2歳の子に、線引き(ルール)をどう伝える?
コンセントにさわる、道路に飛びだす、お友だちのおもちゃを取る。2歳の毎日は、「だめ」と言いたくなる場面の連続です。でも「だめ」ばかりでは、伝わらないことも。2歳の子がルールを守れないのは、気持ちと衝動と、使えることばとが、まだうまくかみ合わないからです。目指すのは、すべてのルールに納得させることではなく、人を守り、避けられるきっかけを減らし、落ち着いているときに代わりの行動を1つ教えていくことです。
まず、その場でできること
2歳への線引きは、ぶつかる前の準備と、いちばん激しいときの対応を分けて考えると楽になります。準備としては、安全と家族の暮らしにかかわるルールにしぼること。その場では、ルールを短いひと言で伝えることです。「道路は手をつなぐよ」。これはかんしゃくへのごほうびではなく、受けとめきれない子への要求を減らすための工夫です。
教えるのは、落ち着いてから
教えるのは落ち着いてから。うまくいきやすいように環境を整えましょう。さわってほしくない物は片づけ、危ない場所にはゲートを。子どもの気持ちは受けとめながら、線引きは守ります。「もっと遊びたかったね。でも帰る時間だよ」。大変な場面で守れるようになるまでには、何度もの支えが必要です。すぐに謝ることや明るく従うことを求めなくても、大人の対応はぶれずに続けられます。
はじめに見ておきたいこと
何がきっかけだったのかを知るために、メモをとってみましょう。子どもがほしかったもの、かかわっていた約束ごとや切りかえ、空腹や眠気のサイン、大人の対応、そして落ち着くまでの道のり。いつ、どこで起きやすいかが見えてくると、まだ身についていない力なのか、その子には荷が重すぎる要求なのかがわかってきます。いつもと違う急な変化は、体調不良や痛み、環境の変化のサインかもしれません。
線引きの伝えかた
- 安全と家族の暮らしにかかわるルールを、いくつかにしぼりましょう。
- それぞれのルールは、短いひと言で伝えましょう。
- 環境を整えて、うまくいきやすくしましょう。
- 子どもの気持ちは受けとめながら、線引きは守りましょう。
ポイントは、事前の準備と、その場の短さです。苦手な場面の前に備え、約束ごとは一度だけ言い、危ないことを止められる近さにいて、くわしい話はあとまわしに。落ち着いて仲直りできたら、次に同じ場面で使えそうなひと言やしぐさを、いっしょに練習してみましょう。
家族や保育園と、決めておくこと
次に同じ場面が来る前に、まわりの大人で対応をそろえておきましょう。共通の一歩は「安全と家族の暮らしにかかわるルールにしぼる」、そして「ルールは短いひと言で伝える」。子どもがどれだけ早く変わるかではなく、大人の行動を決めておくのがコツです。短いことば、毎回同じ対応、子どものサインに合わせた距離感。それに、きょうだいの安全、外出先からの退散、要求のいったん中止をどうするかも、もめごとを増やさない形で決めておきましょう。
1週間ふり返ってみる
1週間だけ、気になる場面に絞ってメモをとってみましょう。何がきっかけか、疲れや空腹はあったか、どんな線引きだったか、危ないことはあったか、大人は何をしたか、どう落ち着いたか。シールを貼るような行動表とは違い、防げるパターンと、代わりに教えられる行動を見つけるためのものです。
ふり返るときの問いは、「前より安全か」「短くなったか」「わけがわかってきたか」「代わりの行動を少しでも使えたか」です。役立った落ち着いた対応は残し、避けられるぶつかり合いはなくしましょう。極端なまま続く、場所を問わず起きる、発達が気になる、といったときは、記録を持って専門家に相談を。
安全と、子どもの尊厳を守る
安全のためにすることは、危ない行動をいちばん小さな力で止めること。たたく、かむ、物を投げる、車道に走りだす、そうした動きは止め、近くの人やかたい物はできれば離します。いちばん興奮しているときに、恥をかかせる、おどす、たたく、謝罪を求めるのはやめましょう。線引きは守りつつ、子どもががっかりしているのはそのままでかまいません。
つまずきやすいところ
- 聞く余裕のないときに、長い話で納得させようとする。
- 人目が気になって、線引きを変えてしまう。
- 気まずさから出た笑いを、反抗や無礼だと決めつける。
- まだ身についていない力を、できないからと叱る。
前進のしるし
うまくいっているかは、すぐに言うことを聞くかでは測れません。爆発のピークが短くなった、手が安全になった、大人の助けを受け入れられた、合図が使えた、1日の流れがくずれきる前に戻れた。こうした変化が前進です。かんしゃくは、力が育つ途中でも起きます。時間をかけたパターンで見ていきましょう。
専門家に相談したいとき
専門家に相談したいのは、たびたびけがにつながるとき、極端に激しく長いとき、場所を問わず起きるとき、できていたことが消えたり、ことばでのやりとりに大きな困りごとがあったりするとき、大人が人の安全を守れないときです。差しせまった危険があるときや、子どもが急にひどく具合が悪そうなときは、すぐに救急などの助けを求めましょう。
覚えておきたいこと
予防できることは予防し、危ないことは止め、約束は手短に、そして代わりのやりかたは落ち着いてから教える。子どもに線引きを気に入ってもらう必要はありません。大切なのは、どんな対応も子どもの尊厳を守り、次の同じ場面でうまく参加できる手立てを渡すことです。
ポイント: 2歳への線引きには、いちばん安全で役に立つ次の一歩を1つ選んで、毎回くり返せる形にしましょう。
American Academy of Pediatrics, Positive discipline