赤ちゃんが離乳食を食べないとき、どうすればいい?
一生懸命つくった離乳食。スプーンを近づけたとたん、口をぎゅっと閉じてぷいっ。毎回だと、作る気力もしぼんでしまいますよね。でも、食べることは量だけの話ではありません。栄養、口の動き、感覚で学ぶこと、家庭の食文化、そして大人が安全な機会を用意し、子どもがおなかがすいた、もういらない、まだ準備中と伝える関係が重なっています。だから役に立つアドバイスは、体の安全と食卓での信頼の両方を守るものです。
ひと言でいうと
離乳食のはじめのころに食べないのは、眠い、具合が悪い、母乳やミルクでおなかがいっぱい、慣れない食感、あるいは単に食べることを覚えるのに時間がかかっている、といった理由かもしれません。閉じた口はメッセージで、力ずくで乗りこえる問題ではありません。決めた量まで説得して食べさせるより、プレッシャーをかけずに何度も出すほうが、たいていのことがわかります。
実際にはどうするか
赤ちゃんがぱっちり起きているときに、ほんの少しだけ出し、いっしょに食卓につきましょう。さわったり、なめたりするだけでも学びです。かたさは少しずつ変え、母乳やミルクは必要なだけ続けます。いやがっている子の口に、食べものを入れないでください。体重が増えない、脱水、痛がる、せきこむ、窒息しかける、吐くのが続く、かたさがまったく進まない、といったときは専門家にみてもらいましょう。
まず見ておきたいこと
食卓での様子を、何回分かまとめて見てみましょう。すわる姿勢、食感への慣れ、食欲、母乳やミルクの量、体重の増え、食べるときの気持ち。せきこみ、窒息しかける、痛がる、吐く、飲みこんだあとのゴロゴロ声、発疹、呼吸の症状は、気づいたらすぐ書きとめます。こうしたサインには、えずきや食欲の波とは違う対応が必要になるからです。
食べないときの工夫
- 疲れきっているときではなく、ぱっちり起きているときに離乳食を出しましょう。
- 慣れた食感に、小さな変化を1つだけ加えて出しましょう。
- 食べものに、赤ちゃんがさわれるようにしましょう。
- 「もうおしまい」のサインが出たら、落ち着いて終わりにしましょう。
試すときは、子どもがしっかり起きていて、まっすぐすわっているタイミングを選びましょう。変化は1回に1つ。はっきりした「もういらない」が出たら、そこで切り上げます。決めた量まで食べさせようとせず、次の食事やおやつは、いつもと同じ流れで出してあげてください。
よくある質問
食べさせるために、動画を見せて気をそらしてもいい?
気をそらすことに頼るより、食べものへの関心と、おなかがすいた、いっぱいのサインを育てるほうがいいでしょう。
同じ食べものを、何回くらい出せばいい?
新しい食べものには、プレッシャーなしで何度もふれる機会が必要なことがよくあります。
どんなときに、食べないことを心配したほうがいい?
長く続いている、体重や栄養に影響している、飲みこみ、痛み、発達の心配がともなっている、といったときです。
祖父母や保育園と、そろえておく
「食べないからテレビをつけて」「残さず食べさせて」と、まわりの大人の対応がばらばらだと、赤ちゃんは混乱します。家族や保育園とは「ぱっちり起きているときに出す」「慣れた食感に小さな変化を1つだけ」といった方針を共有しましょう。いつ食べるようになるかを約束するのではなく、大人がすることを決めておきます。どんなサインで食事をやめるか、どんな症状なら受診するか、年齢に合った応急手当を知っているのは誰かも決めておけば、子どものペースを大切にしながらも見守りがゆるみません。
1週間ふり返ってみる
1週間、いつもどおりの暮らしの中で食事の様子を見守ってみましょう。1皿ではなく、数回の食事とおやつ全体を見て、出した物、食感、空腹と満腹のサイン、心地よさ、見守り、それにせきこみ、窒息しかけた様子、発疹、吐く、痛がるといったことをメモします。量や声かけは、点数にしないでおきましょう。
ふり返りでは、その工夫で、より安全に食卓に参加できたか、少し自信がついたか、プレッシャーを増やさずに学ぶ機会が広がったかを考えましょう。役に立った工夫は続け、子どもの力をこえていた食感や流れは調整します。体重の増え、水分、飲みこみ、食べられる物の極端な少なさが気になるときは、栄養や食べることの専門家に相談しましょう。
安全と、子どもの尊厳を守る
どんな場面でも、見守りと食べものの形がいちばんの安全策です。今のかむ力、飲みこむ力に合わせ、のどにつまりやすいことで知られる食べものは出さないか工夫します。年齢に合った応急手当は、認定された講習で学んでおきましょう。窒息やひどいアレルギー反応が疑われたら、ネットで調べず、すぐに緊急の対応を。
うまくいかなくなる、よくある理由
- 子どもの様子より「あと一口食べたか」ばかり気にしてしまう。
- 「もういらない」とはっきり伝えているのに、遊びで気をそらして口に運ぶ。
- 食感を進めることを急いで、のどにつまりやすい物への工夫を忘れる。
- 栄養の専門家に相談せずに、食べものを除去する。
前進のしるし
よい変化は、たとえば、近くにある食べものを受け入れる、新しい食感を扱える、「おなかすいた」「もういい」を伝えられる、大人の手伝いが減る、食べる物がだんだん広がる、といった姿です。何週間かで見ていきながら、体重、水分、飲みこみの心配があればすぐに動きましょう。
専門家に相談したいとき
体重が増えない、脱水、続く痛み、何度もむせる、窒息しかける、飲みこんだあとのゴロゴロした声、アレルギーの疑い、食べられる物の急な減少、食事が成り立たないほどの苦痛。これらがあれば専門家に相談してください。息ができない、意識がおかしい、重いアレルギー反応のサインがあるときは、すぐに119番を。
覚えておきたいこと
大人の役割は、合った食べもの、安全な調理、見守り、いつもどおりの食事の機会を用意すること。食べるかどうか、どれだけ食べるかは、子どものサインが教えてくれます。体重の増え、水分、アレルギーの症状、痛み、飲みこみにくさは、完食や流行りの食べさせかたよりも、いつも優先されます。
ポイント: 食べてくれない時期は、安全で役に立つ次の一歩を1つ。それを無理なくくり返せる形にしておきましょう。
WHO, Complementary feeding guideline