よその子とくらべずに、幼児の発達を見守るには
幼児どうしをくらべたくなるのは、その証拠が児童館でとなりに立っているように見えるからです。一人は文章で話し、もう一人は自信たっぷりによじのぼり、三人めは親のそばから離れない。でもこうしたひとコマには、気質、経験の機会、健康、ふれていることば、その子がほかの場所でしていることが、すべてぬけています。くらべずに発達を見守るとは、その子自身の前進に目を向けながら、気になることがあれば、信頼できる発達の目安と専門家の助言も使うことです。
くらべない見守りに助けてほしいこと
くらべない見守りは、順位づけの代わりに、新しい挑戦、自分でできること、柔軟さ、参加のしかたについての具体的な問いを、親が持てるようにしてくれます。ねらいは情報をふやすことではありません。わかっていること、推しはかっていること、この先起こりそうなことを、はっきり分けることです。前提がずれていたら親が直せること、そしてなぜわが子に合うのかが説明されることも欠かせません。
くらべないことは、発達の目安を無視することでも、ある力がまだないのに、いつまでも自分を安心させつづけることでもありません。アルゴリズムには、専門家が見るような、子どもの動き、人との関係、これまでの病気、毎日の環境は見えていません。アプリは、考えを整理し学ぶための道具として使い、子どもがふつうだ、遅れている、病気だ、安全だという証拠にはしないでください。
ラベルより、見たことから
くらべるなら、その子自身の前の姿とくらべましょう。先月より楽になったことは何か、どんな新しいやりかたが出てきたか、まだ同じ手助けが必要なのはどこか。何が起きたかを、解釈を足す前にふつうのことばで書きだします。場所、その前の出来事、子どもの行動、大人の対応、そのあとの変化。こう書いておくと提案がその子に合いやすくなり、相談がアプリの外へ進むときも、医師に役立つ情報を渡せます。
実際の進めかた
- ほかの子と会ったあとに全部の力を点検するのではなく、週に一つの観察を選ぶ。
- 公的な発達の目安のチェックリストは、示された年齢のときだけ使い、自然な場面の例を記録する。
- 保育園やほかの大人に、ほかの子との順位ではなく、見ている様子をたずねる。
- ほかの子のペースが似ているように見えても、続く心配は先のばしにせず相談する。
急を要しないことなら、1〜2週間、この進めかたを続けてみます。変えるのは扱える部分を1つずつ。重荷になってきたら、情報を集めたり工夫を足したりするより、やることを減らしましょう。
家ではこんなふうに
同い年のいとこのほうがよく話すので、親が心配しているとします。親は、わが子がどう助けを求めるか、かんたんな指示にしたがえるか、同じものをいっしょに見るか、声や身ぶりを使うかを書きとめます。このもっと広い姿から、意味のあるコミュニケーションができている一方で、話しことばは伸びていない、ということが見えてくるかもしれません。そうすれば、あわてることも、心配を打ち消すこともなく、しぼった質問を相談できます。
こうした例は、家族の暮らしを実験室にするためのものではありません。ふつうのゆらぎは残ります。見るのは方向です。立ちなおりが早くなった、伝えかたがはっきりした、自分でやろうとする場面がふえた、大人の手間が減った、といった変化に目を向けましょう。
答えの質の見きわめかた
- 子どもの年齢、できること、家族の事情を正しくふまえた答えか確かめる。
- 事実として語られたことには、根拠となる情報源を聞いてみる。
- 「わからない」をごまかさず、ほどほどの選択肢を複数くれる答えを信頼する。
- はずかしめ、必ずうまくいくという約束、泣いている子への無理強いをふくむ提案は使わない。
- 専門家に任せるべきことを、アプリがきちんと伝えてくれるか確かめる。
SNSを見るたびに何度も確かめたくなるなら、発達の目安を発信するアカウントを2週間ミュートして、公的な参考を一つだけ手もとに置いてみましょう。気持ちが子どもの本当の興味に戻ってくるか、心配が回数ではなく中身で具体的になっていくかに気づいてみてください。
プライバシーも、使いやすさの一部
くらべっこは、説明なしに子どもを順位づけしたり、基準と比べた点数を見せたりする画面からも生まれます。発達のパーセンタイルがどう計算されているかを確かめてから、意味のあるものとして扱いましょう。くわしく書きこんだ情報は、暮らしの流れ、健康の悩み、行動、場所、人とのつながりまで明かすことになります。入力するのは、はっきりした目的に役立つ情報だけに。記憶、共有、学習への利用、データの書きだし、削除の設定をときどき見なおし、使わなくなった古い情報は消します。
アプリの外へ進むとき
何週間も、あるいはいろいろな場所で心配が続くなら、友だちに「発達は子どもそれぞれ」と言われても、評価をお願いしましょう。できていたことができなくなった、伝えることがとてもむずかしい、痛みが続く、息が苦しそう、飲んだり食べたりの心配、眠りがひどく乱れる、けがの危険、毎日の暮らしに大きくさしつかえるパターン。こうしたことは早めに相談を。見守りを続けても心配が残るなら、それ自体が専門家に相談をはじめるちゃんとした理由です。
地に足のついた結論
くらべない見守りは、のんきすぎることも、競争的になることもありません。その子をよく見て、ほどよい間隔で発達の目安を使い、よその家族のいいとこ取りではなく、根拠と直感にもとづいて助けを求めるのです。
ポイント: くらべない見守りのための道具は、次の子育ての判断を小さく、はっきりさせるために使いましょう。子どもについての確信をつくりだすためには使わないでください。
UNICEF, Policy Guidance on AI for Children
WHO, Ethics and Governance of Artificial Intelligence for Health