、どうやって落ち着いたか。ごほうびや罰のための行動表ではなく、防げるパターンと、教えられる代わりの行動を見つけるための短いメモです。
ふり返りでは、安全になったか、短くなったか、理由が見えてきたか、代わりの行動をほんの一部でも使えたかを見ます。効いた対応は続け、しなくていい力くらべは手放しましょう。とても激しいまま、家でも園でも起きる、発達の心配もある、といったときは、記録を専門家に見せてください。
安全と、子どもの尊厳を守る
たたく、かむ、投げる、危ない方向へ走りだす、といった行動は、必要最小限の力で止め、できるときはまわりの人やかたい物を遠ざけましょう。気持ちが爆発している最中に、はずかしめる、おどす、たたく、謝らせる、といったことはしないでください。大人が必要な線引きを守っていても、子どもはがっかりしたままでいていいのです。
つまずきやすいところ
- 気持ちがあふれている最中に、言い聞かせで落ち着かせようとする。
- まわりの目を気にして、ルールを変えてしまう。
- 緊張して笑うのを、すべて大人をばかにしていると受けとる。
- 教わっていないことができないのを、罰してしまう。
前進のしるし
はじめの変化は、ほんの少しかもしれません。ピークの短さ、手の出にくさ、大人の助けの受け入れ、合図の使用、全部が崩れる前の立ち直り。気持ちを整える力が育っていく途中でも、かんしゃくは起きるものです。その場で従うかではなく、時間をかけたパターンをくらべてください。
専門家に相談したいとき
けがが多い、極端に激しい、長く続く、家でも園でもどこでも起きる、できていたことができなくなったり、ことばのやりとりに大きなむずかしさがあったりする、大人が安全を守れなくなっている、といったときは専門家に相談しましょう。今まさに危険がある、子どもがひどく具合が悪そうに見えるときは、すぐに地域の救急や相談窓口を頼ってください。
覚えておきたいこと
大人がすることは4つ。防げるきっかけを減らす、危険を止める、線引きは短く、教えるのは落ち着いてから。子どもが「だめ」に納得しなくてもかまいません。それでも、どの対応も子どもの尊厳を守り、次に安全に過ごせる道を用意するものにしましょう。
ポイント: 親をめぐるやきもちは、いちばん安全で役に立つ次の一歩を選び、くり返せる形にしておきましょう。
American Academy of Pediatrics, Positive discipline