幼い子の完璧主義、プレッシャーをやわらげるには
はじめは、いいことのように見えるかもしれません。ていねいで、きちんとしていて、がんばりたい子。でも、少しゆがんだ字一つで大泣きしたり、完璧にいかないかもしれないからとゲームを投げだしたりする。幼い子の完璧主義は、本当は高い目標の話ではありません。完璧でなければ失敗で、失敗はたえられない、というこわさの話です。そのこわさがわかると、軽くする手助けができます。
こんな姿に表れる
完璧主義は早くから、いろいろな形で表れます。同じ絵を何度もかきなおして、満足できない。すぐに上手にできないことはやろうとしない。小さなまちがいでひどく取りみだす、作ったものを破る、「ちゃんと」できたかいつも確かめたがる。「ぼくってだめ」「いつもまちがえる」と、自分にきびしい子もいます。
高い達成力とまちがえやすいのですが、二つは違います。健やかにがんばる子は、挑戦を楽しみ、まちがえても乗りこえられます。完璧主義の子は、不安と、届かないことへのおそれに動かされていて、学ぶ楽しさが静かに抜けていってしまいます。
どこから来るのか
幼い子の完璧主義には、いくつかの糸があります。気質もその一つで、生まれつき繊細で自分にきびしい子もいます。まわりのメッセージも大切です。「かしこいね」「きれいだね」「いちばんだね」とたくさんほめられる子は、愛情や認めてもらえることは、完璧な結果しだいだと信じるようになることがあります。
きょうだい、クラスの子、ネットの理想像とのくらべっこから育つこともあります。そして子どもは、大人が自分にかけている基準を吸収します。親が自分のまちがいにとてもきびしいと、それを見ている子も、自分のまちがいにきびしくなることがよくあります。
家のプレッシャーをゆるめる
いちばん役に立つ切りかえは、家を、「まあまあ」が本当に歓迎され、まちがいがふつうのことである場所にすることです。
- 結果ではなく、がんばり、勇気、工夫をほめる。「かしこいね」ではなく「あきらめなかったね」。
- 親がまちがえて、明るく受けながす姿を見せる。
- 子どもが応えなければと感じてしまう、「かしこい子」「できる子」「きちんとした子」といったレッテルをさける。
- プレッシャーに気づいて、やさしく言葉にする。「完璧じゃなきゃって思ってるみたいだね。ほんとうに、そうじゃなくていいんだよ」。
家のふだんのBGMのような小さな変化が、時間をかけて、とてもきつい心の中のルールをほどいていきます。
まちがいを、役に立つものに
完璧主義に苦しむ子は、まちがいはただ大目に見られるだけでなく、価値のあるものだと、何度も聞く必要があります。まちがえると脳が育つ、という話をしましょう。夕ごはんのときに「今日のいちばんの失敗」を発表し合うのもおすすめです。親もふくめてみんなが、まちがえたことと、そこから学んだことを話します。まちがいがふつうのことになり、恥ずかしさが抜けていきます。
子どもがまちがえたら、反応は軽く、あたたかく。落ち着いた「大丈夫、もう一回やってみよう」は、リラックスしなさいというどんなお説教より、多くを教えます。
過程と楽しさを大切に
完璧主義の子は、遊びはただ楽しんでいいものだということを忘れがちです。わざと散らかる、答えのない遊びを選びましょう。空き箱工作、自由なお絵かき、設計図なしの積み木。結果ではなく、ためしてみたことをほめます。「あの色とあの色をまぜてみたの、いいね」は、「きれいだね」より大きな意味があります。
勝つことや仕上げることより、参加することに目を向けて、雰囲気をつくりましょう。うまくやらなければというプレッシャーが消えると、多くの子が好奇心とやってみる気持ちを取りもどします。
自分にやさしく話しかけられるように
完璧主義の子は、心の中の声がきびしいことが多いものです。もっとやさしい声を育てる手伝いができます。「ぼく、これほんとにへた」と聞こえたら、やさしい言いかえを差しだしましょう。「まだ練習中なんだよ。練習中って、まさにそういう感じがするものなの」。時間とともに、親の落ち着いた励ましのことばが、子どもが心の中に持ちあるく声になっていきます。
かんたんな合いことばを教えるのも役に立ちます。「かんぺきじゃなくていい。やってみればいい」。リラックスしているときにいっしょに練習しておけば、もどかしさがわいてきたときに使えます。
支えを求めたいとき
うまくやりたいと少し慎重になるのはふつうで、軽い完璧主義は、支えのある家庭でやわらぐことがよくあります。完璧主義が強く、続いている、参加したり学んだりするのをさまたげている、強い不安、気分の落ちこみ、睡眠の問題、体の不調をともなう、自分へのきびしさがひどい。こうしたときは、かかりつけ医、保健師、園や学校に相談してみましょう。よくある相談で、安心や役に立つ助言につながります。
視野を広く
子どもの基準を下げたり、ていねいさをにぶらせたりしようとしているのではありません。繊細で力のある子が、結果にかかわらず愛され、価値があること、まちがいは人間であることの一部にすぎないことを学ぶ手助けをしているのです。幼い子の完璧主義は、まわりのメッセージが「完璧に」から「やってみよう、楽しもう」に変わると、たいていやわらいでいきます。がんばりをほめ、まちがいを笑いとばし、「まあまあ」を歓迎するたびに、子どもが背負う必要のなかった重い荷物をおろす手助けをしているのです。
ポイント: 完璧主義は高い目標ではなく不安です。結果よりがんばりをほめ、まちがいをふつうのことにし、どんな結果でも愛していると見せて、やわらげていきましょう。
NHS, Anxiety disorders in children
American Academy of Pediatrics, HealthyChildren.org: Emotional Wellness