家具の転倒から子どもを守る、固定と習慣

大人にはびくともしないように見えるたんすや本棚も、登る幼児にとってははしごになり、固定していなければ、おそろしい勢いで倒れてくることがあります。重い家具やテレビが子どもの上に倒れる事故は、毎年、重いけがや、ときに命にかかわる害を起こしていますが、そのほとんどは防げます。家具の転倒から子どもを守る考えかたは、ひとつに集約されます。倒れそうな物を固定し、子どもが登りたくなる理由をなくすことです。

家具が倒れる仕組みを知る

幼児は登りたくてたまらず、引き出しを開けたたんすは、完璧な階段になります。子どもが登ると、体重で重心が前に移り、背が高い家具や上の重い家具は、大人が反応するより早く、一瞬で倒れることがあります。テレビはとくに危険です。合わない台に置いた今のうすいテレビも、たんすにのせた昔の重いテレビも同じです。危険は登る、手をのばす、引っぱることから生まれるとわかれば、家のどの物にいちばん急いで手をつけるべきかが見えてきます。

背の高い家具、重い家具を固定する

家具の転倒防止でいちばん効果があるのは、危ない家具を壁にしっかり固定することです。転倒防止ベルト、金具、L字金具で、たんす、本棚、棚、洋服だんす、キャビネットを壁の下地に取りつけましょう。組み立て家具の多くには、今は固定用のベルトが箱に入っています。必要なさそうに思えても、つけておく価値があります。固定できない置き家具は、そもそも子ども部屋に置くべきか、もっと低くて安定したものに替えたほうが安全かを考えましょう。地震の多い日本では、この固定が地震への備えにもなります。

テレビをしっかり固定する

倒れてくるテレビは重く、ちょうど幼児の頭の高さに落ちてくることが多いので、テレビは別に考えましょう。できるだけ、うすいテレビはメーカーの金具を使って壁にしっかり取りつけます。家具の上に置くしかないなら、大きさに合った、低くて、がっしりした安定した台にのせ、できるだけ奥へ押しこみ、ベルトで固定しましょう。子どもが登るかもしれないたんすや棚の上にテレビをのせないこと。コードも引っぱれないように回しておきます。

登る理由をなくす

固定がいちばんですが、登りたくなる気持ちを減らすこともできます。いくつかの習慣で、家具はずっと登りにくくなります。

  • リモコン、おもちゃ、おやつなど、気になる物を背の高い家具の上に置かない。
  • いちばん重い物をいちばん下の引き出しに入れて、家具の下を重くし、倒れにくくする。
  • 家具に登るのはやめさせ、代わりに安全に登れる場所を用意する。
  • いすやふみ台は、家具や調理台から離して、足場に使えないようにする。

手段と動機の両方をなくせば、守りが二重になります。

部屋ごとに確かめる

家具の転倒防止をすみずみまで行うには、登る幼児を思いうかべながら、家じゅうの背の高い家具や重い家具をひとつずつ見て回りましょう。いちばん危ないものは、たいてい寝室、リビング、遊び部屋にありますが、キッチンの棚、廊下の収納、置き型の洋服だんすも忘れずに。子どもが過ごす場所、歩いていけそうな場所は、どこも同じようにチェックします。新しい家具を買ったら、固定をあと回しにせず、組み立ての一部にしましょう。そうすれば、新しい物が固定されないまま、すりぬけることはありません。

家族みんなでそろえる

安全対策は、みんなが続けてこそ働きます。ほかに子どもをみてくれる人や、家具を組み立てたり動かしたりする人にも、背の高い家具は固定したままにすること、便利だからとベルトを外さないことを伝えましょう。祖父母の家など、よく行く、泊まる場所があるなら、子どものまわりの家具の固定について、やんわりひと言伝えておく価値があります。子どもが過ごす場所すべてでそろえれば、一部屋だけ固定したのでは残るすき間がふさがります。

もしものとき

めざすのは予防ですが、家具が倒れてしまったときに動けるようにもしておきましょう。家具の転倒は、下じきになるけが、頭のけが、外からはわかりにくい体の中のけがを起こすことがあります。家具やテレビが子どもの上に倒れたら、元気そうに見えても医療機関でみてもらい、注意すべきサインをよく見ましょう。意識がない、息が苦しそう、ひどい出血、ひどく眠そう、なかなか起きない、何度も吐く、明らかな大けががある、というときは、すぐに119番に電話してください。強くぶつかったあとは自分の直感を信じ、早めに専門家に相談しましょう。

しっかりした家具、安全な子ども

ベルトや金具をいくつかつけるのは、小さくてすぐ終わる作業です。それでいて、家の中でもとくに防ぎやすい重いけがのひとつに手を打てます。背の高い家具と重い家具を固定し、テレビをしっかり取りつけ、登りたくなる物や足場をとりのぞけば、子どものまわりのふだんの家具から危険がなくなります。家具の転倒防止は、一度少しの手間をかければ、あとはほとんど自分で守ってくれます。子どもは自分の世界を探検し、登り、そのいちばん重い物たちは、しっかりその場にとどまってくれるのです。

ポイント: 家具の転倒防止とは、たんす、本棚、棚を壁に固定し、テレビをしっかり取りつけ、気になる物や足場になる物を遠ざけることです。

AAP HealthyChildren, Preventing tip-over injuries

WHO, Falls fact sheet