好き嫌いのある幼児に、新しい食べものを出すには
初めてのブロッコリーを見た瞬間に、「いらない!」。ひと口も食べずにお皿を押し返されると、がっかりしてしまいますよね。食べることは量だけでなく、栄養、口の動き、感覚で学ぶこと、家庭の食文化、そして大人が安全な機会を用意し、子どもが空腹や満腹を伝える関係でできています。体の安全と食卓での信頼。その両方を守る出しかたを考えてみましょう。
ひと言でいうと
新しい食べものは、味、におい、食感、見た目が、すぐに食べるには知らないことだらけなのかもしれません。慣れていく道のりは、テーブルに置かれていてもいやがらない、自分で取り分ける、さわる、においをかぐ、といったところからはじまることがあります。飲みこんだ口の数だけを数えていると、こうした小さな一歩を見落としてしまいます。
実際にはどうするか
食べ慣れた物のとなりに、ほんの少しだけ置き、ことばかけはふつうのトーンで。大人が食べるところを見せ、変えるのは一度に1つだけ。ごほうびで釣る勝負にはせず、くり返し出しましょう。怖がるようなら、「ひと口だけ」を決まりにしないでください。ひどくつらそう、発達の段階をこえたえずき、体重が増えない、食べられる物がとても少ない、といったときは、専門家の支援を受けましょう。
はじめに見ておきたいこと
1回の食事で決めつけず、数回分を見てみましょう。どんな姿勢ですわっているか、どの食感なら食べられるか、食欲、母乳やミルクの量、体重の増えかた、食卓での表情。それから、むせる、窒息しかける、痛がる、吐く、声がゴロゴロする、発疹、息苦しさがあれば、そのまま記録します。これらは「慎重なだけ」「えずいただけ」「今日は食欲がないだけ」とは区別して対応すべきサインです。
新しい食べものの出しかた
- 豆つぶくらいの、ほんの少しの量からはじめましょう。
- 「体にいいよ」ではなく、色や形など、ありのままを話しましょう。
- 子どもが自分でさわったり、いじったりできるようにしましょう。
- また別の日に、出してみましょう。
ポイントは、子どもが目ざめていて、まっすぐすわれているときに試すこと。そして一度に変えるのは1つだけにすることです。「もういらない」がはっきりしたら、そこでおしまい。何口食べたかを目標にせず、次の食事やおやつはいつもの時間に出しましょう。そうすれば、子どもの反応も読みとりやすくなります。
よくある質問
デザートをごほうびにして、食べさせてもいい?
ごほうびにすると、食べてほしい物が「がまんしてこなすもの」に、デザートが「もっと価値のあるもの」に見えてしまうことがあります。
新しい食べものに、さわりもしないときは?
落ち着いて、少しずつふれる機会をつくりましょう。さわる、においをかぐことも一歩です。
どのくらいの間隔で出せばいい?
時間をかけて何度もふれることが助けになります。毎日無理に試す必要はありません。
祖父母や保育園と、そろえておく
保育園の給食では食べるのに家では食べない、ということもよくあります。先生や祖父母とは「豆つぶくらいの量から」「体にいいよ、ではなくありのままを話す」といった出しかたを共有しましょう。いつ食べられるようになるかを約束するのではなく、大人がすることを決めておきます。どんなサインで食事をやめるか、どんな症状なら受診するか、年齢に合った応急手当を知っているのは誰かも話しておけば、子どものペースを大切にしながら見守りもゆるみません。
1週間ふり返ってみる
1週間ほど、食事とおやつをまとめてふり返ってみましょう。見るのは1皿の結果ではなく流れです。どんな食べものを出したか、どの食感を扱えたか、空腹や満腹のサイン、心地よさ、大人の見守り、そしてせきこみ、窒息しかけた様子、発疹、嘔吐、痛み。食べた量や大人のひと言を、成績表のように記録する必要はありません。
見直しの目安は、完食ではありません。より安全に参加できるようになったか、ちょっとした自信が見えるか、無理なく学ぶ機会が増えたかです。効いた工夫は続け、むずかしすぎた食感や流れは調整しましょう。体重、水分、飲みこみ、食べられる物の極端な狭さが気がかりなら、専門家の評価を受けてください。
安全と、子どもの尊厳を守る
食事中は、大人がそばで目を離さないこと。食べものの形とかたさは、今のかむ力と飲みこむ力に合わせ、のどにつまりやすい食べものは手の届かないところへ。年齢に合った応急手当は、認定された講習で身につけておきましょう。窒息が疑われるとき、重いアレルギー反応が出たときは、検索している時間はありません。すぐに緊急の対応をしてください。
つまずきやすいところ
- 子どもが出すサインより、食べた一口の数で考えてしまう。
- はっきりした「もういらない」のサインのあとも、気をそらして食べさせる。
- 窒息しやすい形を変えないまま、かたさだけ先に進めてしまう。
- 栄養の専門家のアドバイスなしに、いくつもの食べものをやめてしまう。
前進のしるし
近くに置いた物を拒まなくなった、新しい食感を受け入れた、空腹や満腹を伝えるのが上手になった、手助けが少なくてすむようになった、食べる物が少しずつ増えた。こうした変化があれば前進です。1回の食事ではなく何週間かの流れで見守り、体重の増え、水分、飲みこみの心配にはすぐに対応しましょう。
専門家に相談したいとき
専門家に相談したいのは、体重が増えないとき、脱水のとき、痛みが続くとき、何度もせきこんだり窒息しかけたりするとき、飲みこんだあとに声がゴロゴロするとき、アレルギーが疑われるとき、食べられる物が急に減っていくとき、食事が成り立たないほどつらそうなときです。息ができない、倒れた、重いアレルギー反応が出たときは、迷わず119番に。
覚えておきたいこと
大人は、ふさわしい食べものと安全な調理、そばでの見守り、予想できる食事の時間を用意します。食べる量を決めるのは、子どものサインです。体重の増え、水分、アレルギーの症状、痛み、飲みこみにくさがあるなら、完食や流行りのやりかたよりそちらを優先しましょう。
ポイント: 新しい食べものとの出会いでは、いちばん安全で役に立つ次の一歩を1つ選んで、毎日くり返せる形にしましょう。
WHO, Complementary feeding guideline