幼児がおはなしを順番どおりに話せるようになるには
3歳の子に園で何があったか聞くと、おわりが先に来て、なかが最後に来て、いなかったはずの恐竜まで出てくるかもしれません。できごとを順番に話すのは確かな力で、ゆっくり育つものです。うれしいことに、ふだんのおはなしの時間には、お勉強にせずに、順番どおりに話す力をやさしく楽しく育てるチャンスがたっぷりあります。
順番に話すのがむずかしい理由と、練習する価値
できごとを順番に並べるには、小さな頭にいっぺんにたくさんのことが求められます。何があったか思いだし、いくつかの部分をその場にとどめ、何がはじめで、次で、最後かを選ぶ。幼児はまだそのための記憶とことばを育てている最中なので、ごちゃまぜの語りなおしはまったくふつうです。
それでも育てる価値があるのは、順番に並べる力が、のちのたくさんの学びの下にあるからです。指示についていく、「こうすると、こうなる」を理解する、書く、そして算数でさえ、できごとを並べる力にたよっています。何よりうれしいのは、それがワークシートではなく、楽しいおしゃべりで育つことです。
順番を表すことばをあげる
ことばがあると、子どもはできごとを並べやすくなります。毎日の暮らしとおはなしの時間に、かんたんな順番のことばを織りこみましょう。
- はじめに、それから、つぎに、そのあと、さいごに、おしまいに。
- 「はじめにくつした、それからくつ」
- 「はじまりは何があった?つぎはどうなった?どうやっておわった?」
こうしたことばを場面のなかで何度も聞くと、できごとをかける枠ができます。やがて子どもは自分でも「はじめに」「それから」を使いはじめ、それこそが必要な足場かけです。
お気に入りの本をお手本に
なじみのおはなしは、何が起きるかもう知っているので、最高の練習になります。読んだら本をとじて、語りなおしてもらいましょう。順番のことばでうながします。「はじめに何があった?それから?どうやっておわった?」。先に飛んだら、やさしく引きもどして。「あれ、でもおおかみが来る前に、こぶたは何をしてたっけ?」
とてもよく知っている本の途中で止まって、ページをめくる前に「次はどうなると思う?」と聞いてもいいでしょう。予想して確かめることで、おはなしが一歩ずつ進んでいく感覚が育ち、それが順番に話す力の中心です。
その子の一日のおはなしを
実際の暮らしは、いちばんかんたんな材料です。寝る前に、いっしょに一日を順番に語りなおしましょう。「はじめに起きて、それから朝ごはんを食べて、そのあと公園に行って、さいごにおうちに帰って夕ごはん」。次の部分を子どもに足してもらいます。自分で体験したことなので記憶が強く、つくることではなく並べることに集中できます。
こうして一日を語りなおすのは、順番どおりに話す力を育てるいちばんシンプルな方法のひとつです。できごとが新しく、子どもにとって大切なことだからです。
写真や絵も助けになります。お出かけの写真を何枚か見かえして、起きた順に並べましょう。1枚ずつ移っていくことで、順番が見て、さわれるものになります。
順番の遊びをする
並べることを、テストではなく遊びに。
- かんたんな流れを演じる。ケーキづくりごっこなら、はじめにまぜて、それから焼いて、さいごに食べる。
- なじみの4コマまんがを切るか、かんたんな絵を3枚描いて、順番に並べてもらう。
- 順番がはっきりした歌やわらべうたを歌い、次の一節を子どもにうめてもらう。
- わざとまちがえて語る。「ももたろうって、鬼ヶ島に行ってから、きびだんごを配ったんだっけ?」と言って、子どもに直してもらう。大喜びします。
こうした遊びなら、並べることが、ためされる力ではなく、自分が勝っているゲームに感じられます。
気楽に、挑戦を喜ぶ
はじめての順番どおりの語りなおしは、ぐらぐらしていて、それがまさにいいのです。ひとつひとつのまちがいを直したくなっても、こらえて。だいたいの形ができていたら、ほめましょう。「はじめとおわり、ちゃんと覚えてたね」。ぬけたなかの部分を足すのは、減点ではなく、やさしい後押しで。楽しいから子どもは話しつづけ、話すことで力が育ちます。
よくあるつまずき
きれいでまとまったおはなしを早くから期待するのが、いちばんの落とし穴です。4歳でもまだ順番がまざる子はいて、強く押すと口をとざしてしまうことがあります。練習させるより、ゆっくりやって見せましょう。
大人がかわりに語ってしまうのも、ついやりがちな習慣です。いつも大人が順番をうめていると、子どもの練習が減ります。すきまを残して、こんがらがってもいいから子どもに試させましょう。
相談したほうがいいとき
話がごちゃまぜなのは、幼児期にはふつうです。全体として、かんたんなふたつの指示についていくのがむずかしい、4歳ごろになっても知らない人には言っていることがとてもわかりにくい、何か月たっても文がほとんどのびない、という場合は、地域の保健師さん、かかりつけの小児科医、園の先生に話してみましょう。これらはことばと発達の一般的な目安で、聞こえの確認といっしょになることも多く、早めに伝えるのは支えへの扉を開けるだけのことです。
覚えておきたいこと
順番どおりに話す力を育てるには、「はじめに」「それから」「つぎに」「さいごに」のことばをあげ、お気に入りの本とその子の一日で語りなおしをやって見せ、並べることを遊びにしましょう。あたたかく、だいたいの挑戦を喜び、すぐにきれいになることではなく着実な進歩を期待して。少しずつ、ごちゃまぜが、はじまりとなかとおわりのあるおはなしになっていきます。
ポイント: 順番に話す力は遊びとおしゃべりで育ちます。「はじめに」「それから」「さいごに」を教え、語りなおしをやって見せ、ぐらぐらの挑戦も確かな進歩として喜びましょう。