離乳食をはじめる準備ができたサインは?
大人が食べているのをじっと見つめて、口をもぐもぐ。「そろそろ離乳食かな?」と思う瞬間ですね。食べることは量だけでなく、栄養、口の動き、感覚で学ぶこと、家庭の食文化、そして大人が安全な機会を用意し、赤ちゃんが空腹や満腹、準備ができたことを伝える関係でできています。体の安全と食卓での信頼、その両方を守る視点ではじめどきを考えましょう。
ひと言でいうと
大人の食事を見つめる、こぶしをしゃぶる、夜に起きる回数が増える、といったことは、それだけでは準備ができた確かなサインではありません。生後6か月ごろに、首がしっかりすわる、支えがあればすわれる、ねらって手を口に運べる、食べものを飲みこめる、といった発達の力がいくつかそろっているかを見ましょう。
実際にはどうするか
準備ができているかどうかは、1回で合格しなければいけない試験ではありません。赤ちゃんが起きていて機嫌がよいときに、安全なひと口を試し、姿勢や飲みこみがまだまとまっていないようなら、いったんお休みしましょう。特別にすすめられていない限り、哺乳びんのミルクにシリアルなどを混ぜないでください。早く生まれた赤ちゃんや、発達や食べることに心配がある赤ちゃんのはじめどきは、医師にたずねましょう。
はじめに見ておきたいこと
数日間の食事をざっと見わたしてみましょう。姿勢は安定しているか、どんな食感を扱えているか、食欲、母乳やミルク、体重の増え、食べているときの気持ち。もしせきこみ、窒息しかけた様子、痛み、嘔吐、ゴロゴロした声、発疹、呼吸の症状があれば、それは別扱いです。正確に書きとめておけば、ふつうの用心深さやえずき、食欲の変化と見分けやすくなります。
はじめる前にしておくこと
- 生後4〜6か月ごろの健診や受診のときに、はじめる時期を相談しましょう。
- 安定して、まっすぐすわれる食事の姿勢を用意しましょう。
- 赤ちゃんの力に合った、やわらかい食感からはじめましょう。
- そばにいて、赤ちゃんが食べものをどう扱うか見守りましょう。
上の手順は、食卓を安全に、そして子どもの気持ちをわかりやすくするためのものです。眠くないとき、きちんとすわれているときを選び、変えることは1つずつ。はっきりした「いらない」は受けとめ、量のノルマはつくらず、次の食事やおやつはいつもどおりに用意しましょう。
よくある質問
大人の食べものに手をのばしたら、準備ができたしるし?
興味をもつのは役に立つサインですが、それだけで判断しないようにしましょう。
6か月より前に、離乳食をはじめてもいい?
WHOとUNICEFは、一般的に、生後6か月ごろから離乳食をはじめるようすすめています。
6か月になったのに、うまく食べられないようなら?
いったんお休みして、準備や食べる力について医療者に相談しましょう。
祖父母や保育園と、そろえておく
「うちの子のときはもっと早くから果汁をあげていた」と言われることもあるかもしれません。目安は時代とともに変わっています。家族とは「生後4〜6か月ごろの健診のときにはじめる時期を相談する」「安定してまっすぐすわれる姿勢を用意する」という方針を共有しましょう。いつまでに食べさせるかではなく、大人がすることを決めておきます。どんなサインで食事をやめるか、どんな症状なら受診するか、年齢に合った応急手当を知っているのは誰かも話しておけば、見守りがゆるむことはありません。
1週間ふり返ってみる
ある1週間を選んで、食事とおやつを何回分か見てみましょう。食べものの種類、扱えた食感、おなかのすき具合ともういらないのサイン、心地よさ、そばで見守れたか、せきこみ、窒息しかけた様子、発疹、吐く、痛がる。メモはこれで十分です。何口食べたか、大人が何と言ったかを採点するのはやめておきましょう。
ふり返りのときは、「たくさん食べたか」より「安全に、楽しく参加できたか」を見ましょう。少し自信がついたか、プレッシャーを増やさずに学ぶ機会が広がったか。役立った工夫は続け、子どもの力に合わなかった食感や流れは調整します。体重の増え、水分、飲みこみ、食べられる物の極端な少なさが続くなら、専門家に相談しましょう。
安全と、子どもの尊厳を守る
安全のために、食べているときは必ずそばで見守りましょう。かむ力、飲みこむ力に合った形とかたさにし、のどにつまりやすい食べものは遠ざけておきます。年齢に合った応急手当は、認定された講習で学んでおきましょう。窒息が疑われるときや重いアレルギー反応があるときは、ネットで答えを探さず、すぐに緊急の対応をしてください。
つまずきやすいところ
- 食卓が、子どもの合図より「もう一口」を競うゲームになってしまう。
- 満腹のはっきりしたサインのあとも、動画やおもちゃで気をそらして食べさせ続ける。
- つまりやすい物の形を工夫しないまま、次の食感へ進む。
- 栄養のアドバイスを受けないまま、食べものを減らしたり除いたりする。
前進のしるし
前進は小さな形でやってきます。お皿の上の食べものをいやがらなくなる、新しい食感をこなせる、空腹や満腹を前よりはっきり伝える、大人の手を借りる場面が減る、少しずつ食べる物の幅が広がる。1皿ではなく数週間単位で見ましょう。ただし体重の増え、水分、飲みこみの心配には、待たずに対応を。
専門家に相談したいとき
体重の増えが止まった、脱水ぎみ、痛みが続く、せきこみや窒息しかけることがくり返される、飲みこんだあとに声がゴロゴロする、アレルギーかもしれない、食べられる物が急に少なくなった、食事のたびにつらそうで回らない。そんなときは専門家を頼りましょう。息ができない、倒れた、重いアレルギー反応が出たときは、すぐに119番です。
覚えておきたいこと
食卓での大人の仕事は、合った食べものを安全に用意し、見守り、いつもの時間に出すこと。どれだけ食べるかは、子どもの合図にまかせましょう。ただし体重の増え、水分、アレルギーの症状、痛み、飲みこみにくさがあれば、それが完食や流行りの方法よりも先です。
ポイント: 離乳食のはじめどきで迷ったら、いちばん安全で役に立つ次の一歩を選び、続けられる形にしておくことです。
WHO, Complementary feeding guideline