ペーストの離乳食とBLW(手づかみ中心の離乳)、どう選ぶ?
SNSで見かけるBLW(赤ちゃん主導の離乳、手づかみ中心の進めかた)。おかゆのペーストからはじめる日本の一般的な離乳食とくらべて、どちらがいいのか迷う人も多いでしょう。食べることは量だけでなく、栄養、口の動き、感覚で学ぶこと、家庭の食文化、そして大人が安全な機会を用意し、赤ちゃんが空腹や満腹を伝える関係でできています。どの方法でも、体の安全と食卓での信頼を守ることが土台です。
ひと言でいうと
ペーストもBLWも、方法のひとつで、どちらかの派に属さなければいけないものではありません。栄養のある食べものを出し、かたさを進め、赤ちゃんをまっすぐすわらせ、大人がおなかがすいた、いっぱいのサインにこたえていれば、どちらも赤ちゃんに合わせた食べさせかたになります。スプーンで食べさせる物と、つかめるかけらを組み合わせている家庭もたくさんあります。
実際にはどうするか
赤ちゃんの発達と、家庭の食文化に合った方法を選びましょう。スプーンなら、赤ちゃんの口もとに近づけて、自分から口を開けるのを待ちます。閉じた口に食べものをこすりつけるのはやめましょう。手づかみ食べなら、安全な形とかたさに調理します。どの呼び名の方法でも、鉄分をふくむ食材、アレルギーの起きやすい食べものの目安、窒息の予防が大切です。
はじめに見ておきたいこと
何回かの食事を通して、すわる姿勢、扱える食感、食欲、母乳やミルクの量、体重の増え、食事中の気持ちを見てみましょう。せきこみ、窒息しかけた様子、痛がる、吐く、ゴロゴロした声、発疹、呼吸の症状があれば、正確に書きとめます。こうしたサインには、ふつうの慎重さやえずき、食欲の波とは違う対応が必要です。
組み合わせて進めるなら
- 合っていれば、1回の食事で、スプーンで食べさせるやわらかい物と、自分で食べられる安全な物の両方を出しましょう。
- 赤ちゃんに、さわって探検させましょう。
- 無理に食べさせないようにしましょう。
- 食べる力の育ちに合わせて、かたさを変えていきましょう。
こうした手順をふむと、食卓はより安全に、子どもの反応も読みとりやすくなります。ぱっちり起きていて、まっすぐすわれているときに出し、変えるのは一度に1つだけ。はっきりした「もういらない」は尊重し、決めた量まで食べさせようとせず、次の食事やおやつはいつもどおりの時間に用意しましょう。
よくある質問
BLWをしなければいけないと、公的に決まっている?
いいえ。公的な目安が大切にしているのは、安全で十分な離乳食で、特定の名前のついた方法を求めているわけではありません。
ペーストと手づかみ食べを組み合わせてもいい?
はい。組み合わせて進めている家庭はたくさんあります。
窒息しにくいのは、どちらの方法?
どの方法でも、安全な調理、合ったかたさ、見守りが必要です。
祖父母や保育園と、そろえておく
「手づかみなんて危ない」「スプーンで食べさせすぎ」と、家族の間で意見が分かれることもあります。家族や保育園とは「スプーンのやわらかい物と、自分で食べられる安全な物の両方を出す」「さわって探検させる」といった方針を共有しましょう。どちらが正しいかではなく、大人がすることを決めておきます。どんなサインで食事をやめるか、どんな症状なら受診するか、年齢に合った応急手当を知っているのは誰かも話しておけば、見守りがゆるむことはありません。
1週間ふり返ってみる
ふだんどおりの1週間、1皿で判断せず、何回かの食事とおやつを通して様子を見てみましょう。出した食べものの種類、扱えた食感、おなかがすいた、もういらないのサイン、心地よさ、見守り、せきこみ、窒息しかけた様子、発疹、吐く、痛がるといったことをメモします。食べた量や大人の声かけを、点数のようにつけるのはやめましょう。
1週間たったら、問いかけてみましょう。前より安全に食卓に参加できたか、少しでも自信がついたか、プレッシャーを増やさずに学ぶ機会が広がったか。役に立った工夫は残し、子どもの力をこえていた食感や流れは見直します。体重の増え、水分、飲みこみ、食べられる物の極端な少なさの心配が残るなら、栄養や食べることの専門家にみてもらいましょう。
安全と、子どもの尊厳を守る
どんな食べさせかたでも、安全がいちばん大切です。そばでしっかり見守り、形とかたさを今のかむ力、飲みこむ力に合わせ、のどにつまりやすいことで知られる食べものは遠ざけましょう。年齢に合った応急手当は、認定された講習で学んでおきます。窒息が疑われるときや、重いアレルギー反応があるときは、ネットで調べるのではなく、すぐに緊急の対応をしてください。
つまずきやすいところ
- 食事の目標が、子どものサインではなく「あと一口」になってしまう。
- 満腹のサインを見過ごして、気をそらしながら食べさせる。
- のどにつまりやすい物を工夫しないまま、食感だけ進める。
- 医師や栄養の専門家に相談しないまま、食べものを除去する。
前進のしるし
うまくいっているしるしは、食べた量だけではありません。そばに置いた食べものを受け入れる、新しい食感をこなす、空腹と満腹のサインがはっきりする、ひとりでできることが増える、時間とともに食べる物の幅が広がる。1皿でなく何週間かで判断し、体重の増え、水分、飲みこみの心配には早めに対応しましょう。
専門家に相談したいとき
体重が増えない、脱水、続く痛み、何度もせきこむ、窒息しかける、飲みこんだあとにゴロゴロした声になる、アレルギーが疑われる、食べられる物が急に減っていく、食事が成り立たないほどつらそう、といったときは専門家に相談しましょう。息ができない、ぐったりして倒れる、重いアレルギー反応のサインがあるときは、すぐに119番を。
覚えておきたいこと
大人が決めるのは、何を、どう安全に用意し、いつ出して、どう見守るか。食べるかどうか、どのくらい食べるかは、子どもが決めます。そして体重の増え、水分、アレルギーの症状、痛み、飲みこみにくさは、お皿を空にすることや人気の食べさせかたより、いつでも先に考えるべきことです。
ポイント: 離乳食の進めかた選びは、いちばん安全で役に立つ次の一歩を選び、くり返せる形にしておきましょう。
WHO, Complementary feeding guideline