幼児の好き嫌い・偏食、どこまでがふつう?
白いごはん、パン、うどん。食べるのは決まった物ばかりで、野菜はお皿にのっているだけで泣きだす。2歳、3歳ごろの好き嫌いに頭をかかえる保護者は少なくありません。食べることは量だけの話ではなく、栄養、口の動き、感覚で学ぶこと、家庭の食文化、そして大人が安全な機会を用意し、子どもが空腹や満腹を伝える関係でできています。体の安全と食卓での信頼、その両方から見ていきましょう。
ひと言でいうと
幼児期の好き嫌いはよくあることです。成長がゆるやかになり、知らない食べものへの警戒心が強くなる時期だからです。大切なのは、食べる物は限られていても栄養的にはなんとかなっている時期なのか、それとも成長、健康、発達、家族の暮らしに影響するほどの制限なのかを見分けることです。
実際にはどうするか
食事とおやつの時間を決め、子どもが食べられる物を1つ入れておきましょう。別メニューのごちそうを用意する必要はありません。知らない食べものは、プレッシャーなしで探検させてあげます。何度もふれる必要があるかもしれません。取引したり、新しい食べものを全部かくしたり、食べた量についてコメントしたりするのは避けましょう。食べられる物がどんどん減る、栄養の不足、痛み、飲みこみの心配があるときは、専門家にみてもらいましょう。
はじめに見ておきたいこと
食卓での様子を、何回分かまとめて見てみましょう。すわる姿勢、食感への慣れ、食欲、母乳やミルクの量、体重の増え、食べるときの気持ち。せきこみ、窒息しかける、痛がる、吐く、飲みこんだあとのゴロゴロ声、発疹、呼吸の症状は、気づいたらすぐ書きとめます。こうしたサインには、えずきや食欲の波とは違う対応が必要になるからです。
毎日の食卓でできること
- 食べられる物を1つと、あまりなじみのない物を1つ、食卓に並べましょう。
- 量は少なめにしましょう。
- 説得せずに、大人がその食べものを食べてみせましょう。
- また別の日に、出してみましょう。
試すときは、子どもがしっかり起きていて、まっすぐすわっているタイミングを選びましょう。変化は1回に1つ。はっきりした「もういらない」が出たら、そこで切り上げます。決めた量まで食べさせようとせず、次の食事やおやつは、いつもと同じ流れで出してあげてください。
よくある質問
新しい食べものは、何回くらい出せばいい?
CDCは、試してみる気になるまでに、何度もふれる必要がある子もいるとしています。
野菜を料理にかくして食べさせてもいい?
かくした野菜で栄養をおぎなうことはできますが、目に見える形でプレッシャーなくふれるほうが、その食べもの自体を知る助けになります。
好き嫌いは、いつも一時的なもの?
よくなることが多いですが、制限が大きいときは評価を受けましょう。
祖父母や保育園と、そろえておく
「全部食べたらおやつね」と言う大人もいれば、好きな物だけ出す大人もいる。対応がばらばらだと、子どもは混乱します。家族や保育園とは「食べられる物を1つと、なじみのない物を1つ」「量は少なめに」という方針をそろえましょう。いつ食べられるようになるかを約束するのではなく、大人がすることを決めておきます。どんなサインで食事をやめるか、どんな症状なら受診するか、年齢に合った応急手当を知っているのは誰かも話しておけば、見守りもゆるみません。
1週間ふり返ってみる
1週間、いつもどおりの暮らしの中で食事の様子を見守ってみましょう。1皿ではなく、数回の食事とおやつ全体を見て、出した物、食感、空腹と満腹のサイン、心地よさ、見守り、それにせきこみ、窒息しかけた様子、発疹、吐く、痛がるといったことをメモします。量や声かけは、点数にしないでおきましょう。
ふり返りでは、その工夫で、より安全に食卓に参加できたか、少し自信がついたか、プレッシャーを増やさずに学ぶ機会が広がったかを考えましょう。役に立った工夫は続け、子どもの力をこえていた食感や流れは調整します。体重の増え、水分、飲みこみ、食べられる物の極端な少なさが気になるときは、栄養や食べることの専門家に相談しましょう。
安全と、子どもの尊厳を守る
どんな場面でも、見守りと食べものの形がいちばんの安全策です。今のかむ力、飲みこむ力に合わせ、のどにつまりやすいことで知られる食べものは出さないか工夫します。年齢に合った応急手当は、認定された講習で学んでおきましょう。窒息やひどいアレルギー反応が疑われたら、ネットで調べず、すぐに緊急の対応を。
つまずきやすいところ
- 子どもの様子より「あと一口食べたか」ばかり気にしてしまう。
- 「もういらない」とはっきり伝えているのに、遊びで気をそらして口に運ぶ。
- 食感を進めることを急いで、のどにつまりやすい物への工夫を忘れる。
- 栄養の専門家に相談せずに、食べものを除去する。
前進のしるし
よい変化は、たとえば、近くにある食べものを受け入れる、新しい食感を扱える、「おなかすいた」「もういい」を伝えられる、大人の手伝いが減る、食べる物がだんだん広がる、といった姿です。何週間かで見ていきながら、体重、水分、飲みこみの心配があればすぐに動きましょう。
専門家に相談したいとき
体重が増えない、脱水、続く痛み、何度もむせる、窒息しかける、飲みこんだあとのゴロゴロした声、アレルギーの疑い、食べられる物の急な減少、食事が成り立たないほどの苦痛。これらがあれば専門家に相談してください。息ができない、意識がおかしい、重いアレルギー反応のサインがあるときは、すぐに119番を。
覚えておきたいこと
大人の役割は、合った食べもの、安全な調理、見守り、いつもどおりの食事の機会を用意すること。食べるかどうか、どれだけ食べるかは、子どものサインが教えてくれます。体重の増え、水分、アレルギーの症状、痛み、飲みこみにくさは、完食や流行りの食べさせかたよりも、いつも優先されます。
ポイント: 好き嫌いの時期は、安全で役に立つ次の一歩を1つ。それを無理なくくり返せる形にしておきましょう。
WHO, Complementary feeding guideline