保護者と、子どもをみる人のためのボタン電池の安全
小さくて、ぴかぴかで、どこにでもある。ボタン電池は、思っている以上に家の中の物を動かしています。そして、小さな子が出会う誤飲の危険の中でも、とくに重いもののひとつです。食道にひっかかった電池は、2時間ほどで体の中にひどいやけどを起こすことがあるからです。ボタン電池の安全は、こわがることではありません。どこにかくれているかを知り、しっかりしまい、もしものときにすばやく動くことです。
ボタン電池がこれほど危ない理由
ボタン電池やコイン形電池は、液もれしていなくても、古くなくても、害をおよぼします。子どもののどにひっかかると、だ液で電気が流れて化学反応が起き、やわらかい組織をあっというまに焼いてしまうのです。とくに危ないのは、大きめのコイン形のリチウム電池。しかも、はじめは目立つサインがほとんどないこともあり、だれも気づかないうちに傷が進んでしまうことがあるのが、とてもこわいところです。
家の中のどこにかくれている?
ボタン電池の安全の第一歩は、どこを見ればいいかを知ることです。コイン形電池は、わかりやすいリモコン以外にも、たくさんの場所にあります。
- 車のキー、体重計、キッチンタイマー。
- 光るカードや音の鳴るメッセージカード、絵本、おもちゃ。
- LEDキャンドル、飾りの雑貨、小さな懐中電灯。
- 補聴器、体温計、一部の腕時計。
- 扇風機、照明、動画配信の機器のうすいリモコン。
このリストを頭に入れて家を回ってみると、10個以上のかくれた電池が見つかることもめずらしくなく、そのいくつかは、子どもが自由にさわっている物の中にあります。
電池と電池のふたをしっかり閉じる
つくりの工夫も役に立ちます。小さな子向けに売られているおもちゃの多くは、電池のふたがねじでとめられています。ふたがしっかり閉まっているかを確かめ、閉まらないおもちゃは使うのをやめましょう。リモコンや車のキーのような毎日使う物は、落としたり、こじったりすると、かんたんにふたが開くものが多いことを知っておきます。できるなら、ふたをテープでとめるか、手の届かないところに置きましょう。
予備の電池と使い終わった電池も、機器の中の電池と同じくらい気をつけます。新しい電池は開けていないパッケージのまま、高く見えない場所にしまい、子どもが開けられる引き出しに、ばらばらの電池を入れておかないこと。使い終わった電池にも、けがをさせるだけの電気が残っているので、リサイクルの回収場所に安全に出すまでは、小さな手から遠ざけておきましょう。
ボタン電池の安全を、毎日の習慣に
ボタン電池はとても身近なので、一度の点検より、こつこつ続ける習慣のほうが効果があります。電池を替えるときは子どもから離れたところで行い、古い電池はすぐに安全な入れ物へ、機器はいつもの場所へ戻しましょう。新しい家電やおもちゃを買ったら、ふだん使いはじめる前に、電池がどう固定されているかをちらっと見ます。上の子には、この小さな丸いものは絶対におもちゃではないこと、見つけたらいつも大人にわたすことを教えておけば、家じゅうに守りが広がります。
飲みこんだかもしれないサイン
ボタン電池を飲みこんだ子は、せきをする、おえっとなる、よだれが出る、食べたがらない、のどが痛そう、胸やおなかが痛いと言う、といった様子を見せることがありますが、はじめはまったく元気に見えることもあります。サインがはっきりしない、あるいはまったくないこともあるので、電池が見あたらず、子どもが手にとれたかもしれないと思ったら、症状がなくても真剣に受けとめましょう。様子を見て待たないでください。
緊急のときにすること
子どもがボタン電池を飲みこんだかもしれないときは、緊急事態として、すぐに最寄りの救急外来に向かうか、119番に電話してください。ここでは本当に時間が大切です。医療者に言われない限り、吐かせたり、食べ物や飲み物をあげたりしないこと。電池のパッケージや同じ電池があれば持っていき、種類と大きさを伝えましょう。すばやいレントゲンと治療で、いちばん重いけがを防げることがあります。迷わず、自分の直感に従って動くことが、まさに正しい行動です。
落ち着いて、見守りのある家に
コイン形電池を使う家電をすべて禁止する、ということではありません。それは無理ですし、必要もありません。家のどこに電池があるかをはっきり知り、ばらばらの電池や予備の電池は鍵のかかる場所にしまい、小さな子にはふたがしっかり固定されたおもちゃを選ぶ、ということです。ボタン電池の安全は、知っておくことと、いくつかのしっかりした習慣を、ふだんの見守りに重ねることなのです。
心強いのは、どれも自分でできることばかりだということです。電池がかくれている場所を知り、ふたと予備の電池をしっかり管理し、すばやく動けるよう準備しておけば、本当に重い危険を、よく考えて管理された危険に変えられます。子どもはふつうの家電に囲まれた家で暮らし、大人は、その中の小さな光る丸いものが、しっかり手の届かないところにあると安心できます。
ポイント: ボタン電池は緊急レベルの危険として扱いましょう。電池のふたと予備の電池をしっかり管理し、飲みこんだかもしれないときは、症状を待たずにすぐ救急外来へ。