奇声をあげる幼児:どこまでふつう?どうすればいい?

電車の中で、スーパーで、家の中で、突然「キャーッ!」。耳がいたくなるほどの奇声に、まわりへの申しわけなさも重なって、思わず「静かに!」と大きな声を出してしまう。幼児の奇声は、気持ちと衝動と、使えることばとが、かみ合わないときによく出ます。目指すのは、すべての線引きに納得させることではなく、人を守り、避けられるきっかけを減らし、落ち着いているときに代わりの行動を1つ教えて、少しずつ使えるようにしていくことです。

まず、その場でできること

奇声には、さけぶ前の工夫と、その瞬間の対応があります。最初に、痛み、病気、聞こえの心配がないか確かめましょう。その場では、大声に大声で張り合わず、静かにこたえます。小さな声で話すと、子どもも耳をすまそうとすることがあります。これは奇声へのごほうびではなく、いっぱいの子への要求を減らすための対応です。

教えるのは、落ち着いてから

教えるのは、落ち着いてから。遊びの中で、家の中の声、ささやき声、外で出す大きな声をいっしょに試してみましょう。子どもがふさわしい合図、たとえば肩をとんとんたたく、「ねえ」と呼ぶなどを使えたら、すぐに注目してこたえます。大変な場面で使えるようになるまでには、何度もの支えが必要です。すぐに謝ることを求めなくても、大人の対応はぶれずに続けられます。

はじめに見ておきたいこと

書きとめたいのは、5つのことです。子どもが望んでいたこと、その場の線引きや切りかえ、おなかや眠気の具合、大人がしたこと、落ち着くまでの流れ。くり返し起きる時間や場面がわかれば、育ち途中の力の問題か、求めすぎの問題かが見分けやすくなります。また、急に増えたときは、病気、痛み、生活の変化も考えてみましょう。

奇声への対応の手順

  • まず、痛み、病気、聞こえの心配がないか確かめましょう。
  • 大声に大声で張り合わず、静かにこたえましょう。
  • 落ち着いて遊んでいるときに、家の中の声を練習しましょう。
  • ふさわしい合図を使えたら、すぐに注目してこたえましょう。

この手順は、かんしゃくの前、最中、あとに分けて考えるためのものです。起きそうな場面の前に準備する。最中は線引きを一度だけ伝え、けがを防げる場所にいて、説明はしない。落ち着いて気持ちがつながったら、同じ場面で次に使える短いことばや動きを練習する。この流れをくり返します。

家族や保育園と、決めておくこと

誰がその場にいても同じようにこたえられるよう、家族や先生と手順を共有しておきましょう。「まず痛み、病気、聞こえの心配がないか確かめる」「大声に大声で張り合わず、静かにこたえる」。言うのは短く、対応はいつも同じに。子どもが近くにいてほしそうか、少し離れてほしそうかを見て合わせます。きょうだいを守る、外出先を切り上げる、求めていることをいったんやめる、といった場面の動きかたも決めておけば、その場で新しいけんかが生まれにくくなります。

1週間ふり返ってみる

1週間ほど、その場面が起きたときだけ短く書きとめましょう。きっかけ、疲れや空腹、線引きの内容、危ない行動、大人の対応、落ち着くまで。ごほうびや罰に使う表ではありません。予防できるパターンと、教えられる代わりの行動を探すための記録です。

1週間の終わりに、安全さ、長さ、わかりやすさがどう変わったか、子どもが代わりのことばや行動を一部でも使えたかを確かめましょう。うまくいった対応は続け、いらない力くらべは減らします。激しいままの場合、いろいろな場所で起きる場合、発達の心配がある場合は、記録を持って専門家へ。

安全と、子どもの尊厳を守る

止めるのは、たたく、かむ、投げる、危険な場所へ走るといった行動だけ。必要最小限の力で止め、ほかの人やかたい物は、できる範囲で遠ざけます。ピークのときに、恥をかかせたり、おどしたり、たたいたり、謝らせたりしないでください。大人が線を守ることと、子どもががっかりしていることは、両立します。

つまずきやすいところ

  • 気持ちがいっぱいで聞けない最中に、長々と言い聞かせようとする。
  • まわりの視線がつらくて、さっきの「だめ」を取り消してしまう。
  • 不安で笑ってしまう様子を、わざとふざけていると思いこむ。
  • 練習していない行動を、できなかったからと罰する。

前進のしるし

最初の前進は、爆発のピークが短くなる、手が出にくくなる、大人の助けを受け入れる、合図を使う、1日の流れが全部くずれる前に立ち直る、といった形で見えてきます。気持ちを整える力が育っている途中でも、かんしゃくは起きます。すぐに言うことを聞くかどうかではなく、時間をかけたパターンでくらべましょう。

専門家に相談したいとき

次のようなときは、ひとりで抱えずに相談を。けががよく起きる、激しさや長さが極端、家でも園でも起きる、できていたことができなくなった、ことばのやりとりがとてもむずかしい、大人が安全を守りきれない。今すぐ危険があるとき、子どもが急に具合が悪そうなときは、ためらわず救急などを頼りましょう。

覚えておきたいこと

防ぐ、止める、短く伝える、落ち着いてから教える。これが基本です。子どもが約束に同意しなくてもいいのです。ただ、どんなときの対応も、その子の尊厳を守り、次は安全にふるまえる現実的な方法につながるものにしましょう。

ポイント: 奇声への対応の次の一歩は、いちばん安全で役に立つものを。そして、それをくり返せる形にしておきましょう。

American Academy of Pediatrics, Positive discipline

American Academy of Pediatrics, Big feelings

CDC, Developmental Milestones