小さな子どもをこわがらせない、家での火事の避難練習

火事のときにどうするかを練習しておくのは、家族が身につけられる、とても価値のある安全の習慣です。それでも、子どもをこわがらせてしまわないかと、ためらう親は少なくありません。うれしいことに、家での小さな子との避難練習は、落ち着いて、短く、ちょっと楽しいものにさえできます。やさしく進めれば、子どもにはこわさではなく、はっきりした自信のある計画が残り、その自信こそが、本当の非常時に小さな子がうまく動ける助けになります。

まずは、ちゃんと鳴る火災警報器から

練習の前に土台となるのは、家の各階、できれば寝る部屋かその近くにある、きちんと鳴る火災警報器です。毎月同じ日などに定期的にテストし、子どもにテストボタンを押させてあげると、音がこわいものではなく、なじみのあるものになります。「けむりがあると起こしてくれる、おうちのお助け係だよ」とかんたんなことばで説明すれば、びっくりする音が、やさしい目的のあるものに変わります。長寿命の電池のものにするか、ふつうの電池をこまめに確かめて、いつでも鳴るようにしておきましょう。

シンプルな避難計画をつくる

家での避難練習は、まず大人がはっきりした計画をもっていると、いちばんうまくいきます。家の中を歩いて、できればそれぞれの部屋から2つの出口、たいていはドアと窓を確かめましょう。外に、お隣の門や決まった木など、集合場所をひとつ決め、みんながそこに集まって、全員の無事をすぐに確かめられるようにします。出口に物を置かず、窓の鍵やストッパーの外しかたを知っておき、玄関などの鍵は、暗くても大人がすぐ見つけられる場所に置いておきましょう。

練習は、落ち着いて楽しく

何よりも大切なのは、大人がつくる雰囲気です。練習を、災害のリハーサルではなく、すばやく安全に外に出るゲームとして始めましょう。「おうちの逃げかたの練習をしようか」と声をかけ、いっしょに低い姿勢で、落ち着いて集合場所へ向かい、ついてこられたらほめます。大人の声が軽く、励ます調子なら、子どもは「これはできることなんだ」と学びます。こわさよりずっと役に立つことです。最後にぎゅっとだきしめてほめる、短くて明るい練習は、よい思い出として残ります。

小さな子に教えたいこと

小さな子は複雑な指示をこなせないので、教えることは少なく、はっきりと。

  • 警報器が鳴ったら、大人のところか、まっすぐ出口へ行く。
  • けむりは上にのぼって、床に近いほど空気がきれいなので、低くなって逃げる。
  • おもちゃを取りに戻ったり、ベッドの下にかくれたりせず、とにかく外へ出る。
  • 外に出たら、もう中には戻らず、集合場所で待つ。

一度にではなく、時間をかけてやさしくくり返し、聞くだけでなく、子どもにやってみせてもらいましょう。

定期的に練習する

一度の練習はすぐに忘れてしまうので、年に何回か、季節の変わり目や防災の日(9月1日)など、家族の暮らしに組みこみましょう。昼間に一度、寝る前の流れの中で一度、というように少し変えてみると、どんな時間でも計画が使えることを子どもが学べます。毎回短くし、明るく終わらせましょう。くり返すうちに、集合場所へ向かうことが自然な動きになり、必要なときに思い出せる、落ち着いた、練習ずみの反応が身につきます。

子どもの年齢と特性に合わせる

幼児はまず、大人のところへ来ること、出口へ向かうことを覚えます。年長さんくらいになれば、低くなる、外に出たら戻らない、集合場所に行く、がわかりはじめます。特性のある子なら、その子がいちばんわかりやすく動きやすい形に計画を合わせ、どう外へ連れだすかを前もって考えておきましょう。いちばん小さな子をだれがだっこし、だれが手を引くかを決めておけば、本当のときに迷いません。

本当の火事のときと、してはいけないこと

練習の目的は予防と落ち着きですが、本当のときのことははっきりさせておきましょう。実際の火事では、まず全員を外に出し、外から119番に電話します。荷物やペットを取りに戻らないこと。ごく小さく安全な火のほかは、消そうとしないこと。子どもがけむりを吸って、せきこむ、ゼーゼーする、眠そう、息が苦しそう、というときは、すぐに医療機関へ。けむりの影響は、あとから出てくることがあります。大きな子には119番のかけかたを教えますが、いつでも外に出るのが先、と伝えておきましょう。

こわさではなく、自信を

上手に進めれば、家での避難練習のあと、子どもは不安ではなく「できる」という気持ちを感じます。警報器の音を知っていて、大人のところか出口へ向かうことを知っていて、家族が外のどこに集まるかを知っている。その静かな力は、こわい話をひとつもせずに手わたせる贈りものです。ちゃんと鳴る警報器、決めておいた出口、落ち着いた楽しい練習で、起こらないでほしいことに家族で備えながら、子どもの世界は安心で安全なままにしておけます。

ポイント: 家での避難練習は、年に何回か、落ち着いて楽しく。ちゃんと鳴る警報器、2つの出口、ひとつの集合場所を用意すれば、子どもはこわさではなく自信を身につけます。

AAP HealthyChildren, Fire safety for children

NHS, Burns and scalds