小さな子が同じ絵本を何度もせがむ理由

全部のことばを覚えている。ねていても暗唱できる。それなのに、小さな声がまた言います。「もう一回」。小さな子が同じおはなしを何度もせがむのは、大人の根気をためすためだけのように感じるかもしれません。でも元気を出してください。くり返しは、小さな子が本でできる、いちばん役に立つことのひとつで、そこにはちゃんとした理由があります。

くり返しは、小さな子の学び方

小さな子の脳は驚くほどの速さでつながりをつくっていて、くり返しが、そのつながりを強く、たしかなものにします。なじみのおはなしを聞くたび、子どもはただ時間をすごしているのではありません。新しいところに気づき、知っていることを確かめ、ことばと絵のごちゃまぜを、わかって予想できるものに変えているのです。

新しいことや自分ではどうにもできないことだらけの世界で、予想できることは小さな子にとって深い満足です。くまが次に何と言うか、ページをめくるとどの動物が出てくるかをちゃんと知っていることが、ほっとする「できる」感覚をくれます。同じおはなしを何度もせがむとき、子どもはたいてい、その「知ってる」という気持ちに手をのばしているのです。

くり返しが静かに教えていること

何度も読む大好きな1冊は、思いのほかたくさんのことを教えてくれます。

  • 語彙。同じ場面でことばを何度も聞くと、定着しやすくなります。
  • おはなしの形。おはなしには、はじまりとなかとおわりがあるという感覚。
  • 予想。次に来るものを先回りすることを学びます。
  • はじめての読むふるまい。覚えていることばで、大人に本を「読んでくれる」とき。

その覚えて読むことは、大切な一歩です。ページをめくって文を暗唱する小さな子は、本には決まったおはなしがのっていること、文字に意味があること、自分が語り手になれることをわかっていると見せています。小さなまちがいを急いで直さず、主役でいることを楽しませてあげましょう。

実際にはどうするか

できるときは、もう一回に「いいよ」と言いましょう。ソファの裏に本をかくしたくなりますし、たまのひと休みもかまいませんが、せがまれるのは本がちゃんと働いているしるしです。毎回新鮮に驚きながら読む必要はありません。小さな子は大人の演技を採点しているのではなく、なじみのリズムと大人がいっしょにいることがほしいのです。

大人の興味を保つには、小さなことを変えましょう。1回はおかしな声で読む、韻をふむことばの最後で止まって子どもにうめてもらう、もう100回見た絵について新しい質問をする。こうした小さな変化が、大人にとっても時間を生き生きさせ、子どもをそっとのばします。

本棚をやさしく広げる

1冊が大好きでも、ほかの本をみんな拒んでいるわけではありません。お気に入りを大切にしながら、新しいおはなしを出すことはできます。大好きな本を先に読み、まだその気分のうちに「もう1冊、新しいのね」とさしだしてみましょう。同じ作者、似た動物、同じほっとする寝る前のテーマなど、お気に入りと共通点のある新しい本を選ぶと入りやすくなります。

でも、変化を押しつける必要はありません。今夜も、明日も、来週も同じおはなしを聞きたい子は、行きづまっていません。この強い時期は過ぎていき、そこで深めたなじみこそが、のちに新しい、長いおはなしを楽しむ助けになります。

お気に入りが、安心のもとでもあるとき

ある本が、とくに寝る前、下の子の誕生、入園のような変化のときに、決まった流れや安心と結びつくことがあります。そんなときくり返しせがむのは、学びの仕事だけでなく、気持ちの仕事もしているのです。その習慣を変えずに続けることが、子どもの安心につながります。本がぼろぼろになってきたら、予備をもう1冊用意しておく価値があります。

よくあるつまずき

いちばんの壁は大人のたいくつで、それはまったく無理もないことです。くり返しを、たいくつではなく役に立つものと見なおすと助けになります。分担するのも。もうひとりの親、祖父母、上のきょうだいが交代すれば、子どもはなじみのおはなしをちがう声で聞くのを楽しむことがよくあります。

くり返しが子どもの成長をじゃましているのでは、という心配もありますが、本当はその逆です。くり返し読むことが、自信をもって読む子を育てる力そのものを育てます。大好きな1冊が学びをおしのけるという根拠はなく、むしろ学びに栄養をあげています。

相談したほうがいいとき

同じおはなしを聞きたがるのは、まったく典型的で健やかなことです。それとは別に、毎日のかんたんな指示がわかっていない、2歳ごろになっても月ごとに新しいことばが増えていかない、たとえばとても大きな音でないとだめ、名前を呼んでも反応しないなど、おはなしがはっきり聞こえていないように見える、という場合は、地域の保健師さんやかかりつけの小児科医に話してみましょう。これらは聞こえとことばを確かめるための一般的なきっかけで、本の習慣そのものについての心配ではありません。

覚えておきたいこと

小さな子が同じおはなしを何度もせがむとき、くり返しで学び、なじみに安心を求め、読み手になる練習をしています。できるかぎり「いいよ」と言い、小さな変化で軽く保ち、大切な1冊といっしょに新しい本もさしだしましょう。この時期はいいしるしで、ずっとは続きません。今夜は、ずっと続きそうに感じられたとしても。

ポイント: くり返し読むことは、語彙、記憶、自信を育てます。お気に入りを歓迎し、やさしく変化を加え、この時期はじゃまではなく助けになっていると信じましょう。

NHS, Help your baby learn to talk

UNICEF, Babies and books: reading with your child