下の子の誕生、引っ越し、入園。変化に子どもがなじむために

下の子が生まれる。引っ越しをする。保育園が始まる、大好きだった先生がやめてしまう。慣れたものに安心の多くをあずけている小さな子にとって、変化は、大人が思う以上に心をゆさぶることがあります。変化に子どもがなじむのを助けるのは、ぐらつきを一つ残らず防ぐことではなく、安心したまま変化を通りぬけるための、どっしりした支えと準備を渡すことです。

小さな子にとって、変化がむずかしい理由

小さな子は、予測できることのなかで、すくすく育ちます。次に何が起きるかわかっていて、大切な人や物が変わらずそこにあること。それが、世界を安全だと感じる大きな部分です。変化はそれをゆさぶります。そして小さな子は、自分の暮らしをほとんど自分で決められず、時間の感覚もまだぼんやりしているので、大人には小さく見える変化も、大きく、わけのわからないものに感じられることがあります。

その負担は、遠回しな形で表れることがあります。甘えがふえる、眠りが乱れる、泣く、かんしゃく、トイレの失敗、もっと小さかったころのふるまいに戻る。どれも気持ちがぐらついているときのふつうの反応で、いたずらではなく、子どもが慣れるにつれてたいてい落ち着いていきます。悪いふるまいではなくストレスのサインとして読めば、根気よくこたえられます。

前もって準備する

できるときは、来る変化を年齢に合わせて前もって伝えましょう。幼児にはその少し前にかんたんな予告で十分で、年中、年長くらいの子なら、もう少し早めでも受けとめられます。何が起きるかを、はっきり、正直に、安心できることばで説明します。「何週間かしたら、新しいおうちに住むよ。ベッドもおもちゃも全部いっしょに行くし、家族みんないっしょだよ」。

下の子の誕生、入園、引っ越しなど、その変化をテーマにした絵本は、すばらしい準備になります。おはなしを通して、安全に変化を探検できるからです。何度か話し合い、質問を歓迎すれば、なじみのないことが、やってくる前になじみのあることに変わっていきます。

変わらないものを残す

変化のなかで、変わらない「いかり」はとても大きな安心になります。毎日の大事な流れ、とくに食事や寝る前の儀式のような、一日の始まりと終わりの心地よい区切りは守るようにしましょう。子どもの世界の多くが動いているとき、いつもの寝る前の絵本や、同じお気に入りの毛布は、ことばなしに、変わらない安全なものもあると伝えてくれます。

大きな変化が来るなら、できるだけいくつもの変化を重ねないようにしましょう。引っ越し、入園、お昼寝の卒業をいっぺんにするのは、小さな人には大変です。できるときは変化の時期をずらして、一つずつ慣れる余裕をあげましょう。

気持ちを受けとめる

変化は気持ちをかきまぜます。子どもには、自分の気持ちはあっていいものだと知る必要があります。子どもが感じていそうなことに名前をつけ、受けとめましょう。「赤ちゃんが来て、おうちが大きく変わったね。わくわくするときもあれば、ちょっと大変なときもあるかもしれない。どっちも大丈夫だよ」。まざった気持ちや、つらい気持ちもふつうなんだと伝えると、心の中のざわざわが少しわかるようになります。

「大丈夫だよ」で心配をはらいのけるのはやめましょう。聞いて、受けとめて、安心させる。わかってもらえたと感じる子は、心配をはねつけられたと感じる子より、ずっと落ち着きやすいのです。

少し自分で決められるように

自分では何もできないと感じると、変化はもっとつらくなります。変化のなかに、小さくて扱える選択肢を渡しましょう。新しい部屋のカーテンの色を選ぶ、引っ越しの特別な箱をつめる、保育園に持っていくおもちゃを選ぶ。赤ちゃんへのプレゼントを選ぶ、荷づくりを手伝う、新しい担任の先生に会う、など準備に加わってもらうと、乗客から参加者に変わり、不安がやわらぎます。

選択肢は本物で、でも限られたものに。選ぶものが多すぎると、小さな子は迷ってしまいます。「保育園のコップ、これとこれ、どっちにする?」くらいのシンプルさで、プレッシャーなしに、自分で決めた満足感が得られます。

慣れるまで、根気よく

なじむには時間がかかり、しばらくは、いつもより多くのなぐさめ、ぬくもり、安心が必要かもしれません。赤ちゃんがえりやぐらつきはあるものと思い、いらだちではなく、あたたかさでこたえましょう。いつもより多めのだっこ、少し多めの根気、どっしりした存在が、子どもが足場を見つけるあいだ、支えられていると感じさせてくれます。

親自身のことも大切にしてください。変化は親にとってもストレスになることが多く、子どもは親の緊張をすぐに感じとります。親がそこそこ落ち着いて安心させていられると、乗りこえる見本になり、結局はすべて大丈夫なんだという感覚を子どもに渡せます。

もっと支えが必要なとき

変化のまわりで動揺するのはまったくふつうで、たいてい何週間かでやわらぎます。つらさがひどく、かなり時間がたっても落ち着くきざしがない、食事、睡眠、遊び、発達に大きく影響している、ずっと悲しそう、こわがっている、引きこもっている、あるいは死別や家族の別れのような大きな喪失をともなう変化である。こうしたときは、保健師やかかりつけ医、保育園に相談してみましょう。支えはありますし、それを求めるのは思いやりのある一歩です。

大きな視点で

子どもをすべての変化から守ることはできませんし、そうすべきでもありません。変化を乗りこえることを学ぶのは、育つことと、立ちなおる力をつけることの一部だからです。親にできるのは、前もって準備し、大事な流れを変えずに守り、気持ちを受けとめ、たっぷり安心させて、変化になじむのを助けることです。その支えがあれば、多くの子は変化を通りぬけ、前より少し柔軟で、自信のある子になっていきます。

ポイント: 前もって準備し、いくつかのなじみの流れを「いかり」として守り、気持ちを受けとめ、いつもより多めに安心させれば、変化はこわいものではなく、扱えるものになります。

NHS, Children's mental health

American Academy of Pediatrics, HealthyChildren.org: Building Resilience