前は食べていたのに、急に食べなくなったのはなぜ?

先週まで大好きだった卵焼きを、今日はひと口も食べない。前は喜んでいたバナナを、見ただけで押しのける。幼児の気まぐれな食べっぷりに、ふりまわされている保護者は多いでしょう。食べることは量だけの話ではなく、栄養、口の動き、感覚で学ぶこと、家庭の食文化、そして大人が安全な機会を用意し、子どもが空腹や満腹を伝える関係でできています。体の安全と食卓での信頼、その両方から考えましょう。

ひと言でいうと

幼児が前は食べていた物を急に食べなくなるのは、食欲が変わった、見た目がいつもと違う、自分で決めたい気持ちが育ってきた、病気で味や心地よさが変わった、といった理由のことがあります。一度食べられたことが消えたわけではありません。小さな子どもは、食べられる物を行ったり来たりさせることがよくあるのです。

実際にはどうするか

食べ慣れた物を少なくとも1つ添えて、その食べものを少しだけ、何も言わずに出し続けましょう。求められるたびに食事をまるごと取りかえたり、「ひと口食べたら別の物」と取引したりするのは避けます。便秘、口の中の痛み、最近の病気がないかも確かめましょう。食べられる物がどんどん減る、体重の増えが止まる、つらさや感覚のむずかしさで食事が成り立たない、といったときは助けを求めましょう。

はじめに見ておきたいこと

1回の食事で決めつけず、数回分を見てみましょう。どんな姿勢ですわっているか、どの食感なら食べられるか、食欲、母乳やミルクの量、体重の増えかた、食卓での表情。それから、むせる、窒息しかける、痛がる、吐く、声がゴロゴロする、発疹、息苦しさがあれば、そのまま記録します。これらは「慎重なだけ」「えずいただけ」「今日は食欲がないだけ」とは区別して対応すべきサインです。

毎日の食卓で

  • お皿に、食べ慣れた物を1つのせておきましょう。
  • 前は食べていた物を、少しだけ出しましょう。
  • できるときは、いっしょに食べましょう。
  • 子どもが「いらない」と言っても、ふつうの調子でいましょう。

ポイントは、子どもが目ざめていて、まっすぐすわれているときに試すこと。そして一度に変えるのは1つだけにすることです。「もういらない」がはっきりしたら、そこでおしまい。何口食べたかを目標にせず、次の食事やおやつはいつもの時間に出しましょう。そうすれば、子どもの反応も読みとりやすくなります。

よくある質問

野菜を食べなくなったのはなぜ?

好みは変わるものです。プレッシャーをかけずに、ふれる機会を続けましょう。

別に夕ごはんを作ったほうがいい?

毎回まったく別の食事を作るのではなく、家族の食事の中に、食べ慣れた物を少なくとも1つ入れておくとよいでしょう。

歯が生える時期や病気で、食欲が変わることはある?

はい。不快感や病気で、一時的に食欲が変わることがあります。

祖父母や保育園と、そろえておく

祖父母が心配して好きな物ばかり出してくれる、ということもあるでしょう。家族や保育園とは「お皿に食べ慣れた物を1つ」「前は食べていた物を少しだけ出す」という方針を共有しましょう。いつ食べるようになるかを約束するのではなく、大人がすることを決めておきます。どんなサインで食事をやめるか、どんな症状なら受診するか、年齢に合った応急手当を知っているのは誰かも話しておけば、見守りがゆるむことはありません。

1週間ふり返ってみる

1週間ほど、食事とおやつをまとめてふり返ってみましょう。見るのは1皿の結果ではなく流れです。どんな食べものを出したか、どの食感を扱えたか、空腹や満腹のサイン、心地よさ、大人の見守り、そしてせきこみ、窒息しかけた様子、発疹、嘔吐、痛み。食べた量や大人のひと言を、成績表のように記録する必要はありません。

見直しの目安は、完食ではありません。より安全に参加できるようになったか、ちょっとした自信が見えるか、無理なく学ぶ機会が増えたかです。効いた工夫は続け、むずかしすぎた食感や流れは調整しましょう。体重、水分、飲みこみ、食べられる物の極端な狭さが気がかりなら、専門家の評価を受けてください。

安全と、子どもの尊厳を守る

食事中は、大人がそばで目を離さないこと。食べものの形とかたさは、今のかむ力と飲みこむ力に合わせ、のどにつまりやすい食べものは手の届かないところへ。年齢に合った応急手当は、認定された講習で身につけておきましょう。窒息が疑われるとき、重いアレルギー反応が出たときは、検索している時間はありません。すぐに緊急の対応をしてください。

つまずきやすいところ

  • 子どもが出すサインより、食べた一口の数で考えてしまう。
  • はっきりした「もういらない」のサインのあとも、気をそらして食べさせる。
  • 窒息しやすい形を変えないまま、かたさだけ先に進めてしまう。
  • 栄養の専門家のアドバイスなしに、いくつもの食べものをやめてしまう。

前進のしるし

近くに置いた物を拒まなくなった、新しい食感を受け入れた、空腹や満腹を伝えるのが上手になった、手助けが少なくてすむようになった、食べる物が少しずつ増えた。こうした変化があれば前進です。1回の食事ではなく何週間かの流れで見守り、体重の増え、水分、飲みこみの心配にはすぐに対応しましょう。

専門家に相談したいとき

専門家に相談したいのは、体重が増えないとき、脱水のとき、痛みが続くとき、何度もせきこんだり窒息しかけたりするとき、飲みこんだあとに声がゴロゴロするとき、アレルギーが疑われるとき、食べられる物が急に減っていくとき、食事が成り立たないほどつらそうなときです。息ができない、倒れた、重いアレルギー反応が出たときは、迷わず119番に。

覚えておきたいこと

大人は、ふさわしい食べものと安全な調理、そばでの見守り、予想できる食事の時間を用意します。食べる量を決めるのは、子どものサインです。体重の増え、水分、アレルギーの症状、痛み、飲みこみにくさがあるなら、完食や流行りのやりかたよりそちらを優先しましょう。

ポイント: 急な食べむらでは、いちばん安全で役に立つ次の一歩を1つ選んで、毎日くり返せる形にしましょう。

WHO, Complementary feeding guideline

NHS, Your baby’s first solid foods

CDC, Infant and Toddler Nutrition