子どもに怒鳴ってしまったあとに、親ができること

自分の怒鳴り声が聞こえて、子どものびくっとした顔が見えて、ことばが終わるより先に罪悪感がおそってくる。ほとんどの親が経験していることです。疲れ、ストレス、そしてあらゆるボタンを押してくる小さな人に、限界をこえさせられることもあります。怒鳴ってしまったあとにどうすればいいか考えているなら、いちばん知っておいてほしいのはこのことです。カッとなった一瞬が、親の愛情を帳消しにすることも、子どもを傷つけてしまうこともありません。とくに、上手にやりなおせば。

まず、自分にやさしく

怒鳴ったあとの罪悪感は、大切に思っているしるしです。でも、恥ずかしさにおぼれても誰の助けにもならず、子どもの助けにはなおさらなりません。子育てはほんとうに大変で、いつも落ち着いていられる人はいません。ひと息ついて、思いだしてください。愛情のある関係のなかでの一度の大声が、子ども時代を形づくるわけではありません。ずっと大切なのは、次に何をするか、そして子どもが受けとる、全体としてのあたたかさのパターンです。

自分を責めつづけると、さらにすりへって、またカッとなりやすくなります。友だちにかけるような思いやりを少し自分にかけるほうが、実際に落ち着いた子育てをしやすくしてくれます。

つながりなおす前に、まず落ち着く

子どもとの関係をやりなおす前に、まず自分の体を落ち着かせましょう。まだ熱くなっているうちにつぐなおうとしても、たいていうまくいきません。ゆっくり何回か息をする、水を一杯飲む、子どもが安全なら少しその場を離れる。落ち着いてきたと感じてはじめて、あたたかくつながりなおす準備ができます。怒鳴ったあとにすることは、自分を落ち着かせることから始まります。子どもがまた安心するのに必要なのは、落ち着いた親だからです。

子どもとやりなおす

いちばん大切なのは、やりなおしです。ぶつかったあとに戻ってきてつながりなおすことは、親ができるいちばん力強いことの一つで、子どもにかけがえのないことを教えます。関係はつなぎなおせること、そしてうまくいかないときも親の愛情は変わらないこと。

よいやりなおしは、シンプルで正直です。子どもの目の高さまでかがんで、あたたかく話しましょう。

  • 起きたことを認める。「大きな声で怒鳴っちゃったね。うるさくて、ちょっとこわかったよね」。
  • 言いわけせずに、責任をもつ。「わたしがカッとなったのは、あなたのせいじゃないよ」。
  • 愛情を伝えて安心させる。「大好きだよ。ずっとね」。
  • 役に立つなら、よりよいやりかたを言葉にする。「次に怒りそうになったら、まず大きく息をするね」。

長い話はいりません。短く心からのあやまりと、子どもが望むならだっこで、十分です。

あやまっても、親の立場は弱くならない

あやまると権威が弱まる、弱く見える、と心配する親もいます。実際には、心からのあやまりは、子どもに学んでほしいふるまいそのもののお手本です。まちがいを自分のものとして認め、つぐない、相手を尊重すること。まちがえたときにあやまる親の子は、誰でもまちがえること、ごめんねと言うのは勇気がいること、そして自分は尊重される価値があることを学びます。親の立場を弱めるどころか、信頼を強めてくれます。

ただし、あやまりはすっきりと。「怒鳴ってごめんね、でもあなたが言うことを聞かないから」と責任をつけたすのはやめましょう。それは本当のあやまりではありません。自分の部分はまるごと認め、子どものふるまいについては、まだ必要なら、あとで落ち着いて別に話しましょう。

その瞬間から学ぶ

落ち着いたら、自分を罰するためではなく、理解するために、やさしくふり返ってみる価値があります。何が限界をこえさせたのか。怒鳴ってしまうのは、目の前のきっかけより、その下の重さ、つまり疲れ、空腹、ストレス、いっぱいいっぱいな気持ち、支えのなさと関係していることがよくあります。あごに力が入る、声が大きくなる、がまんがすりきれる、といった自分の警告サインに気づければ、次はもっと早く気づけます。

実際の予防も役に立ちます。

  • 自分の早めのサインに気づき、限界をこえる前にひと息おく。
  • 子どもが安全なら、数秒その場を離れるなど、逃げ道を用意しておく。
  • その下の重さに手当てをする。睡眠や食事を守り、できるところで支えを得る。
  • 戦う場面を選び、年齢に合った期待にして、プレッシャーを下げる。

少しずつ、怒鳴る回数を減らす

怒鳴る回数を減らそうとするのは、すてきな目標ですが、目指すのは完璧ではありません。これからもときにはカッとなるでしょうし、それが人間です。少し早く気づけたり、少し上手にやりなおせたりするたびに、前に進んでいます。自分を知り、自分を大切にしていくうちに、怒鳴ることはたいてい、少なく、弱くなっていきます。子どもに根気よくしようと学んでいるのと同じように、自分にも根気よく。

支えを求めたいとき

ストレスのなかでときどき怒鳴ってしまうのはとてもよくあることで、愛情のある家庭では子どもを傷つけません。怒鳴ることがとても多く、やめられない、自分の怒りがこわい、子どもを傷つけてしまいそうで心配、気分の落ちこみや不安、いっぱいいっぱいな気持ちで、毎日の子育てが手に負えないと感じる。こうしたときは、かかりつけ医や保健師に相談しましょう。助けを求めるのは、強く、思いやりのあることで、支えは本当に役立ちます。もし子どもを傷つけてしまいそうになったら、子どもの安全のためにその場を離れ、すぐに助けを求めてください。

いちばん伝えたいこと

怒鳴ってしまったから、だめな親なのではありません。人間らしい親なのです。子どもにいちばん必要なのは、一度もつまずかない親ではなく、あたたかさをもって戻ってきて、その瞬間をやりなおし、変わらず愛しつづける親です。自分を落ち着かせ、つながりなおし、正直にあやまり、次のために学ぶ。怒鳴ってしまったあとにそうすれば、つらい瞬間が、愛情とやりなおしのレッスンに変わります。

ポイント: 一度の大声で、子育てが決まるわけではありません。自分を落ち着かせ、短く正直なあやまりでつながりなおし、愛していると伝えて安心させ、それから何が限界をこえさせたのかを、やさしくふり返りましょう。

NHS, Coping with crying and how to look after yourself

American Academy of Pediatrics, HealthyChildren.org: Emotional Wellness