叱るとニヤニヤ笑う幼児、どういう意味?

お友だちをたたいたので真剣に叱ったら、ニヤッと笑った。ふざけているようで、思わず声が大きくなってしまう。そんな経験はありませんか。叱られたときの笑いは、子どもの気持ちと衝動と、使えることばとがかみ合わないときに出ることがあります。緊張や気まずさで笑ってしまう子も多いのです。目指すのは、笑いを止めさせることではなく、人を守り、避けられるきっかけを減らし、落ち着いているときに代わりの行動を1つ教えていくことです。

まず、その場でできること

笑いが出る場面は、予防とその瞬間の対応を分けて考えましょう。その場でできるのは、安全のための対応は変えないこと、そして真剣な顔を求めないことです。「笑うんじゃない!」と言うと、かえってこじれます。これは笑いへのごほうびではなく、気持ちがいっぱいの子への要求を減らすための対応です。

教えるのは、落ち着いてから

伝えるのはひと言で、そして最後までやりとおしましょう。「たたかないよ」と言ったら、手を止めます。どう仲直りするかは、子どもが落ち着いてから話しましょう。大変な場面でふさわしくふるまえるようになるまでには、何度もの支えが必要です。すぐに謝ることや、しゅんとした顔をすることを求めなくても、大人の対応はぶれずに続けられます。

はじめに見ておきたいこと

まずは、子どもが何をしたかったのか、どんな線引きや切りかえがあったのか、おなかがすいていたり眠かったりしなかったか、大人がどうこたえたか、どうやって落ち着きを取り戻したかを書きとめてみましょう。同じ時間帯や場所でくり返すなら、力がまだ育っていないのか、求めていることがむずかしすぎるのかを見分ける手がかりになります。急に様子が変わったときは、病気や痛み、生活のみだれが隠れていることもあります。

笑ったときの対応

  • 安全のための対応は、変えないようにしましょう。
  • 真剣な顔をするよう求めないようにしましょう。
  • ひと言で伝えて、最後までやりとおしましょう。
  • 仲直りの話は、子どもが落ち着いてからにしましょう。

これは、いざというときの対応の段取りです。きっかけがわかっている場面の前に準備をし、線引きは一度だけ伝え、けがを防げる距離にいて、説明は子どもが受けとめられるようになるまで待ちます。気持ちがつながり直したら、次に同じ場面で使える短いことば、しぐさ、行動を練習しましょう。

家族や保育園と、決めておくこと

大人によって対応が違うと、子どもはどこまでが本当の線なのかわからなくなります。家族や保育園とは、「安全のための対応は変えない」「真剣な顔を求めない」といった共通の一歩を決めておきましょう。いつまでに直るかではなく、大人がすることを言葉にします。ことばは短く、対応は同じに。くっついていたい子にはそばに、ひとりになりたい子には少し距離を。きょうだいの守りかた、外出先からの離れかた、要求をいったん止めるタイミングも、前もって話し合っておくと、新たな衝突を防げます。

1週間ふり返ってみる

ふだんどおりの1週間、この場面だけを記録してみましょう。きっかけ、眠気や空腹、かかわっていた線引き、危ない行動があったか、大人が試したこと、どうやって落ち着いたか。ごほうびや罰のための行動表ではなく、防げるパターンと、教えられる代わりの行動を見つけるための短いメモです。

ふり返りでは、安全になったか、短くなったか、理由が見えてきたか、代わりの行動をほんの一部でも使えたかを見ます。効いた対応は続け、しなくていい力くらべは手放しましょう。とても激しいまま、家でも園でも起きる、発達の心配もある、といったときは、記録を専門家に見せてください。

安全と、子どもの尊厳を守る

たたく、かむ、投げる、危ない方向へ走りだす、といった行動は、必要最小限の力で止め、できるときはまわりの人やかたい物を遠ざけましょう。気持ちが爆発している最中に、はずかしめる、おどす、たたく、謝らせる、といったことはしないでください。大人が必要な線引きを守っていても、子どもはがっかりしたままでいていいのです。

つまずきやすいところ

  • 気持ちがあふれている最中に、言い聞かせで落ち着かせようとする。
  • まわりの目を気にして、ルールを変えてしまう。
  • 緊張して笑うのを、すべて大人をばかにしていると受けとる。
  • 教わっていないことができないのを、罰してしまう。

前進のしるし

はじめの変化は、ほんの少しかもしれません。ピークの短さ、手の出にくさ、大人の助けの受け入れ、合図の使用、全部が崩れる前の立ち直り。気持ちを整える力が育っていく途中でも、かんしゃくは起きるものです。その場で従うかではなく、時間をかけたパターンをくらべてください。

専門家に相談したいとき

けがが多い、極端に激しい、長く続く、家でも園でもどこでも起きる、できていたことができなくなったり、ことばのやりとりに大きなむずかしさがあったりする、大人が安全を守れなくなっている、といったときは専門家に相談しましょう。今まさに危険がある、子どもがひどく具合が悪そうに見えるときは、すぐに地域の救急や相談窓口を頼ってください。

覚えておきたいこと

大人がすることは4つ。防げるきっかけを減らす、危険を止める、線引きは短く、教えるのは落ち着いてから。子どもが「だめ」に納得しなくてもかまいません。それでも、どの対応も子どもの尊厳を守り、次に安全に過ごせる道を用意するものにしましょう。

ポイント: 叱ったときの笑いは、いちばん安全で役に立つ次の一歩を選び、くり返せる形にしておきましょう。

American Academy of Pediatrics, Positive discipline

American Academy of Pediatrics, Big feelings

CDC, Developmental Milestones